断世結姫(だんぜいけっき)のスノー・ホワイト

車椅子に座した乙女は目視で状況を確認する。
世界の狭間、水晶じみた超常の根で編まれし迷宮回廊の彼方より迫り来るは、黒い影の子鬼共、通称《ゴブリン》。レーダー反応も考慮に入れれば二百は下らぬと見えた。
「ご命令を、シロ様」
傍らに控える内の一人、眼鏡メイドが彼女に請う。
「私が対処します。ホヅミとランマルは時間稼ぎを、90、いや100秒」
「御意!」
命が下るや、メイドは二刀を構えて鉄砲玉の如く飛び出す。
残る一人、眼鏡執事はそれを見て鼻をならすと、アサルトライフルによる援護射撃を行う。

シロが車椅子側面より伸びるロッドに触れると、青色LED発光と同時にホロ・キーボードが宙へと展開→固定。十指と音声入力による同時並列タイピングを開始。艶やかな黒髪がLED光に照らされ青く輝く。
ロッド側面が多重展開し排熱ファンが高速回転。
視界に基本単位で区切られたグリッドがオーバーレイ。全標的をロックオン。

【続く】

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