誰かが死ぬことについての備忘録

ふぉろわ久し振り。元気にしてた?私は元気、嘘花粉症でくしゃみとまらへん。あまりにくしゃみとまらへんとさ、腹筋使いすぎてシックスパックになりそうよな。ならへんかな、シックスパック。もっと割れていいよ。サーティシックスパックくらいでも全然いい。つぶつぶとした腹筋。

でさ、ふぉろわ、実家で飼ってたいぬちゃんが死んじゃった。実は。1年半くらい前に。
で、曾祖母も亡くなっちゃった。これは、つい最近。四十九日も過ぎてない。

犬と人比べたらあかんのやろうけど、それぞれの死を受けて感じたこと思ったことがもう全然違うんやんか。ちょっとそれについていっかいまとめとこ思って。誰かが死ぬことについての備忘録。

1、飼ってた犬が死んじゃったことについて


○状況


私が小学3年生くらいで飼い始めた、かわいいかわいいトイプードル。もう14歳くらいやったな。老衰で死んじゃった。弱りはじめた時にはもう私はひとり暮らししてて、たまに実家帰った時くらいしか会ってなかったな。死に目にも会えへんかった。
ひとり暮らししてた家で無性に食べたくなって買ってきたミスド食べてたら母さんから電話かかってきて、出たら母さん泣きながら「ちょこが……」って言うの。ああ死んじゃったなこれはって思って、とりあえず実家帰るわ言うて帰ったら祖母もうち来て泣いてて、弟も泣いてて、ケージ覗いたらいぬちゃん死んでた。
父さんは晩ごはんの最中やったみたいで、ケージの向かいのテーブルには鍋とごはんが並んでた。
あかんわもうあんまり覚えてないや、その後母さんと弟が祖母を車で送っていったんやっけ。家には父さんと死んじゃったいぬちゃんと私が残ってた。
父さんが、よるごはん残すのもあれやけどもう食べる気力なくなっちゃった、って力なく笑って、ちょっと食べる?って聞いてきた。死んじゃったいぬちゃんを前にごはん食べるのつらいやろうなと思って、一緒に鍋食べた。豚肉入ってた事だけ妙に覚えてる。なんとなく罪悪感を半分請け負ったみたいな感覚あった。私が勝手にそう思ってるだけ。生と死とがひとつの部屋の中で起きてる感じがすごい落ち着かへんかった。

○感覚


やっと、やっっっっっと語れるようになった。寂しくて寂しくて誰にも死んじゃったこと話せへんくて、いちばん仲いい友達にも言えへんくて、死んじゃった1年後くらいに「最近いぬちゃん元気?」って聞かれてやっと死んじゃったって言えたくらい、そのくらいもうどうしようもなく寂しかったな。
いぬちゃんが死んじゃったことについて、一切悲しくはなかった。ちょこが苦しまずに眠るように死ねたんなら、それはちょこにとってよかったって心の底から思ってた。家族が泣いてんのがよく分からんかった。だって老衰やし、最後までそれなりに元気そうやったし、苦しそうな死に方でもなかったし、悲しくはなくない?って思ってた。あと、絶対泣きたくなかった。苦しそうに死んだ訳でもないし、ちょこにとってはよかった事やん、やのになんで泣くんやろうって思って、なんかみんなが泣いてんのが偽善的に見えて、それは苦しかったな。
実は、いぬちゃんが死んじゃった一週間前くらいに、お世話になってた歌舞伎研究してはる先生がご病気で亡くならはってんな。それで、自分なりに追悼したくて歌舞伎見に行こうと思ってチケット取っててん。その見に行く予定やった日が、いぬちゃん死んじゃった翌日やってんな。それで、行こうかどうしようかってなってんけど、まあせっかく席取ったんやしペットのお寺さん来はるまで時間あるし行って来たらってなって、不安定なメンタルのまま歌舞伎見に行ってん。やばいよな。訳わからんメンタルで見に行った。先生も亡くなる、ちょこも死んじゃった、みんな死ぬみんな死ぬ、やのに私は歌舞伎見に来てる、なんで?
歌舞伎は演目も何もあんまり覚えてないや。帰りのタクシーがすごい憂鬱やった。
家ついて暫くしたらお寺さん来はって、お経唱えてくれはって、遺体持っていってくれはった。母さんも祖母も泣いてた。いぬちゃん撫でたら冷たかった。12月やってんけど、空気より冷たかった。お寺さんが、「長生きな子でしたね、最後まで元気に生きてたんやね偉いね、こんなけ長生きできたってことはきっといぬちゃんにとっていい一生やったんやと思いますよ」みたいな事言ってはった。全部終わってからしか答え合わせはできひんなとぼんやり思った。
悲しくはないって思ってたけど、喪失感はやばかった。丁度卒論提出の数週間前とかやってんけど、それも手つかへんくて、何をするにもいぬちゃん思い出して、ずっとぼんやり憂鬱でしんどかったな。
家にいたら考え事ばっかりしてしもてしんどいから卒論書くのもずっと学校かマクドで書いててんけど、一回、帰ろうと思って店出たら急に涙とまらへんくなってさ、深夜で暗いとはいえあんまり号泣したまま歩くのもと思って鴨川の橋の下に避難してんけど、人ほぼいいひんかった所為かもっと涙とまらへんくなって悲しくて悲しくて、いままで悲しくないって頑張って思ってただけでほんまはどうしようもなく悲しいし寂しいし、もう声出して泣いちゃったもん。人とか通ってなかったとは思うけど、もし通行人があの場面に出くわしたらめちゃくちゃ怖かったやろうな。ホラーやで。泣いても泣いても涙とまらへんかったり悲しいのも寂しいのも対処しきれへんかったりする事に自分でびっくりしてた記憶あるわ。どうしていいか分からんくなっててん。
その後どうしたんかは全く覚えてへんねんけど、それから結構夜中にふらふら出歩くこと増えてたな。家にいるのがまじで無理やってん。日中は大体大学か図書館、晩は河原町うろうろしてるみたいな生活してた気がする。木屋町のマクド24時間営業なんがほんまにありがたかった。いぬちゃんのこと考えへんようにって卒論に集中してたら却って集中しすぎて終電逃したりな、してたな。
あと、なんか知らんけど葬式嫌やなってすごい思ってた。葬式行かんでも個人を偲ぶ事はできんのに、わざわざポーズを作ってるというか、「葬式です!みんなが悲しむ準備は整っています!さあ追悼して!」みたいな感じがすごい嫌やなって思ってたんよな。偽善的やなとも思ってた。
他にもいろいろ考えてたことあったとは思うねんけど忘れちゃった。ほんまに渦中に在ると語れへんもんやな。やっと一周忌も終わったし、そろそろ一区切りにしてもいいんちゃうかと思って書いた次第。

2、曾祖母が亡くなったことについて


○状況


この前95歳の曾祖母が亡くなった。私が小さい頃はまだ近所に住んでて、よく遊んでもらってたのを覚えてる。最近は入ってはった介護施設がコロナで面会制限されててあんまり会ってなかった。あと東京引っ越したのもあって、もう、全然。
勿論死に目にも会えてない。晩に母さんから「ひいおばあちゃんが救急搬送された、今から祖母と病院行ってくる」「覚悟はしといて」って趣旨のLINEが来て、その暫く後にお葬式するから京都に帰ってくるようにって連絡が来た。忙しかったようで詳しくは聞けへんかったけど、誤嚥性肺炎らしい。
次の日朝一で京都に帰って、お通夜行った。その翌日がお葬式。

○感覚


一回も泣かへんかったし、悲しいとも寂しいとも思わへんかった。割と近しい人やねんけどな。一人の人間の人生が終わったんやと思うと妙に感慨深かった。
お通夜の待合室で、親戚のおじさんに絡まれてしんどかった。知ってる人とか知らん人とか、一方的に知られてる人とか、如何にも親戚の集まりっぽくて、とにかくしんどかった。
ひいおばあちゃん、棺の中で蝋人形みたいに眠ってた。
お通夜とかお葬式とか、泣いてる人いた。曾祖母なかなかやっかいな人で、生前から曾祖母にこんな事されたみたいないろんな話は聞いててんけど、そんな曾祖母の被害に遭ってる人たちですら泣いてた。何が悲しくて泣いてるんやろうと思った。近い親族やしやろか。聞きたかったけどさすがに聞かへんかった。
出棺の前、棺にみんなでお花とか詰めた。撫でてあげてって言われたから撫でた。冷たかった。頬がむにむにしてんのに冷たかった。生前曾祖母を一番助けてくれなかったひとがいちばん泣いてた。ごめんねごめんね言うて泣いてた。死んでから謝るくらいなら生前面倒見りゃよかったやん。
順番全然時系列じゃないねんけど、お通夜終わった後、来てくれはったみんなでご飯会みたいなんがあった。みんなでお寿司食べた。ご遺体の横で死んだ魚食べていいの精進料理とかじゃなくていいの?と思った。
火葬も行った。焼いてもらってる間、食堂でパンの耳揚げたお菓子食べて待ってた。1時間後くらいに葬儀会社の人に呼ばれて、お骨拾いに行った。骨粗鬆症怖い。あと、焼かれた銀歯はぜんぜん銀色じゃなかった。骨、びっくりするくらい軽かった。
総じて疲れたな。段取りとか何にもしてないのに疲れた。これさ、祖母と母が葬儀会社手配したり手続きしたり全部やってくれはってんけど、まじで悲しいとか思ってる暇ないやろうなと思った。そんな暇もないくらい忙殺される。自分が死ぬときは出来ることはやってから死にたいと思った。
他何思ったことあるかな。ないな。そんな感じ。



これで一通り書きたいことは書けたかな。結論はないヨ。
最後にちょっとだけ雑談しよ。なんかさ、ここ1年で私めっちゃ変わったなって思ってさ。1年前とかやとそれこそ偽善性がどうとか生きてる人間の呼吸とか体温が気持ち悪いとか言ってたのにさ、もうそんなこと全然思わへんようになっちゃった。進化なんかな退化なんかな、でも前に私「一般的な進化は私にとっての退化」とか言うてたな。1年前の私が今の私を見たら発狂すると思うで。去年の私にとってのろくでなしが今の私にとっての理想なんまじ受け入れがたいし落差がしんどい、変わったとは言ったけど短期間で180度変わってそんなにすぐに定着するはずないか、まじ難しい、張りたいな。


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