日本政策金融公庫と税理士の連携強化:TKC勉強会で得た重要なポイント
昨日、TKC主催の開業税理士・公認会計士向けの勉強会に参加してきました。この勉強会では、「日本政策金融公庫の取り組みと税理士の皆さまとの連携」というテーマで、約2時間にわたり詳細な情報が提供されました。勉強会の内容は非常に有益で、日本公庫がどのようにして中小企業を支援し、税理士との連携を強化しているのかについて学ぶことができました。以下に、特に印象に残ったポイントをまとめます。
1. 日本政策金融公庫の概要
日本には約340万から350万の中小企業が存在し、そのうち約119万社が日本政策金融公庫から融資を受けています。これは、約3社に1社が公庫を利用していることを意味します。公庫の融資は保証協会を介さないため、保証料がかからない点も中小企業にとって大きな利点です。また、通常の民間融資では難しい条件でも、公庫はバーチャルオフィスなどを利用している企業にも融資を検討してくれるという柔軟性があります。
2. 融資審査のポイント
融資審査においては、当然ですが、”決算書”が最重要とのことでした。その際、社長が決算内容や今後の見通しを自分の言葉で説明できるか(計数観念)も重要視されます。また、利益だけでなく資金繰りも重視され、「利益+減価償却」で返済財源が判断されます。赤字企業であっても、その理由と今後の方針について明確に説明できれば、融資の可能性があるとのことです。しかし、貸借対照表が正しく会計処理されていない場合や、実質自己資本が大幅な債務超過である場合は、融資が難しくなることも説明されました。さらに、返済計画を含めた事業計画の提出も重要なポイントです。
3. 民間金融機関との連携
日本公庫は、原則として民間金融機関の補完的位置づけにありますが、民間金融機関との協調融資の実績も多くあります。これにより、企業は多様な資金調達手段を利用できる環境が整っています。
4. 事業承継マッチング支援
2021年度から、全国規模で事業承継マッチング支援が本格化しています。成約案件の多くは小規模案件で、譲渡側の年商が5千万円以下、譲渡価格が1千万円以下が中心です。また、赤字企業での成約も少なくありません。これにより、多くの中小企業が円滑に事業承継を進められるよう支援しています。
5. 税理士の皆さまとの連携
税理士事務所からの事前相談があることで、融資手続きがスムーズに進むことが多いです。オンライン申し込みの際にも、税理士からの紹介を明記することで、日本公庫との連携が強化されます。また、税理士からの追加情報が融資実現の鍵となるケースもあるとのことです。
まとめと感想
この勉強会では、2時間の講義の後にグループディスカッションや懇親会が行われ、参加者同士の意見交換や関係構築の機会が提供されました。TKC全国会という税理士・公認会計士のための非営利組織と、株式会社TKCが協力関係にあることで、TKCの強力なコミュニティが形成されていると感じました。また、TKCが提供する財務数値の検証プロセスや適時な情報提供が、金融機関との連携をスムーズにし、継続的な融資を容易にしている点も印象的でした。
企業が金融機関や投資ファンドと適切な関係を構築するためには、財務数値の作成と適時の情報開示が基本であり、これが企業の継続的な成長に必要な体制・仕組みづくりの鍵となることを改めて実感しました。
このような勉強会に参加することで、税理士としての役割と責任を再認識し、クライアント企業へのサポートをさらに充実させることができると感じています。今後も、こうした機会を積極的に活用し、自己研鑽に励みたいと思います。
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