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巨人だけ「歴代4番」が注目されるワケ

 久々の日記!今回はプロ野球の話です!

 阪神の近本光司外野手が6月1日のロッテ戦(ZOZOマリン)でプロ初の4番に座りました!阪神で新しい4番打者の誕生は2022年8月16日ヤクルト戦(神宮)のメル・ロハスJr外野手以来2年ぶりのことです!

 ところで、近本選手は阪神の第何代4番打者になるのでしょう?そういえば、プロ野球の第○代4番打者って巨人ぐらいしか話題になりませんよね!なぜなのでしょう?

 それには明確な理由があります!その理由とは…

巨人は他球団と違い、球団発足以来4番に「偵察要員」を使ったことが一度もないからです!

【4番に偵察要員】
 「偵察要員」ってご存じですよね!相手の先発が右投手か左投手か予想できない場合に、出場予定のない選手を仮のスタメンとして打順に入れておき、試合開始時に相手の先発投手に応じて実際にプレーする選手へと交代させる用兵です!予告先発の導入以前にはよく見掛ける戦術でした!

 しかし1994年にパ・リーグが予告先発を導入し、続いてセ・リーグと交流戦でも2012年から予告先発が導入されたことで、偵察要員は役目を終えて姿を消しました!そのため、偵察要員が起用されたのは2011年シーズンまでとなります!

 予告先発が導入されるまでは、全球団がさまざまな打順で偵察要員を起用していました!打線の主軸となる4番にもほとんどの球団に偵察要員を起用した試合があったのですが、その中で巨人は1936年のNPB初年度から現在に至るまで、90年近くにわたって4番に偵察要員が起用されたケースが一度もないのです!

 では4番に偵察要員の起用歴がないと、なぜ歴代4番がクローズアップされることになるのでしょう?

 それは、4番に偵察要員を起用したことがないことによって、歴代4番のカウントに定義の相違が生じないからです!

 逆に4番に偵察要員を起用したことがある他球団は、定義次第で歴代4番のカウントが変わってしまいます!

【歴代4番の定義】
 スタメン4番には以下の3種類が考えられます。
Ⓐメンバー交換時に4番に名前があり、そのままスタメンで出場した人(通常のスタメン4番)
Ⓑメンバー交換時に4番に名前があったものの、試合開始とともに交代した人(偵察要員)
Ⓒメンバー交換時に4番に名前がなかったものの、試合開始とともに偵察要員と入れ替わって出場した人

 このⒶⒷⒸのどれを歴代に含むか、判断が分かれることになります!

 このうちⒶは必ず歴代4番にカウントするでしょうから、定義として考えられるのは以下の4通りです!
❶Ⓐだけ歴代に数える
❷ⒶとⒷだけ歴代に数える
❸ⒶとⒸだけ歴代に数える
❹ⒶⒷⒸ全て歴代に数える

 この❶❷❸❹のどれを採用するかによって、歴代4番は変わってしまいます!定義によって歴代が変わってしまうのです!

【全て経験している選手】
 最も頭を悩ませることになるのは、ⒶⒷⒸの全てを経験している選手です!ⒶⒷⒸの全てを経験していると、❶ならⒶで歴代に数えられるでしょうが、❷❸❹はⒶⒷⒸをどの順で経験しているかによって第何代になるのかが変わってきます!

 しかしⒶⒷⒸの全てを経験している選手なんて、そんなヤツおるわけないやろ~!チッチキチ~!と思うかもしれませんが、それがいるのです!過去に1人だけいるのです!

 ⒶⒷⒸの全てを経験している唯一の選手は…元ロッテの土肥健二捕手です!土肥捕手といえば、ロッテ時代の落合博満内野手が神主打法の手本としたことで有名ですよね!

 そんな土肥捕手ですが、まずは1974年9月22日の日本ハム戦(静岡草薙)でⒷ偵察要員として初めて4番に起用されます!(試合開始と同時に得津高宏外野手と交代)
↓↓↓
 続いて翌1975年の7月26日近鉄戦(長岡悠久山)ではⒸ偵察要員と交代して試合開始から4番で初出場!(偵察要員は成重春生投手)
↓↓↓
 そして5年後の1980年11月5日近鉄戦(川崎)でⒶメンバー交換時から初めて4番に名を連ね、ついに正真正銘の4番としてスタメン出場を果たしたのです!

【土肥捕手は何代目?】
 こうして土肥捕手は4番をⒷ→Ⓒ→Ⓐの順で経験したのですが、歴代4番の定義を❶❷❸❹に当てはめると、土肥捕手はそれぞれ第何代になるのでしょうか?

❶の「Ⓐだけ歴代に数える」に当てはめると、Ⓐの40人目なのでロッテの第40代4番になります!
❷の「ⒶとⒷだけ歴代に数える」に当てはめると、Ⓐ31人+Ⓑ8人で第39代4番になります!(土肥捕手はⒷの8人目)
❸の「ⒶとⒸだけ歴代に数える」に当てはめると、Ⓐ33人+Ⓒ2人で第35代4番になります!(土肥捕手はⒸの2人目)
❹の「ⒶⒷⒸ全て歴代に数える」に当てはめると、Ⓐ31人+Ⓑ8人+Ⓒ1人で第40代4番になります!(土肥捕手はⒷの8人目)

 このようにチームの4番に偵察要員の起用歴があると、同じ選手でも定義次第で第○代がこれだけ変わってしまうのです!その点、巨人は4番に偵察要員の起用歴がないため、歴代4番の定義に相違が生じないわけです!そこが他球団と根本的に違うのです!

【巨人だけじゃない!】
 ちなみに、現在のNPB12球団で4番に偵察要員を一度も起用していないチームが巨人以外にもう1球団あります!それは楽天です!

 楽天はパ・リーグが1994年に予告先発導入後の2005年に新規参入したため、当然ながらパ公式戦で偵察要員を起用したことはありません!2012年の予告先発導入前の交流戦では2・5・6・7番に偵察要員を使ったことがありますが、4番に偵察要員を起用したことは球団発足以来一度もないのです!

 とはいえ1936年からNPBに参戦する巨人と違って、まだ球団発足から20年と歴史が浅いため、楽天の歴代4番は巨人ほど話題にならないんですね!そこは歴史の違いだから仕方ないところでしょう!ちなみに楽天の歴代4番は現段階で、今年4月18日に初の4番に入った伊藤裕季也内野手の第45代まで誕生しています!

【1試合だけの偵察要員】
 上記の通り巨人と楽天は球団創設以来4番に偵察要員を起用したことが一度もないのですが、惜しいのは中日です!1936年のNPB参戦以来1万試合を超える公式戦の中で、4番に偵察要員を起用した試合がたった1試合だけあるのです!1974年9月4日のヤクルト戦(中日)で4番に三好真一内野手が偵察要員に入っており、試合開始とともにジーン・マーチン外野手と交代しています!

 ちなみに三好内野手がⒶやⒸのかたちで実際に4番に入ってプレーしたことはなく、Ⓑの偵察要員でしか4番の経験がありません!

 もし仮にⒷを歴代に含む❷や❹の定義で三好内野手をカウントした場合は第63代4番となりますが、この三好内野手を歴代に含むか否かの解釈次第で以降の歴代4番に1代ずつ相違が生じることになってしまうわけです!

 もしこの1試合で偵察要員を起用していなければ解釈によって歴代4番に相違が生じることもなくなり、中日の歴代4番も巨人の歴代4番と同様に注目を集めていたかもしれませんね!

 それではおさらいしましょう!他球団と違って巨人の歴代4番だけが注目される理由は「球団発足以来4番に一度も偵察要員を起用したことがない(定義による相違が生じない)」加えて「楽天と違って歴史が長い」この2点によるものでしょう!

 1936年のNPB初年度から90年近い歴史を重ねる中で、実に1万を超える試合数を数えながらも、その間に一度足りとも4番に偵察要員を起用しなかったからこそ、巨人の歴代4番には他球団の歴代4番とは比べ物にならない価値があるのだと思います!

 今回は以上になります!長文にお付き合いいただきありがとうございました!(ちなみに私は特に巨人ファンというわけではありません!)

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