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生まれた土地が、生まれた土地たる所以

「北海道の魅力を発信しよう!」

私は北海道が好きだ。なぜなら生まれた土地で、ご飯が美味しいからで。雪も降って、なんだかんだ言って不便なところも気に入ったりしている。気に入っていると言ったら言い過ぎかもしれない、不便は。そんなこんなでこの土地の魅力を人に語ることがきっとこの先増えていく。私は来年この土地を離れるからだ。だからこそ今のうちに、自分が語れるこの土地を自ら学びたいと思う。そう、ゴールデンカムイを買うことで!!ここまで宣伝。次からが本番。

その魅力を伝える手段に関わることは簡単だ。いや言い過ぎました。簡単じゃないですすみません。でも、この土地で農業をして、漁業に携わって。この土地が魅力であると言われる所以に自分の身を捧げるよりかは、いかんせん簡単なように見えてしまう。私はそこでモヤモヤしてする。私が北海道という土地を誇っていくに相応しい人間なのだろうか、おこがましくないか自分?と。結局いつも伝える側である。北海道の魅力を伝える漫画作りだって、この土地を魅力としている人の生き方を「伝える」ことであり、この土地だからこそできる魅力を生み出しているわけではない。真に北海道の魅力を生み出している漫画家、例えば荒川弘先生の「銀の匙」は、荒川先生が農業に携わること、北海道の魅力として語られる広大な大地での経験があったからこそ実体験を持って我々に語りかけてくる。だからこそその深さが伝わってくるのだ、北海道が好きであると感じるのだ。では今後、北海道を伝えたいと思う私はどうか?北海道という大きく豊かな存在におんぶにだっこだ。私が誇りに思う北海道の歴史の中の私という存在はあってもなくてもかわらないのだ、虚しいことに。普段使っている方言だって、一番身近なものでありながら、私の生活によって生み出されたものではない。悲しい哉、私に北海道を語る資格などないのだ!運良くここに生まれただけで!育ててもらっただけで!

だからこそかわからないが、「北海道を盛り上げる!」とかいうフレーズに最近寒気を感じる。捻くれた思考故に生み出してしまった羨望の情感だ。盛り上げる素材はなんだ?北海道が北海道たる魅力作りにあなた方は関わってきたのか?ほんとうにそれを知っているのか?人が手をかけて命をかけてきた歴史を、道外の人に対する消費の素材にしていないか?しかし結局どの口が言うんだって言う話。貢献できていないくせに北海道について語ろうとする私もその言葉の対象だ。

さて。私はこのめんどくさい思いを抱えながら、北海道に対する遅すぎる恩返しを実行に移せるのだろうか。乞うご期待。

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