「嘘を愛する女」まとまりのない感想

愛していた人の素性がすべて嘘だった、当たり前に信じていたものが覆される衝撃は想像出来ない程のものをその身に与えるだろう。衝動的に彼の物をゴミ袋に入れてしまう気持ちも分かる。
でも、自分の靴を貸してくれたり、酔った自分を優しく介抱してくれたり、穏やかに彼から与えられた優しさはきっと本物だったんだろうと思う。
脳梗塞で倒れる瞬間、桔平の脳裏に過ぎったのは何だったのか、由加利の顔だったのかな。
由加利が見ていたきっちゃんと心葉が見ていた先生どれが本当なのか、どちらも嘘なのか、何も分からなくて、桔平が綴った物語を由加利と一緒に追いかけるしかないのがもどかしい。由加利の思い出の中にあるブランコに座る桔平の背中がとても寂しく感じて胸が苦しくなるし、素直に謝れない由加利もまた苦しいね。

それにしても桔平の落ち着いた声で紡がれる彼の物語が静かに胸にくる。一生さんの声はやっぱり耳に優しい。

由加利は良く言えば不器用なんだろうけど、ちょっとばかし素直になった方がいいし、可愛げというものを持った方がいい…桔平に甘えてたんじゃ?とも思うし桔平のことを何も見てなかったんでは?とも思ってしまう。まぁ桔平が隠していたものを察しろというのは難しいけど、由加利は桔平から優しさを与えられるばかりでいるような気がするんだよなぁ。

あぁでも、酔ってグダグダになる姿や愚痴る姿や少しばかり当たりがキツくなる姿や、由加利は桔平には無理して繕った姿を見せなくてもよかったのかと考えると桔平には自分の弱い部分をさらけ出せたんだろうなぁ…。あと風邪の桔平をブランケットで包んであげる由加利は可愛いんだよなぁ!一緒にいませんか?と自分の気持ちに素直に行動する由加利は可愛いし、おでこごっつんこする2人はとても可愛い。この穏やかな時間は絶対に嘘ではなかったと思う。
一緒にいる間は思い返さないようなことが、いなくなって初めて思い返される2人の日常が愛おしくも切ない。

知らなくてもいい真実、怖いけれど知りたい真実、気付いてあげられなかった後悔、由加利の中でぐるぐる回っているものがすごくよく分かる。
でも、出て来た真実があまりにしんどい…。「そんな資格はない」と呟いた桔平の気持ちを考えると涙が出てくる。桔平、安田公平もまた気付いてあげられなかった側だったんだ。そしてすべてを失った。本当のひとりぼっちになった公平が由加利に出会って救われたのかなと思っていたら、彼が綴った物語が由加利との、彼が願う物語で、私の涙腺はぶち壊れた。由加利の存在は空っぽになった公平の、桔平の救いになっていた。1歩進んでもいいのかもしれないと思わせる救いになっていた。由加利ばかりが与えられていたんじゃない。桔平もまた由加利から与えられていた。
倒れる瞬間、由加利を思ったんだろうかと最初の方で言ったが、彼女の母親に合わなければならない、でも自分には話せない過去がある。家の近くの公園で桔平はどれほど悩んだんだろう。ブランコに座る桔平の背中が知らぬ間に浮かんでくるような気がした。

安田公平という真実を知ってからずっと泣いていたけど、目覚めた桔平の涙に希望を感じてさらに泣き、松さんの歌でさらにさらに泣いた。
ぴ、ぴったり過ぎるだろぉ…つなぐもの…。


嘘を愛する女。桔平がついていた嘘を彼の真実ごと由加利は愛するんだろう。
月並みな言葉しか出て来ないけれど、とてもとても良い映画だった。




ここからは一生さん語り。(語彙はないです。)

安田公平としての姿と小出桔平としての姿。失った男と空っぽな中身が少しずつ満たされていく男。全く違う2人の男を見せる一生さんはやっぱり化け物だよね。(褒めてる)
しかもあの、病院のベッドでの目覚め方……意識の覚まし方がリアル過ぎて鳥肌立つ。そこからの由加利を認めての涙は圧巻としか言いようがない。

由加利との日常を過ごす桔平の姿全部好きだわぁ…。みんながやべぇやべぇと仰ってた意味がよく分かりました。酔っ払った体をあんな風に抱き留めてくれんの…?丸眼鏡最高だね…?白シャツもゆるいニットもトレーナーも最高だね…?「口開けて」とかそんな優しい声で…しかもふざけてじゃれてくれるの最高だね…?私もチキンとトマトを煮込んだやつ食べたい。
黒ニットも熱測られるお顔もブランケットに包まるお顔も全部全部最高だね…?最高しか言ってないけど最高だもの。庇護欲そそられる高橋一生最高…!
お買い物したりバーガー一緒に食べたり心配してくれたり、私の隣にもきっちゃん欲しい!!!!

何より事後……事後のきっちゃんはアカンでェ……胸元から上しか出てないのになんであんな色っぺえのよ……由加利に対しての仕草も何もかもアウト!ポリス出動します!逮捕!!!!!


とまぁ取り乱したけど、まさみちゃんもくしゃりとした笑顔浮かべるけど一生さんもそうだからなんだかニコニコしちゃうね!(まとまった風に終わる)

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