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【考察】『ノムリッシュ新宝島』、紡がれたオラトリオ≪聖譚歌≫とは

ノムリッシュ新宝島の歌詞考察です。

ノムリッシュ空前の新宝島ブームと世界の「方程式」は歌詞ではないので省いています。

ノムリッシュ新宝島の元動画は消されましたが、有志が投稿した動画がニコニコにあるので絶対聴いてください!!!!!!!!!!!!!!

解説動画も投稿されていたらしいですが今はありません。なぜかビリビリ動画に転載されていました(ノムリッシュ本編もあった)。そちらはMV込みの考察なので、本記事とは趣旨が異なります。



1.主人公の目的と運命(さだめ)、その先にある宝島

「・・・そのグルガン族の男は静かに語った・・・」
男は、主人公に訪れる運命の輝きすべてがお前の力だと言う。
主人公は帝国の国民であり、そこでは己が運命は定まっていると信じられている。

「次、か……そんなものが来ると信じているとは、おめでたいとアントラッセを引き続けた」
「次」とは、帝国の未来のことであり、それを信じる主人公にグルガン族の男はおめでたいと言う。
アントラッセ(entrelase)とはバレエの動きのことを言い、ここでは男が未来への希望を失くしたまま空虚に生を踊ることを指す。

「わが身に訪れる運命(さだめ)の宿命トゥーランを
オプティマトゥーランを紡ぐんだ」
帝国では運命・宿命のことをオプティマトゥーランと呼んでいる。主人公はそれを詩編として紡ぐために生きていく。

「神でありながら人に恋した宝島」
帝国には未来がない。資源の枯渇や民族の内紛など、理由はいくつもあるのだろう。そこで、宝島と呼ばれる神々が住まう地(「神の地」も神の一部として「神」と呼ぶ)に国を移そうと考えていたのだった。その一連の叙事詩を紡ぐのが主人公の運命(さだめ)である。

「・・・これは、一遍の物語ではない。自ら綴る歴史であり、運命である。」
そして、主人公の目の前に神が現れる。


2.断罪者と預言書、終わりのある永遠

「預言書の導くまま神に見放された断罪者を導きて誘うと」
主人公の前に現れたのは、神(宝島)に追放された断罪者であった。古来から、宝島に向かうと神からの怒りを買い、断罪者(神)から怪我や死をもって罪を償わされるとしていた。帝国は、宝島に行き着く糸口として断罪者を利用した。
その断罪者は神から与えられた運命が書かれた預言書を持っていた。主人公は預言書が示す通り断罪者と行動を共にする。
帝国には、千年先の星の動きさえも予知したと言われる、まるで預言書のような古文書があった。主人公は、宝島を目指す帝国と自身、そして彼女の運命を、叙事詩として克明に刻印したのだった。

「胎動したり超振動<ふる>えたりした境界線<バウンダリー>で」
バウンダリーは、物理的・心理的な境界全般を表す。人間である主人公と神である断罪者との境界、人間の地である帝国と神の地である宝島との境界、或いは……
それらが運命の歯車が回りだすかのように胎動したり超振動えたりする周囲を、主人公は克明に刻むと誓っていたのだった。
永遠が終わるその時まで――


3.境界線<バウンダリー>で揺らぐ運命と関係

「わが身に訪れる運命(さだめ)も 異界のわが身に訪れる運命(さだめ)も」
主人公は、彼女から主人公の世界ではない世界の存在を教えられる。これは宝島であり、私達の世界を指す。そして、異界にも運命(さだめ)があるとされている。

「未だ神々のテルミナトゥーランならばない…そう、信じるしかない」
帝国では、宿命は神々が定めたという意を強く指すとき、テルミナトゥーランという語を使う。グルガン族の男と同様に、宝島に国を移すとしても未来はないと、未来はないと分かった上で宿命づけられた生を全うするしかないと、彼女は言う。彼女の言葉を真摯に聞いた主人公は、宝島を目指す帝国や自分、そして運命に疑問を持ち始める。

「空虚なる淫夢の ヴァナ・ディールを
ヴァナ・ディールを選別するんだ タス=クァラジマ(第二形態)」
意志を揺らがせながらも、主人公は克明に叙事詩を刻まんとしていた。淫夢のように根拠のない希望を夢想するのではなく、ヴァナ・ディール(運命の先にある真実)を選別した。そして見えたのは、神の地である宝島ではなく、「タス=クァラジマ」という人の地であった。

「預言書の導くまま貴輩≪アナタ≫を導きてもがくと」
主人公は、彼女のことを「貴輩≪アナタ≫」と呼ぶ。これは、宝島を目指す道中で、二人の中で確かに培われた絆であった。
主人公は、彼女の持つ神の言葉である預言書を信じ、希望がなくとももがきながら克明に克明に克明に叙事詩(コラール(讃美歌))を刻むと誓っていた。


4.暗転

だが お前は俺を裏切った
預言書は神が定めし運命を示した書ではなかった。タス=クァラジマは、帝国と同じ運命を辿った国だった。彼女の持つ預言書は、主人公が紡ぐ叙事詩と同じであった。彼女は主人公と同じであった。

つまりこの世界は、神など居らず、消耗した国や人々が終焉へ向かうだけの永遠のループであった。古文書が千年先の星々を予知したのは、千年前も同じ運命を辿っていただけだった。

彼女は、神が居ると、神の言葉である預言書があると、嘘をついていた。それは、主人公のように未来への希望を失くしてしまったからであった。

信じていた神や宝島、彼女からの裏切りに主人公は打ちひしがれる。運命は変えられないのかと。


――しかし、神が居ないのならば、神から定められし運命(さだめ)も〝無い〟のでは?


5.紡ぐよ 汝のオラトリオ≪聖譚歌≫を

「預言書の導くままソルジャーを導きてイクよ」
二人は、世界が定めた終焉のループから抜けようとするソルジャー(戦士)となる。二人が克明に紡いだ叙事詩を糧に、世界のその先をイ(行/征)こうとする。

「胎動すたり超振動<ふる>えたりした…だと……」
今までの世界と、これからの世界の境界線<バウンダリー>に亀裂が入る。二人は、詩を紡ぎ、物語のような美しいリズムを奏でる。

「例え世界を敵に回しても我が魂を預けし者を導きて征くよ」
終焉のループである絶望の世界を敵に回しても、お互いの魂を預け、お互いに行く先を導きながら、希望の叙事詩を歌いながら、境界線<バウンダリー>の向こうへ征く。
世界の運命を変えるのに必要だったのは、人々の希望だった。


彼らが紡いだ叙事詩は、コラール(讃美歌)として、シアトリズムを奏でる合唱歌として後世に語り継がれた。



「紡ぐよ 汝のオラトリオ≪聖譚歌≫を」







全部妄想です。
野村哲也氏の作品をプレイしたこともないし知識もないので固有名詞などは適当に意味づけしました。

これのせいで5時間とルーズリーフ2枚を無駄にしました。
馬鹿かな~~~~~~~~~~??



「神でありながら人に恋した宝島」
「だが お前は俺を裏切った」→ラスサビ前の間奏
「例え世界を敵に回しても我が魂を預けし者を導きて征くよ」
がかっこよくて大好きです。


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