【美術館めぐり】豆粒ほどの馬と人〜池大雅 ―陽光の山水〜
帝国劇場に隣接する出光美術館。鰻を食べる予定があり帝国劇場に行った帰り、ぷらっと入ってみた。
軽い気持ちで入ったが最後、結局その展覧会を1日で3周していた。
前情報もないなか入った私は、ふむふむ綺麗だなーと思いながら作品たちを眺めていた。一番最初に思ったことは、いつも行く美術館とは違い、
・1人で来ている人が多い
・一点当たりの作品の前に立つ1人あたりの滞在時間が長い
・メモを取っている人が多い
ということだった。
要するに、「ガチ勢」が多かった。SNS映え狙いで集客する美術館が増えている中、雨の降る平日の昼間にも関わらず、作品ありきでこれだけ集客できていることに感動した。
そんな感じで1周目を終えた私は、図録に載っていた馬がひしめく絵を見て、「え、こんな馬見てないぞ」と思った。
かくして2周目スタート。
あった。「山邨馬市画賛幅 」という作品。村中にひしめく豆粒ほどの馬がこれでもかと描かれている。それぞれ表情も体の向きも違う。私はしゃがみ込んで齧り付くように見ていた。
無事に2周目も終わり、出口からでたその瞬間、宣伝用のポスターに描かれた絵が目に入ってきた。
高台で半裸で佇むおじさん。「え、こんなおじさん見てないぞ。」私はすぐさま3周目へ。
いた、おじさん。雄大な景色の中、ウォーリーを探せばりの小さなおじさん。こんなところにいたのか。
館内を3周して感じたのは、西洋画に多い人物画のように、「俺、ゴッホ」とテーマの主張をするのではなく、日本画ならではの、「自然の中の生活の一部としての人」を描いているなということ。
壮大な自然の中では馬も人も豆粒ほどだし、いるのかいないのか分からない。個人を主張するのではなく、ゆるい繋がりを持って自然のなかで生きていく、そんな姿が魅力的に描かれていた。
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