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個性的な危ない壁量計算 5つの事例

 私はいろんな方の壁量計算を見て来ています。建築基準法は「最低の基準」を定めているのだから、最低限壁量計算を行っていればその基準はクリアしているはずなのですが、中には個性的なもの、あぶないなと思う物があります。

その1 壁量計算の基準のギリギリに合わせて設計してくる物

 まさに芸術的に、基準に合わせてきています。まあそんなところに神経使わなくてもいいと思いますが。そのために配置などが結構アンバランスだったりします。壁量計算は、基本的に壁量が多ければ多いほど安心です。見つけ面積や床面積で求めた必要壁量ギリギリにする必要はありません。意外と几帳面な方が多く、面積なども厳格に計算しています。厳格さが必要なのはそこではないと思うのですが・・・・

その2 外周にだけ耐力壁をもうける壁量計算

 最近は、高倍率面材が多いので、狭小住宅などは外周部だけでも壁量計算を満たすことができる物件は多くあります。確かに外周部のほうが耐力壁の効果が高いので、一見合理的です。狭小などでは問題ないのかもしれません。しかしある程度大きな建物になってくると、耐力壁線の間隔が開きすぎていて危険です。平行する耐力壁はだいたい4m間隔程度で入れることが必要な場合が多いです。あくまでバランス良く耐力壁をいれればいいのですが、そのバランスというのが良く分かっていないようです。

その3 スキップフロアばりばりの壁量計算

 4号建築物だからといって、何をやってもいいわけではありません。個人的にスキップフロアって、どう壁量計算すれば良いのでしょうか??という案件が多いです。力の流れを考えれば、そんな複雑なことはしないほうが良いのはわかると思うのですが。だからといって構造計算も無理なものも多いです。全てのスキップフロアを否定するわけではありませんが、安全は考えた方が良いです。事前にきちんと構造屋さんと打ち合わせて、安全な設計を行っている設計者が多くいることを忘れてはなりません。

その4 吹き抜けだらけの、壁量計算

 これも意外と多いです。吹き抜けに面した外壁の耐力壁って、効果が薄いことは建築士であれば理解できると思うのですが。大きな吹き抜けは魅力的ですが、危険と隣り合わせであることは忘れてはなりません。よく作例やメーカーの事例などでも大きく魅力的な事例がありますが、その大半は構造的になりたつように、事前に検討を行い設計していることを忘れてはなりません。吹き抜けが2階面積の半分なんてものを壁量計算で出しているのも見たことがあります。さすがに・・・と思うのですが、確かに壁量計算という最低の基準を守っているのだからと言われるとね・・・。

その5 必要壁量の1.5倍確保し、「耐震等級3相当」という壁量計算

 これは多いです。地震が多く耐震性が重要となってきたが、品確法の耐震等級の理解が薄く、間違って上記のような表現をする方が多いようです。ネット上では、これをかなり注意する先生たちがいて、いい加減に撲滅されると思っていたのですが、実際かなり根強く残っているようです。このような設計に当たったら施主は不幸です。耐震等級は壁量計算では取得できませんし、相当にはなりません。構造計算か品確法による方法しかありません。またどちらの方法で求めた壁量も、必要壁量の1.5倍にはなりません。なぜなら、1.5倍というのは壁量ではなく「地震力」だからです。

 他にも書けないような壁量計算は結構見かけます。構造計算必須に持ち込みたい気はあるのですが、国はまず、安全な壁量計算を建築士にもう一度徹底したほうが良いと思います。

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