見出し画像

壁倍率とは?

どこでも書いていますが。意外と知らないのに勝手に使っている壁倍率。ここでは木造の壁倍率のことを書きます。

 壁倍率とは、木造の地震に対抗する壁である耐力壁の強さを数値化したものです。最大は5です。大きいほど強いです。1と2なら、2は1の2倍強いことになります。壁量計算で、計算しやすいように設定されています。壁量計算とは、木造住宅が地震や台風によって壊れないように安全性を確認する簡易な方法です。各階、X方向とY方向の壁量を合計して確認します。

 ここまでは、建築士が誰でも知っている内容です。では、この壁倍率の1
とはいったい何なんでしょうか?

 1m幅の耐力壁1枚を想定してみてください。ざっくりいうと、この壁を横から200kgの力で押してやって壊れない強さが、壁倍率1です。400kgなら壁倍率2です。壁倍率5は、1tの力でも大丈夫です。つまり壁倍率がある耐力壁はかなり強いことがわかると思います。
 実際は、細かな方法が定められています。1倍を、200kgと書きましたが実際は200gfで、構造計算に換算すると1.96kNとなります。またどの程度耐えればいいのか?は、せん断変形角1/120radと定められています。

 1/120radは、だいたいどれくらいか?というと、6mの高さの建物なら約50mm傾く感じです。耐力壁の高さが3mとすると25mmです。意外と厳しい規格ですね。壁量計算だけでは危険といわれているのは、耐力壁が弱いのでは無く、壁量計算による基準が若干ですが甘めと言われていることに起因します。

耐力壁の壁倍率で代表的なものを並べてみると
・筋かい(2つ割:45x90) 2倍
・上記の筋かいをたすき掛け 4倍
・構造用合板 2.5倍

などです。それぞれ加算でき、合計5倍を上限とします。

よく耐震診断で明らかに耐力壁がなくて・・・という建物でも大地震で倒壊しないことがあります。これは、耐力壁以外の計算できない要素が木造住宅にはたくさんあるということです。新築では耐力壁だけを加算します。耐震診断では、他の要素も加算します。なので耐震診断と構造計算では算出される強度は異なります。




サポートしてくださると嬉しいです。 部分的に気に入ってくださったら、気軽にシェアかコメントをお願いします♪