#42 最近、ますますハゲてきた
タイトルの通りである。
「中国一周達成」とかドヤってからの落差に自分でも唖然としているが、わたしのリアルな日常をお伝えすると、こうなる。
わたしは最近、いや、三年くらい前から分け目の薄毛に悩んでいる。
毛が薄くなった原因を探る
ご覧の通り、かつてわたしは、豊かな烏の濡れ羽色の髪が自慢の子どもだった。
悩みといえば、ドライヤーにやたら時間がかかることくらいか。
それが今や、毛量はこの三分の一にも満たない。
自分的に特に気にしている、前方分け目部分が際どくなった理由としては、まあ、思い当たる節がある。
わたしは、爪を切ったり、耳を掘ったり、コップの茶渋を落としたり、不要な物を取り除くという行為にやたら快感を覚えるたちなのだ。
恋人でも、友達の子どもでも、犬でも猫でも、相手が拒否さえしなければ、直ぐにかつ丁寧に爪を切ってあげるので、甲斐甲斐しいだとか優しいだとか勘違いされがちだが、それは彼らの誤った解釈だ。
わたしはただ、(自分の爪は常に限界まで切り揃えていてもう切れないので、代わりに)彼らの伸びた爪を切ることによって自らが快感を得ているのである。
話を爪から髪の毛に戻そう。
伸びた爪だけでなく、白髪も同じなのだ。
自分や他人の「白髪を抜く」という作業が、わたしにとっては格好の、心躍る暇つぶしなのである。
よって、加齢にともなって毛量が減った上、そこをしつこく白髪抜きで攻めたので、わたしの分け目は際どくなったのだ。
それでもやめられない、趣味:白髪抜き。
しかし、分け目部分からまあまあ、いや、結構のぞく地肌に、いよいよ不安を覚えたわたしは、静かに愛用の(百均)白髪抜きピンセットをテーブルの上に置いて、東京・池袋へと向かった。
池袋という街は、きちんと調べたことはないが、体感と偏見でいうと、遊びに来ている8割が、埼玉県人なんじゃないかと思う。
埼玉県人がとりあえず東京へ行こうとすると、(プエルトリコのバミューダトライアングルのように)なぜか池袋にたどり着いてしまうのだ。
ところで、いつもは南埼玉の大都会・所沢で、「足るを知る」精神のもと仕事やお茶をしているわたしが、わざわざ休日に東京へやって来た理由ーーー。
それは、最先端技術と芸術が集まる首都・東京の美容室で、カット代7000円くらい出せば、この薄毛をうまくごまかしてくれる術が何かしらあるだろう、そう思ったのだ。
(中国に長くいたので、日本ではまだマイ美容室が見つかっていない)
パーマ剤の匂いがする美容室の椅子に座ったわたしは、ベビ子と年の瀬の変わらぬお兄さんに、最近禿げてきたこと、娘にもそれを指摘されていることなどを赤裸々に打ち明けた。
するとお兄さんは、わたしに笑いながらこう言ったのである。
「最近来たお客さんの中で、話、一番おもしろいっす」
いや、そういうの、いい。
わたしは7000円という大金を払って、本来は人見知りの為、あまり得意ではない美容室に、自分のコンプレックスを解消しにやって来たのだ。
よって、お兄さん、あなたに求めるのは、ネタへの賞賛ではなく、プロとしての薄毛に関するアドバイスなのだよ。
というか、待ってくれ、これはネタではないのだ。
わたしにとっては、切実な悩みなのだ。
ここがもし、こころのお悩み相談室だったら、「最近、しんどくて夜も眠れない」という告白に対して、「おもしろいこと言うんっすね」なんて、絶対に返せないはずである。
そんな相談員は問答無用で打首だ。
とりあえず、お兄さんが栃木県出身で、単身東京で頑張ってるってことはわかったけど、首都・東京の美容室で美容師をしているという矜持を持って、しっかり顧客のお悩みには対応しておくれよ。
「全然、大丈夫っす」
結局、いつもと変わらない分け目で、後ろ髪をすかれただけのわたしは、その高級美容室をすごすごと出てきた。
いや、むしろさらに毛が減った気がする…。
プロに頼んでもダメならば、もう自分で解決するしかないーーー。
家に着いたわたしは、強引に自分で分け目を変えることにした。
しかし、いきなり国を西と東に、壁立てて分けられても住民たちが困るように、分断線はそこじゃない!という髪たちの抵抗があり、うまくいかない。
平和と調和を愛する白丸みそ子的には、髪たちの声に耳を傾けないわけにはいかない。
しゃーない。
わたしはネットショッピングサイトで、薄毛に効くと謳うミノキシなんとかという成分の育毛剤を購入した。
実は、動画サイトでキーワード「薄毛」で調べたら、トルコで植毛をした美意識高い系の綺麗なお姉さんが出てきて惹かれたんだけれど、費用もダウンタイムも到底一般人が受け入れられる感じではなかったので、まずはレベル1(育毛剤)から攻めることにしたのだ。
ということで、薄毛が改善されたらまたご報告します。
(`・∀・´)キリッ
週末のしょーもない日記、おわり
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