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経済的リスクのはなし①-はじめに

認知症予防を促す真の目的

これまで、認知症そのものや、予防についての記事を書いてきました。今後も主に予防について、なるべく気軽に取り入れられること、楽しく取り組めるアイディアを情報発信し、予防を促していきたいと思っています。

ただ、私が認知症予防に関する情報発信をするのは、皆さんを認知症による「経済的リスク」から守るためなのです。これは、認知症アドバイザーにとって、一番のミッションです。

では、認知症になるとどのような経済的リスクがあるのでしょうか。一般的には、医療や介護サービスの費用が大変そうだとか、施設に入るには多額のお金がかかるかもしれないとか、お金の工面を心配される方が多いと思います。もちろん、そういったことも経済的リスクなのですが、見落としてはならないリスクは、「資産凍結」のリスクです。

認知症と診断されてしまうと、意思決定を伴う様々な法律行為が制限をされてしまいます。そうなると、せっかく現役時代に老後資金の準備をしていても、思い描いた通りに使えないということがおきてしまうのです。

(認知症と診断されると制限される可能性がある法律行為)
預貯金の引き出し
不動産の売買
有価証券の取引
遺産分割協議 など

したがって、「子ども達に迷惑をかけないように」とか「お金は用意してあるから施設に入れてくれたらいいよ」とか「家を売って施設に入ろう」と考えている方も、お金の工面が心配な方と同様に、経済的リスクがあると言えるのです。

認知症による資産凍結は、国民ひとりひとりの経済的リスク

認知症患者は、2025年には約700万人に、第2次ベビーブーマーが65歳になる2040年には、800万人になると推計されています。これは65歳以上の約5人に一人にあたります。日本の個人金融資産はおおよそ2000兆円ですが、65歳以上がその半分1000兆円を保有しているといわれており、そのうちの20%である200兆円が凍結するリスクがあると試算されています。これだけのお金が流通しなくなってしまうというのは、認知症の当事者やその家族だけではなく、国民ひとりひとりにとっても、大きな経済的リスクになるのではないでしょうか。

認知症にならないようにする予防はもちろん重要です。ただ、認知症になってしまった場合でも、資産を凍結させないために、せっかく準備したお金を希望通りに使うために、どうすればいいのか。用意されている制度や必要な対策を次回以降の記事で紹介していきたいと思います。

また、セカンドライフを迎える世代の方は、元気なうちにお金を使うこと、大切な子や孫に託すことも重要です。Die with zeroという考え方なのですが、これも紹介できたらいいなと思っています。


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