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(韓国語)連結語尾と用言のタイプ 【-고, -(아/어)서】 #12

 今回は使い分けの難しい連結語尾 -고 と -(아/어)서 を、これらと結び付く用言の観点から解説します。ただし、-고 と -(아/어)서 の使い分けを網羅したものではないので注意してください。-고 と -(아/어)서 の使い分けに関しては、あとでコラムを用意したいと思っています。

 以下の解説では、主語が異なる例は除きます。主語が異なる場合、-고 なら対照、-(아/어)서 なら原因・理由の意味を表します。詳しいことは #5 を参照してください。それから、「〜して、〜して、…」と列挙する場合は -고 を使いますが、これは用言の性質とは無関係なので、このような例も脇に置いておきます。

 新たな試みとして、まずは問題を解いてみてください。括弧の中の動詞は -고 と -(아/어)서 のどちらを入れるのがより適当でしょうか?


① 도서관에 (가다) 공부한다. 「図書館に行って勉強する」
② 의자에 (앉다) 공부한다. 「椅子に座って勉強する」
③ 다리를 (꼬다) 앉는다. 「足を組んで座る」
④ 불을 (끄다) 방을 나갔다. 「灯りを消して部屋を出た」
⑤ 그 소식을 (듣다) 놀랐다. 「その知らせを聞いて驚いた」
⑥ 오늘은 차를 (타다) 왔다. 「今日は車に乗って来た」
⑦ a. 야채볶음에서 파를 (빼다) 먹었다.
  「野菜炒めから葱を抜いて(葱を抜いた野菜炒めを)食べた」
     b. 야채볶음에서 파를 (빼다) 먹었다.
  「野菜炒めから葱を抜いて(抜いたその葱を)食べた」
⑧ 사진을 (찍다) 증거를 남긴다. 「写真を撮って証拠を残す」
⑨ 엄마를 (닮다) 그림을 잘 그린다. 「お母さんに似て絵が上手だ」




👇以下解説👇



 非常にざっくりとした -고 と -(아/어)서 の使い分けとして、他動詞であれば -고、自動詞であれば -(아/어)서 と結びつきやすいということが言えます。正確に言えば、他動詞らしい動詞ほど -고 と相性がよいと言えます。ここでは -를/을 を取るものを他動詞、取らないものを自動詞と考えておきます。

 問題の①, ②は自動詞、それ以外は全て他動詞の例でした。

① 도서관에 가서 공부한다.「図書館に行って勉強する」

  가다, 오다 などを移動動詞と呼びます。移動して、その移動先でなにかをする、というような場合は -(아/어)서 を使います。가다 は「-를/을 가다」も可能なので微妙なところもありますが、基本的には自動詞寄りと考えておきます。

② 의자에 앉아서 공부한다. 「椅子に座って勉強する」

 特に -아/어 있다 で「〜ている」の形を作れる 앉다, 서다, 눕다 などの自動詞は、ある様子、状態で、という意味の場合 -(아/어)서 を使います。

 ①, ② のようなタイプ以外の自動詞は、大抵「〜して(から)」という順序的な意味を表したい場合は -고 を使い、順序というよりも手段を表したい場合は -(아/어)서 を使うと考えておけば、だいたいうまくいきます。
 일하다(働く)という自動詞を例に取って見てみましょう。(1) では単純に順序のことを言っている(働いてから来る)ので -고 を用いていますが、(2) では、たしかに順序としては働いてから養うんでしょうが、どちらかというと、「働くことによって」という方法、手段という意味なので -(아/어)서 が用いられています。

(1)
엄마 일하고 오니까 너 자고 있으라고 했잖아
お母さん働いて来るから寝てなさいって言ったでしょ

(그 해 우리는 ep. 15)

(2)【焼き肉屋にて】
나는 열심히 일해서 온 가족 먹여 살리고 있거든?‎
나도 가끔은 이런 날이 있어야 숨통이 좀 트이지
わたしは一生懸命働いて家族全員養ってるの
わたしもたまにはこんな日がないと、息が詰まっちゃうよ
(숨통이 트이다 は「気管が開ける」で「息がつける、ほっとする」の意)

(기상청 사람들 ep. 11)

③ 다리를 꼬고 앉는다. 「足を組んで座る」 

 一見 ③ も ② のような様子、状態を表しているようですが、꼬다 は -를/을 を取る他動詞です。ここで差が出てくるので注意してください。다리를 꼬다 含め、손을 잡다(手を繋ぐ)とか、안경을 끼다(眼鏡をかける)とか、自分の身体に結果が及ぶ動詞は基本的に -고 を用いると覚えておくと間違いが少なくなります。

(3)
응, 명상하는 거야‎
이렇게 손을 무릎 위에 올리고‎ 이렇게 눈을 감고 호흡에 집중하는 거야
うん、瞑想するの。
こうやって手を膝の上に載せて、こうやって目をつぶって呼吸に集中して。

(갯마을 차차차 ep. 12)

④ 불을 끄고 방을 나갔다. 「灯りを消して部屋を出た」

 끄다(消す)、깨다(割る)など、目的語に対する影響が大きい(例えばお皿を割ったら元には戻らない)他動詞らしい他動詞は -고 と相性がよいです。 
 あるいは (1) と④ のような例を合わせて、後続する動詞が 오다, 나가다 のような移動動詞の場合は -고 を使うと覚えてもよいでしょう(例に漏れるものはありますが)。

⑤ 그 소식을 듣고 놀랐다. 「その知らせを聞いて驚いた」

 듣다, 보다 のような感覚に関わる動詞は、見たり聞いたりして、どういう反応をしたか表現したい場合 -고 を使います。よく -고 の形で使うという印象があるかもしれませんが、-(아/어)서 の場合もあり、듣다 であれば「聞いたので知っている」のように原因・理由を表すときです。

(4)
뭐, 얘기는 들어서 대충 알고 있습니다
まぁ話は聞いてだいたい知っています。

(기상청 사람들 ep. 1)

⑥ 오늘은 차를 타고 왔다. 「今日は車に乗って来た」

 「(乗り物)に乗って」という場合に -고 を使うというのは初級テキストでも出てくる内容かと思います。ただ、「乗って」をいつも 타고 と訳していてはいけません。乗り物を移動手段というよりも、ある種の空間と捉える場合、타서 もありえます。その場合、-를/을 타고 ではなく - 타서 と助詞もかわります。これは ② のような例とひとつながりと言えます。「(場所)に位置して」という場合は -에 [動詞]-(아/어)서 のように表現すると考えればよいでしょう。

(5)
차에 타서 안전벨트를 매고 시동을 걸었다.
車に乗ってシートベルトを締め、エンジンをかけた。

(作例)

⑦ a. 야채볶음에서 파를 빼고 먹었다.
 「野菜炒めから葱を抜いて(葱を抜いた野菜炒めを)食べた」
  b. 야채볶음에서 파를 빼서 먹었다.
 「野菜炒めから葱を抜いて(抜いたその葱を)食べた」

 他動詞の大原則です。後の動詞と目的語を共有している場合は -(아/어)서 を、していない場合は -고 を用います。b の場合は "파를 빼서 (파를) 먹었다" というように、発音はされていませんが後の「食べた」の目的語も「葱」です。よって -(아/어)서 が適当です。ただ、この大原則からも漏れる例があり、それは、物体をリリースするような動詞のときです。例えば 넣다(入れる)では、目的語を共有していても -고 を使います。

(6)
닭고기를 기름에 넣고 그대로 튀긴다.
鶏肉を油に入れてそのまま揚げる。

(作例)

 また、正確に目的語を共有していなくても "친구를 만나서 같이 밥을 먹었다"(友達に会って一緒にご飯を食べた)のように広い意味で共有していれば(友達に会った状態でご飯を食べる)-(아/어)서 を使います。

⑧ 사진을 찍어서 증거를 남긴다. 「写真を撮って証拠を残す」

 これは (2) とつながる例ですが、方法、手段を表す場合は他動詞でも -(아/어)서 を使います。

⑨ 엄마를 닮아서 그림을 잘 그린다. 「お母さんに似て絵が上手だ」

  上で「他動詞らしい動詞ほど -고 と相性がいい」と書きましたが、닮다 のような動詞は他動詞らしくないと言えます。他動詞らしい他動詞とは、④ のところで少し書いたように目的語への影響が大きい動詞です。お母さんに似ていたところで、お母さんに影響は全くないですよね?また、닮다 は -를/을 닮다 とも言えますが、-와/과 닮다 と言えるところも他動詞らしくないと言えます。
 他にも 찾다(探す)は他動詞ですが、探している時点では目的語は存在せず、影響を与えようがありませんので、典型的な他動詞とは言えないところがあります。찾다 は-(아/어)서 が付き目的を表すことが多いです。ちなみに、映画 "Finding Nemo" の韓国語の題目は "니모를 찾아서" です。


 なお、-고 と -(아/어)서 に似た連結語尾に -고서 がありますが、こちらについては以前論文を書き、その短い解説も書いたので、気になるかたはご覧ください。
https://note.com/shirokuma_nori/n/n4e2b4b30e2a1?magazine_key=m2b007f959ce4

 日本語から考えると、「〜て」をいつも -고 や -(아/어)서 で訳せるわけではなく、-면서 や -다가 で訳さなければならないこともあります。いろいろな例を見ながら -고 と -(아/어)서 に慣れてもらえればと思います。

 今回は結び付く用言のタイプという観点から -고 と -(아/어)서 の使い方を簡単に見てきました。次回からはまた少しテーマが変わって、連結語尾が過去を表す -았/었- などの文法要素と組み合わさるとき、どのようなことが起こるかという観点から解説していきたいと思います。

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