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風が教えてくれた、友人のおかげで知ったカレーパン

私はカレーがあまり好きではありません。好きではないといっても嫌いではありません。強いて言えば、選んでは食べないといったところでしょうか。
そんな私に衝撃的なでき事が起こりました。

昨日の帰り。

私は「一緒に帰ろう」と約束した友人を待っていました。
友人はいつも私よりも会社を出るのが遅いため、大抵私は駅で待っています。

その友人とはこれと言って話をすることがあるわけではありませんが、一緒にいる雰囲気が心地よいため、疲れた仕事帰りの安定剤になっている感じ。

友人も私とは特別会話を交わすことなく、いつもスマートフォンをいじって何やらやっています。私は空気のようになっていますが、友人もその時間を少なからず楽しんでくれているように思えるので、私は気にすることなくいられます。

たまに、パンを買って帰ることがあります。
友人と帰る日は友人の分を1つ、買います。

駅のホームで本を読みながら友人を待っていると、

私の前を風が通りました。



「そうだ、カレーパンを買おう」


風が何か教えてくれたのか、その風に押された私は、前からなんとなく気になっていたカレー屋さんに足が向いていました。


私の記憶をたどる限りカレーパンは食べたことがありません。
(そんな私がカレーパンなんて食べれるのだろうか。)

そのお店は駅の近くにあって、いつも何人かの人が並んでいます。
そして買っていく人は決まって5個6個、10個、、、とたくさん買っていくのです。
「家族の分か、おみやげか、、」
そんなに買ってどうする、とカレーパンのファンではない私には不思議でたまりません。

私の順番が来ました。

私の分と友人の分、2つ買う事は決めていましたが、売っているカレーパンは5種類。

とろっと半熟卵入りカレーパン
キーマカレーパン
サモサ風カレーパン
モッツァレラチーズ入りカレーパン
ビーフカレーパン

どれもこれも立派なメニュー。

これまで全く興味がなかったカレーパンに、急に興味が出てきました。

さて、友人はどれがいいだろう。

私的には、半熟卵か、モッツァレラかな。

ということでその2つをチョイスして買いました。

店員の女の子はとても愛想がよく、可愛らしくて、この笑顔がカレーパンの美味しさを証明しているようにさえ感じました。

また駅に戻り本の続きを読み始めると、友人からLINEがきました。

「上司に誘われてしまったから今日は一緒に帰れない」

仕方がなく私は1人で帰りました。
2つのカレーパンを持って。

さてさて、どうしたものか。

帰ってカレーパンを2つ食べることを想像することはできません。

明日のお昼に、2つ?

いやいやそれも考えられず。

あーだ、こーだと考えていたら、思いっきり転んでしまい、付けていたヘッドフォンが飛び出して、危うくカレーパンが!

恥ずかしい思いをしながら、焦る気持ちを押し殺し、カレーパンの無事を確認して歩き出しました。

自宅までの道すがら.........。

.........半熟卵入りカレーパンを、「パクリ......。」

考え及ばず、いつも間にか私はカレーパンにかじりついておりました。

きっと転んで恥ずかしかった自分を清算したかった行動だったのでしょう。

しかし衝撃はその一口目に起こりました。

「オイシイ」

確かに、カタカナで私の脳裏にそう刻まれました。

買ってから、いえいえ、作られてからかなり時間が経っているにもかかわらず、サクサクして、とても味わい深いカレーの味。何よりパンが美味しい。
カレーのスパイスのせいでほんのり辛い演出がパンを引き立てているのか、甘めのパンがカレーの深みを際立たせているのかわかりませんが、とにかくパンがとても甘くて、ふわふわで美味しいのです。

外で歩きながらというお行儀の悪さがさらに新鮮さを招いたのか、私の人生こんなに美味しいと感じたものはありませんでした。

次の日。
もう一つのモッツアレラチーズ入りを。

こちらはちょっとレンジで温めました。

昨日買ったのに、さらに温めたのに、どうしてこんなにサクサクなんだろう!
そして温めたことで中のモッツアレラチーズがこれでもかっというくらいにのびーーーる!

やっぱり 「オイシイ」


このタイミングでこのカレーパンを食べなかったら、きっとこの美味しさを知らぬまま、
私は人生を終わっていたでしょう。


ありがとう。


友人に


そしてあの風に。

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