【2016年9月29日 「ドリーム」日本公開】

1962年に米国人として初めて地球周回軌道を飛行した宇宙飛行士ジョン・グレンの功績を支えたNASAの3人の黒人女性数学者(キャサリン・ジョンソン、ドロシー・ボーン、メアリー・ジャクソン)の知られざる物語を描いた作品。
白人男性ばかりのNASAの職場で、「黒人」「女性」というだけで理不尽な境遇に立たされる3人。しかし、各々が持つ才能と機転の良さを武器に、まさに「実力主義」行使でひたむきに前進し、やがてNASAの歴史的偉業に携わる。
当時のアメリカの人種差別主義はNASAの職場にも蔓延しており、トイレやコーヒーディスペンサーまでが人種分けされていた。
しかし、宇宙開発競争の現場において差別主義は障害であることに気づいたキャサリンの上司ハリソン(ケビン・コスナー)が「有色人種専用トイレ」の看板をバールでぶっ叩くシーンが胸熱。ここからストーリーはキャサリン・ドロシー・メアリー各々の大活躍へと転換。
ラスト、白人男性スタッフがキャサリンにコーヒーを差し出すシーンでNASA内の差別主義が撤廃されていくことを示唆するさにげない演出が心憎い。

本作の原題「Hidden Figure」(隠された数字・人物)が示すとおり、差別によって存在が隠されていた彼女たちが自らの才能と信念で道を切り開いた内容である。日本語タイトル「ドリーム」はちと的外れな感じ。

ちなみに、本作でジョン・グレンを演じたのは、「トップガン マーベリック」で”実はいい奴”ハングマンを演じたグレン・パウエル。

この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?