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World Smart City EXPO 2023 in ソウル(1)

韓国で、World Smart City EXPO 2023 が、9月6日(水)から8日(金)の3日間開催されました。
主催は、韓国の国土交通部、科学技術情報通信部、土地住宅公社(L&H)、K-Walterで、韓国のスマートシティを牽引する組織です。
World Smart City EXPO は、2019年を最後に2020年から2022年はパンデミックで海外からの入国ができず、リモート開催や海外出展者や来場者の無い状態で開催されました。
2022年は3年ぶりの開催であり、ムン・ジェイン政権の第4次デジタル産業革命のパンデミック期間でも進行していた韓国のスマートシティの現在地を見られる展示会であり、展示物も多く盛況でした。
2023年は、2022年と比較すると出展者や展示内容も質素にな印象を受けました。
異なるのは、2019年や2022年に数多く展示されてた実証試験のソリューションやサービスが、2023年では実装レベルで普及を始めているソリューションも多く、その点ではスマートシティがすっかり定着している印象でした。
自治体とソリューションベンダーがそれぞれ出展をしていますが、自治体は国土交通部のスマートシティチャレンジの助成金プログラムで採択された自治体でその成果発表の色合いが濃い気がしました。

会場入口

いつもは一人でじっくりと展示物を見て回るのですが、今回はゲストを2名同行していたのと、ビジネスミーティングが重なり、ほとんど有効な取材ができなかった。
会場から宿に戻って撮影した写真をチェックすると、いつもの1/10の以下しかシャッタを押していない事が分かり、深い反省をしました。
全体的に、おとなしい展示が多かったのですが、気になるソリューションの展示や自治体の活動も見受けられました。
韓国のスマートシティを牽引するのは、国土交通部とKAIA、L&HやK-Walterですが、今回のイベントでもL&HのブースとK-Walterの釜山市の展示スペースが大きく様々な展示をしていました。
韓国のスマートシティのパイロット都市は、L&Hの開発をする世宗市とK-Waletrが開発をする釜山市、そして仁川広域市の松島です。
K-Waletrは、釜山の中心部から車で1時間のエリアの河川流域に「エコデルタシティ」という高度スマートホームとスマートタウンのプロジェクトを進めています。
このプロジェクトは、スマートホームを建て、分譲し入居者にはエコデルタシティとしての5年間の実証試験に協力をしてもらいながら。街全体や住宅から様々なデータを取得、分析をしてスマートシティ、スマートホームの暮らしの状態、都市のマネジメントなど分析や管理を行っています。
例えば、エコデルタシティの10数カ所に環境測定のセンサーが設置して環境データを収集していますが、全体の仕組みの中にマルチネットワーク対応のエッジコンピューティング用のサーバーを利用しています。
昨今は、地球温暖化による気候変動による極端気象が発生をしており、温度、湿度、大気、風速などの様々な環境データを取得し、スマートシティのインフラを気象の変化に合わせたマネジメントに活用するのは、省エネ化、CO2排出対策、管理運営の自動化による都市サービスの省力化に必要になってきます。

K-Walterの展示ブース

その他には、京畿道の城南市がマッシブネットワークの実証試験として、ウルトラWi-Fiを搭載したスマートボールを実証試験エリアの河川流域に設置をして、ウルトラWi-Fi+マッシブネットワークによる新しいデバイス管理の方法とエッジ・コンピューティングの実証試験を目指して、そのための設備であるスマートボールを展示していました。

城南市で実証実験に使用されるウルトラWi-Fi搭載のスマートボール

大邱市では、ゴミの不法投棄を監視するためのCCTVカメラを搭載した監視装置を展示していました。
韓国はゴミを資源として捉えて、ゴミの種類による分別回収が行われています。
しかし、ゴミの収集日でない日にゴミを投棄したり、ルール違反をする人々が居て、不法投棄をした市民を特定して違反者に注意を促すための設備です。
実際にソウル市内や仁川市を歩いている時に設置されているのを見ました。
設置された装置を隠し撮りをするのではなく、目的は不法投棄防止であり、この装置を設置しているだけで不法投棄の抑止効果がありますし、一定の感覚でスピーカーにより不法投棄者の注意をうながしています。
それでも不法投棄をする人が居た場合には、周囲1km以内に設置されているCCTVの映像から不法投棄者を追跡をして居住先を確認して訪問した上で注意を促します。
CCTVで映像を利用した追跡の場合には、個人情報やプライバシーが気になりますが、韓国ではCCTVの映像撮影では顔にフィルターが掛かります。
もちろん、撮影した映像は行政職員のみが閲覧をして、2ヶ月後には削除されます。
記録が残る撮影は、不法投棄をする市民に限定をしており、ゴミを捨てる動作を映像から検出するためにAIを使用しています。

ゴミの不法投棄を抑止するCCTV監視装置

今回の展示で個人的に気になったのは、シエルターの様な小型のハウジングでした。
ソウルのバス停には、たいていの場合は液晶ディスプレィが取り付けられており、バスの番号ごとに次のバスの到着予定時間が5分などを表示しています。
しかし、最近はも最寄り駅のバス停は写真の様なシエルターが設置されています。
シェルターの中はエアコンの他空気清浄をしており、PM2.0からの避難や、夏の暑さ、冬の寒さをしのぎながらバスを待つことができます。
通常は、Wi-Fiの設置、KIOSK端末やサイネージが設置されており利便性を高めています。

今回の展示では、図書の貸出しや返却を行うためのKIOSK端末なども設置されていました。
今後の厳しい気象変化を想定すると、このようなシェルターは文字通り極端気象からの避難と共に行政サービスや民間サービスの街のサービスポイントにもなりそうな可能性を感じました。

スマートシェルター

その他にもユニークなサービスやソリューションがありましたが、次の機会のご紹介をしたいと思います。

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