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作るならば挿絵入りの本


だから挿絵を入れるのだ

挿絵が好き

挿絵を描いている。
小説に挿絵は不要で文字をひたすら並べたい私と、文字の合間の挿絵が大好きな私が戦っている。どちらも好きだ。

自分の本ならばやっぱり挿絵をつけようかなという気分になる。
ページ数を少なくしたい関係で息もつけないほど文字を並べた本を作っている。一ページに一話だとか、ページを改めたいタイミングはたくさんある。けれどそんな隙間を詰める。ひたすら詰める。

どうしても詰められないときもある。そこで挿絵である。切り損なったイカの刺身みたいにずらずらと繋がる文章の箸休めとして。テンポよく刻まれてきたビートを途切れさせないための音として。文字の海原の灯台として。挿絵は良いものだ。文章を詰められないときに挿絵を挟む。つまり空白を埋めている。

余白をくれと思われるかもしれない。私も素敵な余白を作りたい。穏やかに一息つく。目を休める。思考をいったん置いておく。何か語る。そんな余白を作りたい。だが今は挿絵を挟む時なのだ。余白は……可能ならば本を読む手を止めて身近な空や暗闇を見てほしい。今のところ。

いつか懐に余裕ができたら作りたい本

140文字だとかの短い文を1ページにゆったりと配置した本を作りたい。SSも一話ごとに改ページをしてゆったりとさせたい。文字は大きめに、行間は広めに取りたい。
今はそうもいかないのでページを減らす。詰めていてなお息苦しくない本を目指す。見やすい本にするためにあれこれやってみる。

挿絵は良い。文章の中に現れる絵。私がどちらかというと絵に意識が向くタイプの人間なので挿絵に喜ぶのかもしれない。いつまでも絵本が大好きだ。絵本やそれに近いものを作りたい。
挿絵が好きだし挿絵を描きたい。けれど文章が無ければなんと挿絵にはならない。ならば自分の本に挿絵を付けてみようという実験的な意味もある。
描き方、タッチ、どんな場面を切り取るか。本の雰囲気をどう作っていくか。

そんなこんなで挿絵を付けている。しばらくは挿絵の入った本が続くと思う。そのうち本文の生産が追いつかなくなりそうなのでエアー挿絵を描いていきたい。ある程度挿絵への理解が深まればエアー挿絵も描けるだろう。エアー挿絵を集めてイラスト集にしても良い。物語を作れそうであれば絵本にするのも良い。

『巳継とお化け』の挿絵の話

新刊と挿絵

ところで5月に数年ぶりとなる新刊を発行した。
『巳継とお化け』というタイトル。「朝起きられないことと戦う」がテーマである。私は朝起きられない。朝と戦い続けてきた。これからも戦い続けていく。これまでの起きられなさとこれからの起きられなさを綴った本だ。朝との折り合いをつけた。
エッセイとして書き始めたらこれがなかなか難しく、紆余曲折の末、二次創作の本となった。そういうわけで二次創作の本として発行した。

エッセイは自分の話をしないといけないわけだが、私は自分の話をするのは得意ではない。私の日常は愉快なものではない。朝起きることからして戦いなのだ。生活という密林に潜み、息を殺し神経をすり減らし痕跡を消しながら過ごしている。
無い話をすることが好きだから物語として語ることにし、エッセイを下敷きにした物語が完成した。

新刊については後日改めてまとめることにして、挿絵の話に戻る。

挿絵ができるまで

新刊には挿絵を付けた。どんな挿絵にしようかというところから入った。白黒の絵は久しぶりなので表現を考えねばならない。

表現を選ぶ。
ベタでしっかりとメリハリをつけた絵にするか、点描を入れてふわっとさせるか、線を生かしたペン画やエッチング風にするか。鉛筆画のようなラフなものでも良い。
挿絵といってもいろいろとあるものだなあ。児童書やライトノベル、漫画を引っ張り出してモノクロ表現を考える。
お化け、霧といったワードが本編のテーマだったので点描的な表現を選ぶ。煙、霧、朝靄にかすむ夜明けの街みたいなものをイメージして全体を作っていくことにする。

モチーフとしては花をメインにした。これは原作中に四季の花が取り入れられているためである。花を通して四季の移ろいを感じ、日々暮らすことを描くあたりが原作ゲームの好きなところである。
ゆえに『巳継とお化け』でも四季の花が入れ替わりながら登場する。私の身の周りに咲く花々である。作中に名前の出た花の一部を挿絵とした。

全体の雰囲気、表現、モチーフが決まったのであとは挿絵を入れる箇所に合わせて味付けした。
本文も挿絵もweb上に公開していくスタイルなので、こちらでも2点ほど紹介する。他の挿絵はTumblrにまとめている。

定位置の椅子
早朝の奇跡

お化け感や、朝起きられなくて頭がぼんやりし目が霞む感じが出ている。

『漂流する天使譚』の挿絵を描き始めた話

次の本の挿絵、作成中

次の本は一次創作で、140文字でひとまとまりの文章。これを80本ほど連ねた。
数年前に企画した『漂流する天使譚』のために書いた文章を本にしようというものだ。
何年か前から本にすると言って作業していたが、今年やっと発行の目処が立った。というか今年発行を目標とした。

どうして作業が難航していたかというとやはり詰め具合である。本文を詰め詰めにしたい私と1ページに1話配置したい私が戦っていた。
短文というものはなかなか本にまとめるときにレイアウトが難しいものだ。
詩集だとか歌詞カードだとかを見ながらああでもないこうでもないと考えていた。掲示板のイメージで本文を作っていたので、付箋のようにレイアウトするとか漫画のようにコマ割りするとか雑誌のような組み方も考えた。
ここに挿絵が登場して、今予定している形に収まることになった。

挿絵込みの構成となっているので、半分は絵本の気分でもある。挿絵の存在意義が光り輝く一冊になる。一瞬「挿絵の部分を空白にして余白そして余裕のあるレイアウト」が浮かんだが横にそっと寄せておいた。私は挿絵のある本を作りたい。

作業の進捗を忘れがちなので挿絵は出来た分を公開している。相変わらず公開していくスタイルである。
挿絵は窓で、80枚くらい描く計算。今のところ残り20枚で完成する。
絵と文章の仮配置も済んでいて、ざっくりした全体像が見えている。

本文もカクヨムにまとめている。

作業の過程などは本が出来たらまとめていく予定。

おわりに

挿絵をたくさん描けて楽しい、という話でした。
挿絵をつけたいと思った方はぜひつけてみてください。挿絵が好きな人がここにいます。挿絵を誰かに頼みたい方には私が挙手しているのでご検討ください。
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