ハロウィンの夜に死んだ友人が助けに来る話/名探偵コナン『ハロウィンの花嫁』
私がコナン映画で一番好きなハロウィンの花嫁を久しぶりに見たので感想を綴る。
コナン遍歴
実はハロウィンの花嫁を見るまでは、コナンは映画は毎年見る、アニメはやっていたら見る。くらいの比較的ライトなファンでした。だから警察学校組のことも、そんな人いたなあ、くらいの認識だったのですが、見事にこの映画に撃ち抜かれて思わずアニメ再履修して、警察学校編の単行本とゼロの日常を買いました。今はだいぶヘビーよりのファンになってきたと思います。
原作と、黒鉄の魚影、そして100万ドルの五陵星を経て今、改めてハロウィンの花嫁を見たので、今更ながら感想を綴ってみます。
初見感想
2022年に映画館で見たのが初見になります。鑑賞後は胸がきゅっとなる寂しさでいっぱいでした。あと、終始ドキドキする展開が多くて、ちょっと疲れてた気がします。
以下、ハロウィンの花嫁ほか、歴代コナン映画のネタバレを含みます。
日本警察
ハロウィンの花嫁は日本警察が歴代映画の中でもトップクラスに活躍します。コナンは登場人物が多すぎるから、毎回全員が大活躍なんてことはない。日本警察好きからしたら、ハロウィンの花嫁のみんなの活躍は嬉しかったです。
特に主役を張った高木刑事・佐藤刑事は好きが増す。もう目の前で大切な人を死なせないと決意する佐藤刑事も、刑事の佐藤さんに恋焦がれて、自身も立派な刑事であろうとする高木刑事も、好きになるしかないでしょう。
元刑事の小五郎さんが躊躇いなく哀ちゃんを助けに走った場面もとても好きです。退場は早かったけど、カッコ良い小五郎さんが見られてよかった。
あと由美さん。出番は多くないけど、佐藤さんに優しく寄り添う姿はとても印象的でした。
それから、捜査一課の面々が「降谷零」に近づいていくドキドキ感に興奮しました。降谷さんからしたら、高木・佐藤は死んだ友人が目をかけていた人物で、きっと大切にしたい人たち。降谷さんに孤独な思いをしてほしくない気持ちと、黒の組織壊滅のために「安室透=降谷零」には行き着いてほしくない気持ちとでぐちゃぐちゃでした。
いつか、平和になった世界で松田や伊達の話をしてほしい。叶うなら原作で見たいが、、、
警察学校組のターン
降谷さんとコナンくんの会話の途中で、3年前に爆弾犯と遭遇し、同期4人で戦ったお話が出てきます。
一寸の瞬きを躊躇うほど、ずっと緊迫感があって、苦しいシーン。今ほど完璧ではない降谷さんと、お互いを理解して自分の仕事をきっちりやる同期3人。4人で戦ったのはこれが最後と、初見から分かっていることほど切ないことがあろうか、、、この事件の翌日、ひとり死ぬ。そこからしばらくしてまたひとり死ぬ、さらにもうひとり死ぬ。3年後に生きているのは、ひとりだけ。なんて悲しい戦いなんだ、、、
私は諸伏景光を推している人間なのですが、ヒロの回し蹴りがカッコよくてたまりません。音が重くてすごい。もう一回映画館で見たい。思えば彼は物語の随所随所で身体能力の高さを披露しているのですよね、、、あの赤井秀一から拳銃を抜き取ることができる人、、、もっと見たい、、、
そしてプラーミャの肩を撃ち抜き、降谷さんの命を救う。公式で、劇場版で、「諸伏景光は降谷零の命の恩人であった」ことが明確に描かれたことで、諸伏景光の死の苦しさが深くなって、、、しんどい、、、
最後、「墓参りのお礼かな」と思いを馳せる松田さんも好きです。萩原が死んで4年間、きっと世界の至る所に萩原さんの面影を見て生きてきたんだろうな。そして4人のハイタッチ。ああ、美しき光景、、、
その後に少年探偵団のターンが続きます。コナンくんの状況判断の早さと度胸に感服。それと、爆弾の成分を風見さんに渡すシーン。コナンくんから公安警察への信頼が見えて好きです。
前後の映画との比較
緋色の弾丸→ハロウィンの花嫁→黒鉄の魚影の繋がりが切ないなあと思います。
コナンくんが犯人を撃ち殺そうとする赤井さんに異を唱え、死なせなかった緋色の弾丸。自分の両親を殺した犯人を命懸けで救い出したヒロがメインを張ったハロウィンの花嫁。さらには、ラストでコナンくんが月を背景に飛ぶシーンがあり、コナンくんが「犯人も死なせない」と固く決意するきっかけになった『月光殺人事件』を想起させる。コナンくんは原作ではFBIと密に協力していて、(黒の組織に関して)日本警察とは一線を引いているような雰囲気がありますが、「犯人を死なせない」信念は日本警察と通じるんだよな、、、と思うとこれからの組織との戦いとFBI、公安の関係がどうなっていくのかが楽しみです。
プラーミャを殺そうとするエレニカの手を握って、抱きしめて殺意を止めたコナンくん。きっと小さい姿だからこそ止められたもの。だけど黒鉄の魚影では、小さい姿なせいで、蘭ちゃんを自分の力で守ることができなかった。新一くんは元の姿に戻りたいとずっと思っているんだろうけど、小さい姿だからこそ守れたものもあることを知っていて欲しいなと思いました。
それから、コナンくんのこの言葉。
「プラーミャを撃ったところで、息子さんは帰って来ないよ」
このセリフを、赤井秀一を「殺したいほど憎んでいる」降谷零が主役の映画で、そのきっかけになった諸伏景光が主役の映画で描かれたのが苦しくて苦しくて、、、
「赤井秀一を撃ったところで、諸伏景光は帰って来ない」
この言葉を、降谷さんはどう受け止めるのだろうか、、、
そもそも降谷さんにこれを言えるのは諸伏高明くらいしか思い浮かばないので、降谷零と諸伏高明の今後にも期待。
ところで、上記のように私はハロウィンの花嫁の中に赤井秀一の存在を感じたわけです。同様に、黒鉄の魚影で「ライ」「バーボン」と呼び合うシーンで「スコッチ」の存在を感じました。降谷さんが赤井秀一を考える時、ずっとその向こうに諸伏景光を見ているのだろうし、赤井さんも降谷零を考える時、その向こうにスコッチを見ているのだろうと思います。
諸伏景光、謎多き男、罪深い、、、大好き、、、
ゲストキャラたち
劇場版恒例のゲストキャラたち、ハロウィンの花嫁はとても魅力的だと思います。
なんと言ってもエレニカ。家族をみんなプラーミャに殺害されて、復讐のために生きてきた彼女。家族への愛と自分の信念を持っている強い女性。先でも言及しましたが、プラーミャに拳銃を向けたエレニカをコナンくんが止めるシーンは、歴代映画の中でも屈指の名シーンだと思います。コナンくんの光属性が際立っていて好きです。渋谷の忠犬ハチ公が一瞬映るシーンも良い。
また、エレニカがコナンくんを、自分の息子と重ねて見ているのが一瞬映るサッカーボールからわかります。言葉で説明されないそれが、視聴者の心を抉ってきて、号泣必至。
そしてプラーミャ。共感ポイントが一切ない生粋の悪人でいっそ清々しかった。
そのほか好きポイント
ハロウィンの花嫁という作品の好きポイントは他にもあって、
「いや、別に…」と空を見上げる降谷さんの目が少し潤んでいるところであったり、ED後の降谷さんの一人乾杯であったり、、、
「ただどういうわけか最近は参拝される人数が減っていき、、去年はお一人に、、寂しい限りです。」という住職さんの言葉であったり、、、
それから「ヒロが警察官であった」事実が降谷さんの命と日本を守ったこと。
松田陣平という人間は、エレニカたちにとって希望だったんだろうなということ。「プラーミャの爆弾を止めることは不可能なことではない」と思わせたから。
それからラストで「萩原に似た人にヒントをもらった」話をコナンくんに聞いた時、降谷さんは何を思ったのかな。巡り巡って萩原が助けてくれたんだなとか思ったかな。
さいごに
ハロウィンは西洋では日本のお盆に相当する、死者が今世に帰ってくるイベントだというのは有名な話で。ハロウィンの花嫁は明確に、死んだ友人がハロウィンの夜に助けに来てくれるお話でした。切なくて、苦しくて、寂しくて、そういうところが大好き。
「年に一夜の待ち合わせ」というワードにもあるように、ハロウィンの夜に同期たちに思いを馳せる降谷さんがいる。かも。
ハロウィンの花嫁からもう2年。2025年の映画は長野が主役ということで、期待しすぎはよくないけれど、、諸伏景光が匂ったら良いな、、、
諸伏高明の身体面の強さが見られたら嬉しいな、、、くらい思ってても良いかな。
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