台風の名前のつけ方

 雨は降るけれど台風はこないなぁと思っていたら、正式に観測史上初めて台風が発生ない7月が確定したらしい。

初めて台風が発生しない7月が確定
(2020年7月31日 22時6分 共同通信)
 気象庁によると、南シナ海の熱帯低気圧は31日最終の午後9時の観測で台風に発達しなかった。1951年の統計開始以来、初めて台風が発生しない7月になった。

 このニュースについて夫に話したら、そういえば台風に男女の名前をつける地域ってどこだっけ? アジアだっけ? と聞かれた。たしか、アメリカではアルファベット順に人名をつけると聞いた記憶があるが、男女交互だったか覚えがなく、簡単に台風の名前のつけ方を調べてみた。

 日本の場合は発生順に番号をつける。よくニュースでも台風●号とはよく聞くが、それと同時にアジア名というのもついているそうだ。わたしはこのアジア名については今まで知らなくて、面白いと感じた。

 上記に掲載されている台風のアジア名の一覧をみると、動物や星座の名前、花や人名など多岐にわたって使われていて、なかなか興味深い。

140個のアジア名のうち日本からは、星座名に由来する名前10個を提案しています。星座名を提案した理由として、特定の個人・法人の名称や商標、地名、天気現象名でない「中立的な」名称であること、「自然」の事物であって比較的利害関係が生じにくいこと、大気現象である台風とイメージ上の関連がある天空にあり、かつ、人々に親しまれていることが挙げられます。

 上記のような記述もあって、アジア各国から出された様々な名称はいろんな背景や意図を持っていそうである。下記の論文には採用の経緯がさらっと書いてあるが、わたしはいまいちこのアジア名をつくるに至った経緯をうまく想像できず、どんな流れで採択されたのか当時の様子を見てみたいと感じた。

永田雅「北西太平洋の熱帯低気圧の呼び名の変更 -台風のアジア名-」日本気象学会『天気』1999年10月31日号、pp.701-704.

 ちなみに、夫の疑問の男女の名前をつける国は、アメリカだった。わたしは人名を使うというのは知っていたが、かつて女性名だけだったのを男女均等になるように制定し直しているらしい。さらに、人種グループも配慮したものに直されたそうで、名称というものは政治的な問題と不可分であると再認識させられる。

 日々価値観は更新されるものだが、今まで平気で使われている名称もわたしが生きているうちに刷新されるのだと考えると、自分が違和感を覚えていたものはともかく、そうでなければ世界と自分の間に埋められない溝のようなものを感じるかもしれないな、と思った。

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