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自分のできなさに立ち向かうのって難しい

 会社で働き始めてから数年が経つが、どうしても、職場で一緒に働いている人に対して苛々したり失望してしまう自分がいる。自分と役職や入社年が同期か後輩に対してはそれほどでもないのだが、歳上で役職が上の方に対しては、自分の中で理想や憧れが強すぎるのか、とても腹の立つ機会が多い。

 私がどうしても気になってしまうのは、私が実際にその人から業務上不利益を被っている一方で、その人の自己評価がどうやら高いらしいのが伝わってくることだ。

 俺/私はこんなに凄い・俺/私はこんなに頑張っている・俺/私はこんなに成果をあげている・俺/私のおかげでこの組織や仕事は回っている・俺/私が若い頃は今の若手よりももっと仕事ができていた・等々。言動からそういうふうに感じているのが伝わってくるし、場合によっては実際に口にする。

 一定の役職まであがっている方々なので、おそらくなんらかの優秀さや実績が認められているはずなのだが、私は業務上不利益を被っているのでいまいちそれが分からなくて困る。ここでいう業務上の不利益とは、些細なところではメールチェックをきちんとしないので連絡事項が伝わっていないということもあれば(人によってはメールを見ないと断言する人もいる)、依頼事項を悪い意味で適当に報告されてしまい、結局あとからやり直しになったりやった意味のないことになってしまうというケースもある。マネージャーをやっている人の中には、まったく部下の状況を把握していなかったり、部下からの上申を止めており、めぐりめぐってその悪影響がこちらにきたりもする。

 私が対人関係を苦手としているのもあり、こういうタイプの方と働くのはそうとうなストレスがたまる。それでも、その人たちは自分を優秀だと思っているような言動をとる。それが一層頭にくる。

 ダニング・クルーガー効果というものがある。無精してWikipediaから引用すると「能力の低い人物が自らの容姿や発言・行動などについて、実際よりも高い評価を行ってしまう優越の錯覚を生み出す認知バイアス」のことだが、こういうタイプの方々は一定の役職についていて能力や実績がある程度あるはずなので、この効果はあてはまらないのではないかと思う。

 率直に言えば、能力や実績がある程度積まれている分、若手社員がダニング・クルーガー効果に襲われている場合よりも深刻なのではないかと感じる。若手社員は手厳しい指導を受けて気づく場合もあるだろうが、一定の年齢や役職になると、もはや自分の悪いところに言及する人などいなくなるからである。

 自分はできている、と思っているが、周囲、特に部下や後輩からはうんざりされている状態が、きっとこれからも続いていくのだろう。部下や後輩は面倒くさいからわざわざ気分を害するような指摘をしない。

 この文章を書き始めたときは、思い出すと頭がおかしくなりそうなくらいの怒りに襲われていたのだが、今はもはや自分はこういう人たちのようになりたくないという恐怖心に見舞われている。私自身、かなり自己評価を歪めて高く認識しがちなので尚更である。

 自分のできなさや弱さに立ち向かえる人間になりたい。それがきっと成長につながって、周囲の方への貢献につながるはずだ。

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