見出し画像

私がリモートワークを好きなわけ

 リモートワークが好きだ。在宅勤務も好きだし、サテライトオフィスも好きだし、なんだったら同じ会社の別の部署の席を借りて仕事をするのも好きだ。世間を見渡すと、私のようにリモートワークを好きな人もいれば、苦手でストレスのたまる人もいるという。

 どうして私がリモートワークが好きなのか、つらつら考えてみた。通勤時間がなくなるのが身体的に楽だとか、私の業務内容がデスクワーク中心でやりやすいとか、よく言われることが思いつく。ただ、それ以上に思いついたのは、私はリモートワークが好きというよりも、出勤してオフィスで働くのが苦手なのではないかという仮説だった。より具体的に言うなら、2点ある。


1. オフィスで他人とかかわるのが苦手

 思い返してみると、私はとにかくオフィスで緊張しているのだ。苦手な人とのコミュニケーションはもちろんのこと、関係の良好な人に何か問い合わせを受けて対応するときですから、かなり緊張して接している。どもるし、焦って早口になるし、汗をかく。間違ったことを言って、怒られたらどうしよう。困らせたらどうしよう。そんなことを考えている。

 職場の人と会話をしていないときも、私は緊張している。電話の会話を聞いた人が私に対して何か批判的な思いを抱いていないか、所作を見てだらしないと感じていないか、パソコンの画面を見て何か言われたらどうしよう、そんなことを考えてしまう瞬間がある。実際は、そんなことはないのに(おそらく、たぶん、きっと)。

 どうしようもない、他人への不信感や恐れが、私にリモートワークを好ませているのではないか。この前提に立つと、他の部署の席で働くのが好きな理由もわかる。他の部署は、私に関心がない。私を見てもどうも思わない。誰か他の部署の人間がリモートワークしているな、と思うだけだ。

 この感覚は私が田舎を避け、都会を志向した理由とも重なる。私は他人に関心が強すぎる人や文化が苦手なのだ。他人に強い関心を持つ世界は助け合いも生じるけれども、同時に疎外も生じやすい。私は助け合いを受ける自分よりも、疎外される自分のイメージの方がわきやすい。それほど関係の深くない人からの親切心をうまく理解できないのだ。


2. 所作がだらしないのでちゃんとするだけで大変

 もうひとつ気づいたのだが、私は所作がかなりだらしない。具体的には、昔からふつうに座るのではなく立て膝をついて座るのが楽でついやってしまう。今思い出したが、中学校時代に教室で立て膝をついていて担任の先生にきつめに怒られたときがあった。ちなみに他に注意を受けたのは授業中の居眠りだった。

 大人になってから立て膝をつくのは自分でもどうかと思うが、残念ながら事実である。名誉のために主張すると会社員になってから通常業務中に居眠りはしていない。

 さすがに力強く「オフィスでも立て膝をつきたいです!!!」と主張するつもりは毛頭ないが(さすがに恥ずかしいし)、出勤すると自分にとって楽な姿勢をできないのは事実である。あと、私は高校時代よく早弁をしていたのだが、基本的に空腹を我慢できないので、会社にいると人の目を気にしながら物を食べることになるのがつらい。ぜひみんなもっと物を食べながら仕事をして欲しい。残業するならみんなご飯を食べて欲しいし、残業しなくても小腹がすいたら積極的に何か食べて欲しい。これは強く要望する。


 なんだか、書いていて自分が人付き合いが下手な、だらしない人間だからリモートワークを好んでいるだけのような気がしてきた。ただ、その側面があったとしても、リモートワークでストレス少なく仕事にとりくめればそれにこしたことはない。

 今後は新しい生活様式だなんだと、リモートワークが増えていくような話が世間には広がっているが、一番さかんだった時期よりは減っていくだろう。少なくとも、私の勤務先ではリモートワークは減って出社が増えている。リモートワークがいかに快適か、オフィスで人の目にさらされることがいかに自分にとってストレスなのか自覚してしまった今となっては、週に一日や二日のリモートワークでは満足できそうにない。

よろしければサポートをお願いいたします。いただいたサポートは大切に使わせていただきます。