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遠藤さくら・賀喜遥香「マグカップとシンク」MVロケ地を巡る〜ロケ地巡り#16〜

乃木坂46の33rdシングル「おひとりさま天国」(2023年8月23日発売)に収録されている、さくちゃん(遠藤さくら)とかっきー(賀喜遥香)のユニット曲「マグカップとシンク」のMVロケ地を巡りました。

MVは8月19日に公開されました。ディレクターは林希さん。乃木坂46では他に「泥だらけ」「バンドエイド剥がすような別れ方」を担当されています。

8月27日と28日、「真夏の全国ツアー」東京公演の時に合間の時間で巡りました。


◾️ロケ地① 国立代々木競技場 第一体育館 プロムナード

プロムナードの東側(JR山手線側)から
ダンスの冒頭シーン。これだけで尊い。

モノクロで展開されるメインのダンスシーンが撮影されています。右側に見えるのが第一体育館。まいやん(白石麻衣)の卒業コンサート(無観客・配信)や3、4期生ライブ(2021年)が行われた場所であり、欅坂46の「THE LAST LIVE」(無観客・配信)、その後の櫻坂46の理佐(渡邉理佐)の卒業コンサートの会場にもなりました。

◾️最寄駅 JR「原宿」駅、東京メトロ千代田線・副都心線「明治神宮前」駅

第一体育館の完成は1964年、建築家・丹下健三の設計です。1964年の東京オリンピック、2020年の東京オリンピック(開催は2021年)で会場として使用されました。

第一体育館の全景
位置関係です。第一体育館の南側(マップの上側)にプロムナードがあります。
再びプロムナードの東側から。
右奥に見えるのは第二体育館、その向こうにNHKの放送センター。手前は建設中の新しい放送センター
建設現場がそんなに変わらないので撮影はごく最近か


せり出した部分のデザインは60年代風というか、時代を感じさせます
衣装もブーツも可愛い

国立代々木公園は、歴史が長い分、映画やドラマなどにも多数出てきます。印象深いのは1966年に放送された「ウルトラマン」の第23話「故郷は地球」。子供の頃、何度目かの再放送で見ました。宇宙開発の失敗を隠蔽するために犠牲になった地球人「ジャミラ」が異星人に姿を変えて地球に復讐しようとするストーリーですが、シリーズ内でも屈指の問題作とされ、今もトラウマとなっています。作品中ではジャミラが国際会議を妨害するために会場であるこの場所を目指し、ウルトラマンに敗れるという展開です。エピソードのラストはこの場所でロケが行われ、特徴的な屋根が映っています。とても悲しい思い出と共に。

◾️ロケ地② 蒲田宝塚/テアトル蒲田(蒲田駅西口商店街)

2023年8月現在、閉館しています


かっきーのシーンが撮影されました
先行きへの不安を表すように、照明が絞られています

映画館でアルバイトをするかっきーのシーンが撮影されたのが、「蒲田宝塚・テアトル蒲田」というレトロな映画館です。今はもうほとんど見かけなくなったタイプの映画館で、こちらも残念ながらもう営業していません。

撮影用に貸し出されていて、ホームページで内観を見ることができます。

https://retrovox.co.jp

◾️住所 東京都大田区西蒲田7丁目61−1(東京蒲田文化会館)
◾️最寄駅 JR蒲田駅

JR蒲田駅の西口に出ると、目の前にアーケードがあります。商店街になっていて真っ直ぐ5分ほど歩くと、アーケードが終わるあたりにひっそりと建っています。中には入れません。

ここを真っ直ぐ


うっかり見落としそうになります

◾️ロケ地③ 中野区中野5丁目

昼間は少し雰囲気が違います
劇中ではおそらくですが、道路の禁煙マーク、GUINNESSのロゴが消されています

かっきーがさくちゃんに出会う小さなバーのシーンが撮影されました。画面の左側にある紫色のドアのお店です。昼間に行きましたが店は閉まっていました。

同じドアです

◾️住所 東京都中野区中野5丁目
◾️最寄駅 JR中野駅

中野駅の北口を出て、居酒屋などが細かく立ち並ぶエリアに文字通り「分け入って」行きます。駅から徒歩10分程度だったと思います。

https://goo.gl/maps/1Uo7ZVDkzZ8wxoTdA

場所としては中野ブロードウェイの近くです。現地の写真の右側、GUINNESSビールの看板を掲げているのがアイリッシュバーの「タラの丘」というお店です。こちらの場所を検索していくとわかりやすいです。

現地の写真を撮った場所で右を向くと、かっきーが歩いていたシーンと同じ場所が見つかります。


◾️ロケ地④ 西武狭山線「西所沢」駅

2番線・3番線ホームが撮影場所です


劇中のシーン。さくちゃんが座っています

MVのラストブロックにあたるシーンは、西武狭山線の「西所沢」駅で撮影されています。ちょうど2番線と3番線のホームで所沢駅方面を向いて撮影されています。

都内からだと西武新宿線または池袋線で所沢駅まで出て、狭山線に乗り換えて次の駅です。1時間程度です。

学生時代、この近くに住んでいたので懐かしい。自分が住んでいたアパートを訪ねたら、まだありました。


ホームの端から所沢駅方面を臨む


劇中のシーン


ホームから見上げた架線橋。三角の窓があります


劇中のシーン


さくちゃんが座っていたベンチからの眺めです


「これからだよ 私たち」


◾️番外編
MVの中では使われていませんが、「おひとりさま天国」の発売記念パネル展で掲載されていたオフショット。こちらは、同じ西所沢駅の1番線ホームで撮影されています。


パネル展で掲載されていました
1番線ホームの真ん中あたりです


ラストの駅のホームでのくだりが、シン・エヴァンゲリオン劇場版のラストに構図が似ているという指摘があるようです。まだ映画を見ていないのでなんとも。エヴァは旧劇場版の印象が強く、新劇場版はシリーズの途中で見るのをやめてしまいました。「僕の知っているエヴァじゃない」と感じたからです。全体が暗く、粒子の粗い旧劇場版こそが本当のエヴァだと思っているからです。(と言いつつ、仕事が落ち着いたら、見るのでしょう)

MVの監督がエヴァのファンかもしれないし、アニメが好きなかっきーに寄せたのかもしれないし、たまたま似通っただけかもしれません。エヴァの絵の構成の仕方、画面のデザイン、パッケージのデザイン、細かいカット編集、音楽の使い方、いずれもその後の映像作家に多大な影響を与えており、このMVのディレクターが影響を受けていても何も不思議はありません。

欅坂46のTHE LAST LIVEのDVDが発売された時、その予告編か何かの映像で、エヴァの旧劇場版の影響だと感じた演出がありました。個人的にそう思っただけかもしれませんが。

◾️sinkとthink 「これからだよ私たち」

さくちゃんとかっきー。2人だけのユニット曲は今回が初のはずです。

2人の乃木坂46内での立ち位置を考えると、連想するのが2018年に発表された21枚目シングル「ジコチューで行こう!」に収録された、まいやんとなぁちゃんのユニット曲「心のモノローグ」です。

エース級2人の共演は、グループ内でのそれぞれの立ち位置とそれまでのストーリーが絡み合って、メッセージ性の強い作品になります。「孤独兄弟」(ななみんとまいやん)しかり、「のような存在」(まいやんと飛鳥ちゃん)しかり。

人気と実力を兼ね備えているからユニット曲がもらえるのであり、2人だけのために個性的なMVが作り込まれます。オリジナルメンバーが2人に限定されてしまうので、どちらかが卒業すると、どうしても披露される機会は減ってしまう。残ったメンバーが披露するにしても、独特のプレッシャーと闘うことになるでしょう。


「マグカップとシンク」は、アーティストを夢見て自作の曲を発表しながらもなかなか軌道に乗らない女の子(さくちゃん)と、イラストを描くのが好きだけれど、何を描くべきなのか題材が見つからずに悶々とした日々を過ごす女の子(かっきー)。およそ接点のなさそうな二人がふとしたきっかけで交錯し、前に踏み出す、というのがMVの世界観になっています。

一方でシングルの表題曲「おひとりさま天国」のMVは、メンバーそれぞれが「おひとりさま」の世界を満喫する世界観で描かれています。さくちゃんはギターを手に「音楽」、かっきーは「イラスト」。

それぞれ「おひとりさま」を楽しむ陽気な世界に対して、「マグカップとシンク」は「おひとりさま」だった2人が行き詰まる姿を描いた後、偶然出会い、少しずつ距離を縮めていく姿を描いています。MVの前半部分はモノクロのダンスシーンに加え、夜のシーンだったり、薄暗いバーの店内や映画館など照明を絞ることで若い2人が胸の内に抱えた不安を描きだしているように見えます。

最後、かっきーに何も告げずに町を出て行こうとするさくちゃんに、かっきーが話しかける「これからだよ」のセリフ。

それまで客観だったカメラの視線が主観に変わるので、このセリフが大きな意味を持っていることがわかります。世界は明るさを取り戻し、手を取り合うことで暗く長いトンネルを抜け出したような印象を与えてくれます。

虚構の世界に終始した表題曲に対し、現実の世界を描いたユニット曲。「これからだよ」のセリフは、乃木坂46のこれからのエースがこの二人であることを示しているように思えます。

「シンク」は英語で「sink」。単純に音だけを日本語的に聞けば、「think」にもなります。


これを書いてる時に、かっきーの休養が発表されました(9月9日付ブログ)。

7日に放送されたTOKYO FM「SCHOOL OF LOCK! 乃木坂LOCKS」ではパーソナリティーを務めるかっきーが「マグカップとシンク」の制作期間を振り返り、「頑張ってついていかなきゃ」「さくちゃんの魅力を無くしちゃわないかな」と、いっぱいいっぱいだった心のうちを語っています。

グループの基礎を作った1期生・2期生が全員卒業し、5期生が破竹の勢いで人気と実力を伸ばし、ライバルグループが誕生し、そんな中でトップグループのメイン級のメンバーとして夏のツアーを2か月に渡ってこなし、テレビもラジオも雑誌の取材もこなすとなれば、並の人間では息切れして倒れてしまうでしょう。何より不安とプレッシャーで押しつぶされそうな毎日でしょう。去年の夏、神宮球場で涙ながらに座長を務め上げたとき、かっきーの純真さに改めて強く惹かれると同時に、感情の昂りに自分でもついていけない危うさのようなものも同時に感じました。

かっきーの推しである美月も、責任感の強さから一度、ダウンしています。それがちょうど、なぁちゃんが抜けた直後のことでした。ドラマの仕事も決まり、乃木坂の仕事との両立に苦しみ、ダウン。両立できないなら、と一時は卒業まで口にしたと言います。その後、無事に復帰して以降は、つきものが取れたかのように大活躍。今や乃木坂の顔とも言える存在になりました。

齋藤飛鳥と秋元真夏という大黒柱がついにグループを去り、今が大変な時期だと思います。

ファンは変わらずここにいるので、安心して戻ってきてもらえたらと思います。

今年の神宮公演。スタンドからでしたが、かっきーの笑顔がちゃんと見えました。圧倒的な存在感と、何よりも安心感。この子がいれば大丈夫だという安心感。

「これからだよ 私たち」


2023年9月10日

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