手づくり【お題：行列のできるリモコン←青春の香る #毎週ショートショートnote】

　初めて女の子から相談を受けた。

　同じクラスの小田さんが地下アイドルになったようだが、まだ推してくれるファンが１人もいないそうだ。とても悲しそうな顔を見て、つい「僕に任せて。」と口に出してしまった。こうなると、できることは唯ひとつ。

　「ねぇ、何か道具出してー。」

　「もう、しょうがないなぁ。」
　「行列のできるリモコンー！」
　「の設計図と部品ーー！！」

　コイツは僕を過度に甘やかさないように完成品をくれることはない。三日三晩かけて何とかバレンタインデーの握手会に間に合うように完成させ、放課後、小田さんを呼び出した。

　「はい、これ。このリモコンのボタンを押すと小田さんの前に行列ができるから。」

　「こんなの作ってくれたの。ありがとう！」
　「でも、貰えない…」

　「どうして？これで人気アイドルになれるのに。」

　「…ほんとはね。君と手を繋ぎたかっただけなんだ。」

　「えっ？」

　「チョコレート、手作りしたの。食べてみてくれる？」

おしまい。（410字）
ちょっと締め切りを過ぎてしまいましたが、せっかく書いたので出させていただきました。

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