⑥完結～ねこ、帰ってこねぇぇぇぇ！

昨日である。就業30分前に携帯が鳴った。
「ねこ・・・！猫探してはる人？
うちの倉庫にね、倒れていてね、その子が白足袋はいてて、
首輪もしてて・・・」

走って、走って、走って、
扉を開けて、
「ねこ、どこ？！ねこ！！」

そこにいるよ、と指さした先に、白いバスタオルに包まれて横たわる子。
枕元にカリカリと、ちゅるちゅると、
そして線香二本が静かに煙をたてていました・・・

ご協力いただいた皆様、
ポスター張らせてくれた方、チラシ受け取ってくれた方、
温かい言葉をくれた方、
みんな、みんな、ありがとうございました。

そして、ねこ。
わたしのかわいいこ。
見つけてあげられなくてごめんね。
白足袋と可愛いまずると、四次元ポケットみたいなお腹の白い毛が汚れていたけれど、痩せもせず、毛並みもきれいなままのこ。
信じていいかな。つい最近まで、ちゃんと食べて、のんきにくらしていたこと。
倉庫の天井に空いた大きな穴のせいで、くるしまずに行けたこと。
大きなめのおいちゃん。かわいいおいちゃん。
ごめんね。だけど、だけどまたかえっておいで。
またババのねこになっておくれ。
おいが人で、ババがねこになったら、きっとかってね。
いっしょにくらそうね。
おいちゃんのうた、うたってあげるね。
おいちゃんとババはいっしょ。いっしょのうた。
にじのはしでまっていてね。もうしばらくしたら行くよね。
言いたいこといっぱいあるよ。もっと早くに言っておけばよかったけど。
逝った子にかける言葉はいつもひとつ。
ありがとう。
ありがとう、しかないねん。
ありがとう。

埃で灰色に汚れたお手手を綺麗に洗おう。
洗ったら、ナノイードライヤーでふかふかに乾かして、
綺麗なベッドに、私のにおいの付いたタオルと服をかけてあげよう。
カラダが痛まないようにと、保冷剤を置いたけど、”ばばちゃん、寒い”って言ってるみたいだから、外しました。
膝にのせて、だっこして、キスをします。
気のせいだろうけど、ゴロゴロって聞こえる。
同居の猫が、挙動不審になる。
”様子が違うけど、おいちゃんやで”。怖がって、これがきっかけでこの子がいなくならないように言い聞かせる。
もう、寿命以外で猫がいなくなるのはたくさんだから。
母の友達が号泣しながらやってきた。二人で泣く。泣くだけ泣く。
ペット探偵さんにLINEする。”残念なお知らせ”を感謝を込めて。
優しい探偵さんは、”申し訳ありません”と言う。”僕がみつけられなくて、申し訳ない”と。いいえ、貴方は十分以上にしてくれました。だから私のお礼に、”救われます”なんて言わないで。
ポスター貼った場所を教えてもらったら、週末に剥がしに行こう。
自分でお願いしたところへは、ちゃんとご挨拶に行こう。町中のお地蔵さんたちにも。
おいちゃんは天使になりました。
ずっと天使だったけど、本当に背中に羽をつけて、虹の橋を渡っていきました。ありがとう、なんどでも。ありがとう、しかないから。

というわけで、一か月半の捜査は終了になりました。
皆様、ありがとうございました