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永遠の課題

先日、床屋さんで「女性はお断りしている」というお店に出会った。
どこからどう見ても女性なのだという現実を喜べない自分がいた。
いっそ男性と思ってくれたらよかったと思う。

今でこそ、美容室で男性がカットをするのが当たり前になっているが、昔は。
理容室(床屋)=主に男性が髪を切るところ。
美容室(美容院)=主に女性が髪を切るところ。
と、いうすみ分けがまかり通っていたことは重々承知している。

店主の物言いから、女性客を受け入れていた時代があり、ひどくトラブルになった経験でもあったのだろう、と、推察した。
どうやらトラウマを抱えている風だ。
自分がうまく切り替えられない、と、店主は言った。
自分は女性として認識されたくはない、という思いがあるから、どうにも釈然としなかった。
店主は店主の技術を提供すれば良いのであって、性別によって切り替える必要はない、と、個人的には思う。
だが、店主のトラウマはまた別の問題だから、止むを得ないと諦めた。

美容室は苦手だ。
たいてい女性らしさを配慮され、遠慮がちに切られる。
こちとら女性らしさなどというものは求めていない。

美容師さんは、往々にして、メンズカットを見本にしたところで、女性の髪を切るとなると、どうしても女性らしいニュアンスを取り入れようとする性質らしい。

いっそ、ゲームやアニメのキャラクターを見本にすればいいのだろうか。
現実には不可能だ!と、一蹴される場合もあるだろうけど、その方が理想のスタイルが伝わるかもしれない。

経験上、一発で理想のスタイルにはならないから、近いスタイルを提示して、そこへ少しずつ近づけていく。
毎回そうしてやってきた。
ある程度の妥協はしている。
それでも都度時間はかかるし、自分の中にあるイメージを上手いこと伝えられない感じは、おそらく自分の特性も関係しているから、尚更に申し訳ないと思う。

今回は、一悶着あった。
美容室で揉めるのは初めてではないが、一悶着として数えられるのは過去に一度だけ。
それ故に明確な記憶がある。
今回が2回目であり、最たるものとなった。

毎回、必ず起こる現象は…
1,首を傾げる
2,唸る
3,困惑
これは、美容師さんはもちろんなのだが、わたし自身もどう伝えたら伝わるのかということで同じようになる。

自分のなりたいスタイルを一見して伝えられるものを探してはみる。
けれども、結局は見つからないから、近いスタイルを見せつつ、でもここはこんな感じで、こうで、こうで、こう!
と、一生懸命説明するが、毎回なかなかどうしても時間がかかる。

それでも、大抵はわかろうと努力してくれる。
すごい迷惑だろうなぁ…と、認識しつつも、ヘアスタイルはとても目立つ部分だし、なんとか自分の理想に近づけたい。
その思いを、汲み取ろうと根気よく努めて下さる美容師さんが大半だ。

今回は、匙を投げられた。
いや、ハサミを…
おいおい、誤解を生む比喩だな、やめておこう。

もちろん、初めてのこと。
困ったことに、途中で投げ出された。
あちらなりの言い分があるだろうが、わかろうとする努力が全く感じられなかった。

相性が悪い人間はいる。
どうしても話が噛み合わないことはある。
仕方がないことだ。

もちろん、出来ないことを出来ないと言うのは良い。
できるフリをしてとんでもないことになるよりは大いに良い。

ならば、いっそ最初から何もしないで欲しかった!

と、いうのが今の思いだ。
途中まで手をつけたタイミングで、仕上がりのイメージがつかないから出来ない。
ここまでの施術についてお金はいらないから、キャンセルでいいですか。
と、投げ出すのは、流石に筋が通らない。

イメージがわかないのに、なんで切り始めた!?
と、いう話である。
途中で投げ出すくらいなら、イメージがわかないので出来ません、と、最初にキッパリと断ってくれたら、一悶着に数えるようなことにはならなかっただろう。
全くもって残念なことだ。

このままでは、もやもやしたままで1日を終えることになる。
いや、日付が変わったところで、一日が終わったものとして受け入れられなくなる。
今日中に何としても解決したい。

と、他の美容室へ電話。
幸いにも、予約することができた。

最終的に、かなり理想の形に近づいたと思う。
やはり、なかなか伝わらずに苦労したが、諦めずに根気よく付き合ってくれた美容師さん、本当にありがとうございます。

どのようにしたら、自分がなりたいヘアスタイルを、わかりやすくスマートに伝えられるのか。
永遠の課題だ。


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