アーカイブ:【ヒストリー・リピーツ・ヒムセルフ】

過去に旧Twitterで投稿・連載していたテキストカラテ(ニンジャスレイヤーの二次創作小説)のログ/アーカイブです。ツイート通し番号と専用ハッシュタグの削除をのぞいて本文に変更点は無く当時のままであり、誤字修正や加筆の類はありません。


1.

 ギュグン!ギュグン!

 バイオスモトリによる労働力によって、大型のリフトが降下を始める。数十人は搭乗できるであろうこのリフトには今、二人しか搭乗しておらず、どこか寂しい。二人の内の片方……細身の男はどこか落ち着かない様子だ。

 ゴウン、ゴウン、ゴウン……降下音が鈍く鳴る度に、細身の男は身を強張らせるのだった。「緊張しているのか、エフェメラ=サン?」もう一人の、中肉中背の男が聞く。「……アッハイ。実際緊張しておりまして」細身の男は弱々しく答える。それを見て中肉中背の男はほくそ笑む。

 エフェメラと呼ばれた細身の男の顔は青ざめている。「緊張を解したいのならZBRの投与がよかろう」そう言い、中肉中背の男がエフェメラに注射器を手渡す。「え、遠慮し」「ん?何か言ったかね?時にエフェメラ=サン、君はアプレンティスだね。私はアデプトだ」 

「アッハイ」「アデプト……いや実質マスターだ。 グランドマスターになる男だからな、私は」「アッハイ」「君もそう思うな」「アッハイ」「アデプトなどに収まるような器ではないからな私は」「アッハイ」……ゴウン、ゴウン、ゴウン。リフトは降下し続ける。

 二人を乗せたリフトは軋んだ音を立て、地下4階層で止まった。

【ヒストリー・リピーツ・ヒムセルフ】

 ブーン、ブーンズッズー、ブンズズー……違法乱立高層ビルが乱立する猥雑な街並みに扇情的テクノが鳴り響く。

 雅さ、礼節、奥ゆかしさ、福利厚生……そういったものからはかけ離れた猥雑な場。しかし、まだここは中層、つまり下がある。これでも下に比べれば遥かに良いのだ。

 ここはアンダーガイオン。華やかでありながら奥ゆかしさも兼ねたアッパーガイオンとは真反対の地下都市。貧窮民、社会の汚点……そういったものが押し込められた、謂わば掃き溜めの場。

(やってしまった。またZBRを……足を洗ったのに!ニンジャになって、免疫力や抵抗力を強靭にしたのに!)エフェメラは悔いていた。まだアプレンティスの身である、それ故にアデプトであるニンジャ……エスカリエの勧めを聞き入れてしまったことを。

 かつてモータルであった頃、ドラッグによって人生を狂わせたエフェメラはノードラッグを誓っていた。そしてそれを態度で示していた。エスカリエも当然その事を知っている。その上でエスカリエはエフェメラにZBRの投与を強要したのだ。

(早く任務から解放されたい。このニンジャから解放されたい!そして再びノードラッグを誓いたい!)メンポの奥で 悔しさを噛み殺しながら、彼は心の底から祈った。そこに「アー、それにしても」エスカリエが欠伸まじりに言の葉を紡ぐ。エフェメラは聞き流そうとした。

(このニンジャは任務とはなんら関連性の無い話しかしないのだ)「それにしてもだ、この場所というのは」エフェメラは聞き流す。「雅さも奥ゆかしさもなく」エフェメラは聞き流す。「笙の音さえない!唾棄すべき低俗な電子音の喧しい事といったら!」エフェメラは聞き流す。  

 聞き流す、聞き流す、聞き流す……。 二人の歩みはゆったりとしている。 エスカリエが何かしら喋りながらゆったりと歩くので、エフェメラはそれに合わせているのだ。彼としては早く任務を終わらせたいのだが、追い越せば何を言われるか、何をされるか、わからない。

◆◆◆

 傲慢たる男は、傍に歩くアプレンティスを見ながら邪悪な笑みを浮かべていた。(これはこれは、聞き流しておるな。ネンコの概念を知らぬと見える。これも報告物だな)「エフェメラ=サンよ、お前もそう思うだろう」「はい」エフェメラは素っ気ない返事を返す。

 その後も幾つかのやり取りがあったが、エフェメラは態度を改める様子が無かった。傲慢たる男、エスカリエはメンポの奥で口元に弧を浮かべる。(このグランドマスターも同然の私に斯様な態度を取るとはな)彼はエフェメラの露出している部分の肌を見る。青白い肌を。

 エフェメラの青白い肌は、ただ日に焼けていないというようなものではない。日が届くことのないアンダーガイオン出身者特有の肌だ。アッパーガイオン出身者との外見上の差異は一目瞭然。これはエフェメラがアンダー出身者であることの確かな証拠だ。

「それにしてもアンダーガイオンは臭い!実際不潔だ!こんなところで生まれ育った者がいるなどとても信じられん!そんな輩には同情を通り越した感情が湧き出るというものだ!……お前もそう思うだろう?」エスカリエはエフェメラのアンダー特有の青白い肌を見ながら言った。

「!!……は、はい」エフェメラは青白い肌を一層青くして俯いた。彼は自らの出身地であるここ、アンダーガイオンが良い場所だとは勿論思っていない。だが、腐っても故郷なのだ。それへの罵倒には、流石に反応をしてしまった。エスカリエは邪悪な笑みを浮かべる。

「フゥーム?なんだねエフェメラ=サン、その返答の仕方は。ギルドのニンジャはそのような気の抜けた返答など……これは査定物であるな?」「……はい」エフェメラは憎んだ。浅はかな自分、そしてこのアデプトに。(ああ、なんたるウカツ!俺の栄光の道は消え去った!)

◆◆◆

 数分後。彼等は猥雑な街並みから少し外れた建物の前にいた。「とことん」「感じが良い」「あっ、スゴイ」などの看板の仄かな電光が二人を照らしている。「さてエフェメラ=サン。任務の最終目的地点だ」「はい」「君の初任務が故、キンボシは君に譲ろう」

 エスカリエは懐からマキモノを取り出し、エフェメラに押し付ける。エフェメラは何度目かわからぬ憎悪を抱いた。(何がキンボシを譲ろう、だ。自分が面倒なだけだろう!)彼は平静を装いマキモノを受け取った。「いってきたまえ」「……ヨロコンデー」

 エフェメラがミッション目的地である建物に入って行くのを見届けると、エスカリエは近場のベンチに座り、ふんぞりかえった。彼の脳裏に浮かぶは、エフェメラの怯えた挙動、そして憎悪。彼は自分より下の立場の者への加虐が大好物なのだ。

(それにしても、雅さの欠片もないことよ)目前に佇むミッション目的地の建物や猥雑な街並みを、エスカリエは侮蔑の目で見た。(電子笙の音すらない!雅さ、奥ゆかしさは私を彩る重点要素であるのに!)

(私がわざわざアンダーに降りた目的がこのような胡乱な……)彼はミッション目的地『たくさんショット』の看板群のバチバチとした光を鬱陶しく眺める。ポップ看板で街並みに紛れているが、この建物は暗黒商人のアジトであり、違法武器が実際多く扱われている。

 エスカリエとエフェメラが『たくさんショット』に訪れたのは、彼等の所属するニンジャ組織、ザイバツ・シャドーギルドから与えられたミッションのためだ。ザイバツは近々、ネオサイタマに蔓延るニンジャ組織、ソウカイヤとの戦いを計画している。故の物資調達だ。

(ソウカイヤ。ネオサイタマなどという猥雑の極みたる街で粋がる屑共め)その戦闘には多数のザイバツ・ニンジャの参戦が決定している。違法武器の必要性が無い程の手練れもいるが、一定量のワザマエを持たぬ者も多い。また、クローンヤクザへの装備も必要であった。

(猥雑屑共のためにデスナイト=サンやパーガトリー=サンが出向くなど……)エスカリエが多くの愚痴で心の中を満たそうとしたその時、彼の持つ端末が音を鳴らした。彼は面倒そうに画面を見、訝しんだ。「フゥーム?これは?……救援信号な?」

 エスカリエは『たくさんショット』を見上げた。特に異常は見られない。そもそも、建物に入ってマキモノを暗黒商人に手渡すだけのミッション。救援の必要性は無い。(誤操作か。全くどれだけのケジメ案件を立てるのか!全ての指をケジメせねばならんぞ、エフェメラ=サン!)

 彼は、全ての指をケジメされる事を言い渡されたエフェメラの様をニューロンに描いた。思わず笑いが漏れる。(滑稽滑稽……うむ。私が直接この誤操作を指摘するか。その方がきっと面白くなる。滑稽滑稽)彼は悠然と歩き、『たくさんショット』に足を踏み入れた。

◆◆◆

「……なんだ、これは!」エスカリエは血の海と化した室内を愕然と見渡し、何度もそう叫んだ。「ア、アバッ……」血の海の中でエフェメラがゴボゴボと血の泡を吹きながらエスカリエを仰ぎ見る。その首にはカタナによる裂傷があった。致命傷。まず助かるまい。

「アバッ、アバッ」「そいつは助からんだろうぜ」部屋の奥から茶色のニンジャ装束に身を包んだ者が現れる。ニンジャ装束。そう、ニンジャ。ニンジャである!その茶色の装束にはクロスカタナのエンブレムが刻まれている……。

「何……何だ貴様は!ザイバツ者ではないな!」エスカリエは目前にカタナを構えるそのニンジャに向かって叫ぶ。そのニンジャはオジギし、アイサツをした。「ドーモ、エスカリエ=サン。バンディットです」エスカリエは訝しむ。「何故私の名を」「その小僧が喚いていたぞ」

 エスカリエは舌打ちする。そしてバンディットと名乗ったニンジャを睨む。(無骨なアイサツ、佇まい。そしてあのエンブレムはソウカイヤの!)彼は侮蔑に満ちた目でバンディットを見ながら、セオリー通りのアイサツをした。「ドーモ、バンディット=サン。エスカリエです」

(気品ある私のアイサツを目にした事を光栄に思うがいい)彼は余裕の様子を見せながらオジギの態勢から顔を上げ……「何!?」と叫んだ。バンディットの姿は無い。割れた窓から吹く風がエスカリエの顔を撫で付ける。彼は素早く窓に近づき、そこから飛び降りた。

 おお、見よ。既にバンディットの姿は遠く、小さなドットめいている!「待て、胡乱者ーっ!インタビューさせろ!」エスカリエはバンディットを追おうとした。だが追いつけぬ。追いつけぬのだ!ニンジャ脚力を活かした全力の走りでも、バンディットに追いつけぬ!何故か!?

 その答えはバンディットの持つ能力にあった。エスカリエには預かり知らぬことであるが、バンディットは常人の三倍を誇る脚力を誇る。そんじょそこらの脚力では追いつけぬのは当然!「ザイバツ・ニンジャよ、オタッシャデー!」高笑いと共にバンディットは走り去った。

「ハァーッ、ハァーッ……おのれ!」エスカリエは怒りに満ち満ちた顔で、バンディットの走り去った方角を憎らしく見る。が、五秒と経たぬ内に跳躍し、『たくさんショット』の割れた窓から、血の海が広がる室内へ入り込んだ。「アバッ、エスカリエ=サン。助けアババッ」

 エスカリエは瀕死の者を見下ろした。助けを求める者を。その者が所有している筈であったマキモノは、跡形も無い。(すると奴は斥候か。アプレンティスであるエフェメラ=サンを殺害しきれておらぬのも納得がいく。決め手に欠けるようだ……最初から逃走の算段だったか)

 エスカリエはエフェメラを見下ろし、バンディットの目的などを推察しながら……別の考え事をした。ミッション失敗。責任の追求。ケジメ。グランドマスターへの道の長大化。(逃れるためには?……目撃者は、私と……バンディットと名乗ったニンジャ……そして……)

 エスカリエは瀕死の者を見下ろした。 当事者を。自分を除く目撃者を。

(この事態を知るは、私と、あのバンディットとかいう胡乱な輩。そして……)エスカリエは瀕死のエフェメラを冷たく見下ろす。「アバッ、アババッ……」エフェメラはエスカリエの冷たい目線に気づいていない。気づけない。最早彼の五感の一つは意味を持っていない。

(将来確実にグランドマスターとなるべき私が、この様な失態を残すはナンセンス)エスカリエは足を大きく振り上げた。(バンディットとかいう輩は強敵であった、そういうことにしておけばよい。物的証拠は無い。ギルドに帰還した者の証言が真実だ)

「エフェメラ=サン」「アバッ」「君はアンダー者ではあるが、記憶に留めておくよう努力するよ」「アバッ、エスカリエ=サン、助けアバッ」「イヤーッ!!」「アバーッ!?」ナムサン!エスカリエの踵落としが、エフェメラの頭部を踏み砕いた!「サヨナラ!」爆発四散!

 エフェメラは実際若いニンジャであった。彼の未来は消え失せた。アンダーガイオン出身、ギルドにおいてはアプレンティス……そんな彼の生きた証は、最早爆発四散跡に見出す他ない。おお、ナムアミダブツ。

 何故若きエフェメラが死なねばならなかったのか?その答えはわからない。ブッダは寝ているからだ。暫定的な答えを申し上げるならば、エスカリエにとって良くない存在となったからだ、としか言いようがない。

「サラバ。エフェメラ=サン」エスカリエは爆発四散跡にオジギをした後、おもむろにスリケンを生成した。尋常ではないほどに薄いスリケンを。そしてそのスリケンを……自らの身体に刺した。「グワーッ!」何度もそれを繰り返す。繰り返す。

(バンディットとかいう胡乱な輩は強敵であったからな)「グワーッ!」幾度か繰り返した後、彼はギルドにIRCメッセージを送信した。『エマージェンシー。ソウカイヤのニンジャと遭遇。エフェメラ=サン死亡。私も重傷な。そのニンジャは逃走。帰還重点』

 ギルドからの応答を確認すると、彼はその場を立ち去ろうとした。直前、エフェメラの爆発四散跡を振り返った。(サラバ。エ、エ……エフェメラ=サン。君のことは記憶に留めておくよう努めるよ。名誉に思ってくれていい……オヒガンが実在するのなら、そう思っていてくれ)

◆◆◆

 ……「実際情けない様です。ケジメは既に済ませました」……「そのニンジャはバンディットと名乗りました。実際強豪であり、ギルドの未来を担うべき尊い若者を失いました」……「私も重傷を負い、近々ネオサイタマで行われるソウカイヤとのイクサへの参加も厳しく」……。

 エスカリエは自らの派閥の長であるニンジャにドゲザをしながら、謝罪の言葉や媚びの言葉を放った。ドゲザは最も屈辱的な行為であり、名家出身の彼にとっては一般的なドゲザ感覚よりも遥かに屈辱的であるはずだ。しかし彼はそうは思っていなかった。

 それはドゲザを見ている者の身分が理由であった。エスカリエのドゲザを無感情に見つめるは、ザイバツ・グランドマスターの一人である。エスカリエは、自分よりも身分が高い相手に対して屈辱的な感性は持たぬ。彼が彼らしい感性を向けるのは格下の者に対してだけなのだ。

 エスカリエはケジメし、ドゲザをし、謝罪をした。ギルドはそれを認め、処罰は僅かな謹慎に終わった。その謹慎の間に、ソウカイヤとザイバツとの戦いが行われたという報が彼の耳に入ったが、彼は然程興味を抱かなかった。自分とは関係のないイクサであると認識していた為だ。

 そのイクサに、グランドマスターである自らの派閥の主やマスター位階のニンジャの参戦への疑念こそ抱いたものの、エスカリエはその疑問をすぐに捨てた。偉大なるロードの考えへの疑問など、愚かだからだ。興味も無い。ロードの考えに興味を抱くなど、シツレイの極み……。

 そのような事は恐れ多い。ただ事実だけを彼は呑み込んだ。そして謹慎を終えた彼は再びギルドから与えられしミッションをこなしていったのだ。アプレンティスやアデプト、一部のマスターを見下しながら。

 それから、数年の月日が経った。

 エスカリエは毎日を理不尽への怒りと共に過ごしていた。彼の位階は未だアデプトであるからだ。彼はそれがおかしいと思っていたし、なぜそうなのかも理解できなかった。「今頃はグランドマスターであるはずなのだ。ちょうど空きも出来ている」「何か言われましたか?」

「いや。なんでもない。任務に集中しろ、ノール=サン」「わかりました」ノールと呼ばれた灰色ニンジャ装束の男は頷いた。彼らは今、アンダーガイオンの六階層に居る。

(あの時も六階層だった)エスカリエは心中で、あの日の出来事を思い起こす。アプレンティスと共に六階層……実際は四階層である……に赴き、ソウカイヤのニンジャと遭遇した時の事を。(あのアプレンティス……フェ、フェ……なんだったか?まぁ良い)

「時にノール=サン、アンダーガイオンは実際臭くて不潔だな」エスカリエはノールの青白い肌を見ながら言う。「ええ、実際汚らわしい場所ですよ!こんなところで生まれ育ったと思うとムシャクシャします!」ノールは声を荒げ答えた。(好かん男だ)とエスカリエは思った。

「ああ、そうだな」素っ気ない返事をエスカリエは返した。彼の心中では、グランドマスターの文字がグルグルと回り続けている。トランスペアレントクィリン、イグゾーション……偉大なるグランドマスターには今、二つも空きがある。

「汚いといえばですよエスカリエ=サン。あの例のあいつ、あれ……」「ニンジャスレイヤーか」「それですそれです。実際あの悪趣味なビラや、イグゾーション=サンを殺めた輩!汚らわしくて許せないですよね!」ノールは興奮しながらエスカリエに言葉を投げる。

「ああ、うむ……着いたぞ」メンポの奥で面倒気な顔をしながら、エスカリエはノールにマキモノを渡した。「君にキンボシをやろう」「ありがとうございます!」ノールはサッとマキモノを受け取り、闇商人アジトへと入っていった。(好かん。どんな罪をギルドに報告しようか)

 彼は近場に椅子が無いかと探したが、何もなかった為、壁に寄りかかった。(ギルドからは簡単な任務ばかりをさせられる。これで今日も任務が終わる……)彼が飽いていた簡単な任務の日々に終わりが近づいている事を、彼は知らない。


2.

(……遅いな)エスカリエは苛立たしげな顔をメンポの奥で作った。(マキモノを届けるだけだろう。これは報告物であるな)彼は装束に刻まれたザイバツの紋を神経質そうに触れながら、若きアプレンティスたるノールがドゲザとケジメをする様を幻視した。

(愚かなるアプレンティス。グランドマスターたるべき私に従っているということを自覚しているのか)エスカリエはザイバツ紋を撫で、苛立たしげな目を建物の入り口へと向けた。(私が直接ケジメをしてやるべきか?)

 エスカリエは歩き出した。一歩一歩大儀そうに。そして入り口前へと至り、扉に手を掛ける。 「……!」何を察したか、彼は飛び退いた。直後、「グワーッ!!」扉がひしゃげ、そこから影が打ち出されたのである!その影はニンジャ!ザイバツ・アプレンティスのノールである!

「何!ノール=サン!?イヤーッ!」「グワーッ!」エスカリエは吹き飛んで来たノールを叩き落とし、見下ろした。彼の脳裏に真っ先に浮かんだのは、あの日の光景。自らの属する派閥の主へドゲザをした時の光景である。 次に哀れな若きアプレンティスへのカイシャクが浮かんだ。

 エスカリエはあの時の光景を思い出しながら、この場において一番の選択を考えた。周りには誰もいない。このエリアでミッションを遂行しようとしているザイバツ・ニンジャは居ない。(カイシャクをすべきか?)彼の出した結論は、あの時と同じ選択であった。

 あの時と同じ。カイシャクを。だが、その必要は無いようであった。何故か?……ひしゃげた扉の奥から放たれたスリケンがノールの頭部を貫いたからである。「アバーッ!サヨナラ!」ノールは爆発四散した。エスカリエは舌打ちし、顔を上げた。そして叫んだ。「何者だ!」と。

 そう間を空けることもなく、ひしゃげた扉の奥から人影が見えた。人影の正体は、スリケンの投擲主である。無論ニンジャ。赤黒の装束を身に纏ったニンジャ。そのニンジャは並々ならぬ殺意と憎悪を滲ませた目で、エスカリエをきっと睨む。エスカリエは動じることなく睨み返す。

「ドーモ、エスカリエ=サン。ニンジャスレイヤーです」赤黒のニンジャはアイサツをした。「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン。エスカリエです」エスカリエもまた、アイサツをした。「私の名はノール=サンから聞いたか」「その通りだ」ニンジャスレイヤーがカラテを構える。

「ふん。ニンジャスレイヤー=サン。貴様の罪は重いぞ。高潔たるザイバツに卑しき刃を向け、下劣な行為を繰り返す!」エスカリエも油断ならぬカラテを構える。ニンジャスレイヤーはジゴクめいた声で言った。「その卑しき刃にオヌシ等は切り刻まれるのだ。ニンジャ殺すべし」

「口だけは達者だな!その口を縫い合わせ、ロードに献上してくれる!このグランドマスターたるエスカリエが!イヤーッ!」エスカリエがスリケンを一度に四枚投擲!ニンジャスレイヤーはそれらを最小限の動きで回避、そして間髪入れずにスリケン投擲。「イヤーッ!」八枚!

 エスカリエは最小限の動きで回避。そこにニンジャスレイヤーが驚くべきスプリントで迫る。「イヤーッ!」カラテの一撃!「イヤーッ!」エスカリエも己の拳を突き出す!互いの拳が衝突!空気が振動する!「「ヌゥーッ!」」両者は唸り、より力を込める。敵を叩き潰さんが為!

「その身に受けよ胡乱者!グランドマスターのカラテを!イヤーッ!」「オヌシがグランドマスターと?面白い冗談だなエスカリエ=サン。イヤーッ!」互いのカラテが高まる、高まる、高まる!「ヌッ……!」エスカリエが押され始めた。「馬鹿な」「イヤーッ!」「グワーッ!」

 エスカリエの拳が砕け、血が吹き出す。だが彼は決断的にニンジャスレイヤーへとケリ・ キックを繰り出した。「イヤーッ!」「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはエスカリエのケリ・キックを後方へ跳躍することで回避した。エスカリエもまた、後方へと飛び退いていく。

 後方へ飛び退いたエスカリエは、その場で高く跳躍した。ニンジャ脚力のなせる尋常ならざる跳躍!「新グランドマスターに相応しきワザマエを貴様に見せてやろう!」高く跳躍したエスカリエは……再び跳躍した!踏ん張る場のない空中で、である!フシギ!

 賢明な読者諸君は疑問に思われたことであろう。如何なニンジャとはいえ、空中での跳躍など不可能なのでは?と。然り。そのような芸当は到底できるはずも無い。だが……読者諸君の中にニンジャ視力を持つ方がおられれば、見えたかもしれない。エスカリエの二段跳躍の秘密を。

 支えの無い空中での跳躍の瞬間、エスカリエの足元に極端に薄く透明な、カバープレートめいた板が出現していたことを。これこそはエスカリエの持ちしジツ。タカイアガル・ジツだ!極薄スリケン生成の要領で薄く脆弱な足場を築き、それを踏み台として高く高く上昇していく!

「高みへ、より高みへ!貴様のようなシツレイの極みたる胡乱者はブザマに地を這い、見上げ、崇めよ!絶対的な階級社会の上位者を!イヤーッ!」彼は一定の高度まで到達すると、空中を走るようにしながら極薄スリケンを何枚も投擲!薄い分威力は小さいが生成時間は短い!  

「ヌゥーッ」ニンジャスレイヤーは飛来する数多の極薄スリケンを回避。だが、「グワーッ!」回避先にも極薄スリケンが飛来する。個々の威力は微々たる物だが、数十枚も直撃すれば通常のスリケン程の威力である。ニンジャスレイヤーは回避を捨て、防御に出た。「ヌゥーッ!」

「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」エスカリエは砕けた拳をも使って極薄スリケンを連続生成、続けて連続投擲。絶対的な自信と傲りが生み出す疲れ知らずのカラテである。今やニンジャスレイヤーは傘を差さずに豪雨で立ち往生するサラリマンの如し!

「いいザマだ!いつまでその防御が保つのか見ておいてやろう!イヤーッ!」極薄スリケンの豪雨が、防御の上からでもニンジャスレイヤーを苛む。「ヌゥーッ」極薄スリケンは直撃の瞬間、その薄さ故に割れ散る。その破片も彼を苛むのだ。彼を守るブレーサーは傷だらけである。

 その様を見ながらエスカリエは思考を働かせていた。(思ったよりも防御が硬い。救援要請をすべきか?)当然、思考の間にもスリケン生成と投擲の手は休めない。(いや……救援要請など屈辱の極みだ。私は実質グランドマスターなのだぞ!アデプトやマスターに救援要請など!)

「下劣!イヤーッ!胡乱!イヤーッ!下等!イヤーッ!」投擲、投擲、投擲!極薄スリケンの雨霰!「ヌゥーッ、グワーッ!」ニンジャスレイヤーのブレーサーが限界の悲鳴をあげながら砕けた。死神の腕を守る物は無し。装束を極薄スリケンが貫き、切り、彼の肌を傷つけていく。

「これが!グランドマスターになるべきニンジャのイクサよ!」エスカリエは豪語し、更にスリケン生成時間と投擲速度を早めた。彼の目に写るニンジャスレイヤーは、腕をクロス字に組んだ防御姿勢のまま、動かない。その顔はエスカリエからは見えぬ。

 防御姿勢の下で苦悶するニンジャスレイヤーの顔を思い浮かべながら、エスカリエはスリケン投擲を続けていた。(……何だ?何かおかしい。唸り声が、聞こえぬ)然り。ニンジャスレイヤーは無言だ。スリケンによるダメージを訴える声も無し。無言。エスカリエは奇妙に思った。

 ……死神は僅かばかりに顔を上げた。その片目は大きく見開いており、瞳はセンコの光めいて縮小している。「何だ……何だ、それは!」エスカリエは動揺した。何か得体の知れない恐怖が彼の背筋をなぞっている。彼の中に宿るソウルが身震いした。死神の瞳孔に。恐るべき瞳孔に。

 死神の大きく見開かれた目に、エスカリエは恐怖を覚えた。一瞬、スリケンを投げる手が止まる。だが、「虚仮威し……虚仮威しだ!イヤーッ!」彼は己を鼓舞し、スリケンを投げた。投擲地点には何も無い。「な……」彼は投擲地点から糸引く赤の閃光を驚愕の目で見やった。

 赤の閃光は、死神のセンコめいた縮小の瞳から糸引いている。死神は、もうエスカリエの近くまで迫ってきている……!「無、無駄な足掻き!イヤーッ!」極薄スリケンを投擲、投擲、投擲!だが、死神に当たらぬ。軌道が読めぬ。ハヤイ過ぎる!

「馬鹿な馬鹿な!」エスカリエは完全に動揺しきっている。(救援は……クソめ!この際、呼ぶしかない!今だけは誇りを捨て命)「イヤーッ!」「グワーッ!?」ニンジャスレイヤーの放ったスリケンがエスカリエのIRC端末を腕ごと破壊!「イ、イヤーッ!」エスカリエ跳躍!

 エスカリエはスゴイアガル・ジツによって薄く脆弱な足場を作り出し、それらを踏み壊しながら、より高く跳躍した。「ニンジャスレイヤー=サン!貴様は私の栄光の道への礎となるのだ!より高みへと至るための!グランドマスター!」極薄スリケン投擲。死神は僅かに被弾した。

 だが死神は怯まぬ。決断的な目で頭上のエスカリエを睨んだ。そして、「イヤーッ!」「ヌゥッ!?」何らかの腕のムーヴをエスカリエは見逃さない。彼は咄嗟に防御した。予測はできても回避は出来ぬ。それがこの死神の恐るべきワザマエ。「……なんだ?」だが何も起こらぬ。

(フェイクか!)エスカリエはそう判断を下した。スゴイアガル・ジツによる脆弱な足場を近くに作ると、そちらに移動した。移動するはずだった。「ア?」出来ぬ。動けぬ。何かに足を引っ張られている……。「何……」彼は己の足を見た。その足には、フックロープ。「何!」

「イヤーッ!」死神の恐るべきニンジャ膂力がフックロープを手繰り寄せる。だがエスカリエも油断ならぬカラテの持ち主。「イヤーッ!」彼はその場で小さく跳躍。足場を生成。踏み壊し小さく跳躍。足場を生成。「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!!」「イヤーッ!!」

 ニンジャ同士の激しい攻防。両者一歩も譲らぬ。カラテ。

 二人のニンジャの攻防は、永久に続くかと思われた。だが。「グワーッ!?」攻防が、揺らいだ。何が?エスカリエは大きく姿勢を崩されながら、状況判断を試みた。彼の目に映るは、凄まじい勢いと共に飛びくる死神の姿が。何が?「馬鹿なっ、馬鹿なっ!」彼は喚く他なかった。

 何が起こったのか?読者の中にニンジャ動体視力の持ち主がおれば捉えられたかもしれない。ニンジャスレイヤーはエスカリエとの攻防に、拉致があかぬと判断。そしてエスカリエがフックロープを引っ張る瞬間に合わせ、フックロープの巻き上げ機構を使用したのだ!

 急速接近するニンジャスレイヤー。エスカリエはフックロープの巻き上げ機構など知らぬ!ただただ喚くのみ!「馬鹿なっ、こんな……イヤーッ!」通常のスリケンをフックロープに投擲。だが傷一つ付かぬ!「ナンデ!?」このフックロープは只のフックロープではない。

「イ、イヤーッ!イヤーッ!」何度も投擲するが、やはり傷一つ付かぬ。そう、このフックロープはドウグ社製のフックロープ。ニンジャのイクサに耐えうる頑強なるフックロープ!「ナンデ!?フックロープ!?理解不能!」エスカリエが喚く間に、死神は直ぐそこへ!

「く、来るな来るな!この高みは私だけのものだ!私の栄光の道を、階段を顕す崇高なる高」「Wasshoi !」ニンジャスレイヤーはフックロープから手を離し、エスカリエに弾丸めいて突撃!「イヤーッ!」「み……グワーッ!」死神の拳!

 直撃。その衝撃を殺さず、ニンジャスレイヤーはエスカリエの背後へと回り込んだ。そして彼をガッチリと羽交い締め!「何を……何をする!私に触れるな!高みを征く存在ぞ!」「オヌシのその高みとやらを今の内に目に焼き付けておくがよい、エスカリエ=サン」

「直ぐにその高みは消え失せ、オヌシは地に堕ちる。それだけでは済まぬ。地より下へ、ジゴクへオヌシは逝くのだ」「何……」「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはエスカリエを羽交い締めにしたまま勢い良く降下。その中で降下態勢を変えた。頭を下に。天地逆転!

「何をするーっ!!ヤメロー!ヤメロー!」頭部を下に勢い良く降下。エスカリエは必死でもがくが、ニンジャスレイヤーの羽交い締めは解けぬ。地が迫る。彼自身が昇った高みが、そのまま彼を襲う事になる。高度が高ければ高いほど、この恐るべきジュー・ジツの威力は増す!

 賢明なる読者諸氏にはお分かりだろう。この恐るべきジュー・ジツの正体を。テキサス独立戦争で暗躍したニンジャが編み出したとされる暗殺技を。アラバマの大地に敵兵の脳天を次々に打ち付け皆殺しにしたと言われる暗殺技を。ジュー・ジツの禁じ手を!

「イヤーッ!」「グワッ……」……静寂。 ニンジャスレイヤーは飛び離れ。ザンシン。エスカリエは地に頭部を埋め。静止。

 ……「グワーッ!!」堰き止められていたダムが決壊するかの如く、静寂は切り裂かれた。地に蜘蛛の巣状の亀裂が走り、直後陥没! アラバマオトシ!

「グワーッ!」エスカリエは落下時の態勢のまま穿たれた大穴に落下!もがき態勢を整えようと思考したが不可能!なんたるジュー・ジツの極め手の繰り出す高高度からのアラバマオトシが生み出した強烈なる降下速度による垂直落下か!「グワーッ!」下の階層の地も突き破る!

「グワーッ!」その下の階層も!「グワーッ!!」その下の下の階層も!「グワーッ!!!」その下の下の下「グワーッ!!!!」その下「グワーッ!!!!!!」凄まじい降下速度共に、エスカリエはアンダーガイオンの下層へと、最下層へと堕ちてゆく……!

「グワーッ!馬鹿な!っ!このような……わ、私は!エスカリエなのだぞ!グランドマスターになるべき男なのだぞぉーっ!グワーッ!!」声が枯れ果てるかと思える程に彼は叫んだ。叫びは落下の勢いが生み出す風圧に虚しく掻き消されていく。

 堕ちていく。地が割れ、割れ。垂直落下する彼の身体はとうとう最下層部へと到達しかかっていた。既に彼のニンジャ耐久力は限界を迎えようとしている……。

 ……これは。「これは、夢なのではないのか」朧げになってゆく意識下で、エスカリエはそう思った。悪夢だ。何故なら、自分が正当に評価されていないからだ。いつまでもザイバツに認められず、マスターにすらなれないからだ。つまり夢。このような夢などは。悪夢とは。もう。

「サヨナラ!」最下層部へ至る地を貫いたその時、エスカリエは爆発四散した。家柄と性分から来る絶対的な自信と向上心を持ち、誰も寄り付けない程の高みを目指した一人の男の生は、暗く冷たい最下層部でひっそりと幕を閉じた。誰一人、その死を見届ける者はいなかった。

◆◆◆

 地に穿たれた大穴の側で、ニンジャスレイヤーはザンシンを解いた。彼は大穴を一瞥すらしない。彼はエスカリエとの戦闘を想起する。油断ならぬ強敵であった。死神は拳を握り、開き、先程よりも強く握りしめる。ザイバツ・シャドーギルド。戦いはまだ終わらぬ。

 イクサ。また直ぐに始まるだろう。だが彼は立ち止まる訳にはいかぬ。ニンジャを殺すために。「Wasshoi !」彼は飛んだ。大きく大きく、高く高く、飛んだ。


【ヒストリー・リピーツ・ヒムセルフ】


◇回顧録◇

私のテキストカラテ(ニンジャスレイヤー二次創作小説)の主な舞台は第一部or第三部のネオサイタマが中心だった。本作は過去作テキストカラテの中では珍しい、キョートが舞台となった第二部時系列のエピソード。

今見ると、ザイバツの組織構成やグランドマスター周辺の設定への理解が浅かったようだ。ネンコや派閥周りを描いていたり、色々と頑張った痕跡はみえるが……。ただ、その理解の浅さがそのままエスカリエのキャラクター性と上手く噛み合っているような気がしなくもない。

登場するオリジナルニンジャ・エスカリエの名は、当時私が通っていた高校の、世界史の授業で用いられていた教材の名から取られている。授業の合間にエピソードのプロットを練ったりしていた思い出。

エピソードタイトルは【歴史は繰り返す】の意……のはずだが、それならばHimselfではなくItselfでは……?まぁ、なんか、彼の歴史は繰り返す的なニュアンスにしたかったのだろうと思います。

冒頭にバンディットが登場するが、当時はまだN-FILESもTRPGもなく、彼のヘッズ間の評価はめちゃくちゃ低かった。一部の人々からは、初期シックスゲイツの一人なのだから実力はあるはず、単に第一部の作風の都合でああなっただけで……というような感じで持ち上げられたりはしていた。私はどちらかというと、後者に属していた。たしか、本作を書いている辺りでアニメシヨンにバンディットが出ていたのかな?それで話題になっていたので、登場させた……ような気がする。その辺は正直なところ、覚えていない。2015年はもう遠い昔のことのようだ。

アニメイシヨンといえば、そう。エスカリエとニンジャスレイヤーとのイクサはアニメイシヨンを意識して書かれている。Flash作画でピョンピョンとエスカリエの立ち絵が飛び回る感じ。そして終盤、決着の場面はより強くシヨン意識。ニンジャスレイヤーがエスカリエにアラバマオトシを喰らわせる場面だ。落下時の体勢のまま=立ち絵のまま、パリンパリンと割れていく地面を真っ逆様に落ちていく様をイメージして書いた。……懐かしいものだ。

エスカリエのキャラクター性やセリフ回し、その末路は結構気に入っている。Escaliers(フランス語、階段の意)の名を冠し、タカイアガル・ジツで高度に位置する者が、深く暗いアンダーガイオンの底へ堕ちていき、誰にも看取られることなく一人死んでいく。インガオホーであるが、しかし……彼は善性の人物でなく、狡猾で悪辣であったが……その最期には一抹のショッギョ・ムッジョを偲ばせる。そういうニンジャは、本家ニンジャスレイヤーにも多く存在する。悪い奴でも最期は物悲しかったなぁ、というような者たち。そんな彼らから感じられる独特な味わいを、エスカリエにも持たせたかった。成功しているかは……わからないが……。

Wasshoi ! と大きく大きく、高く高く飛んでいくニンジャスレイヤーの雄姿でこの物語は締め括られる。理詰めで、文章に意味を含ませて書きがちな私は、兎角こういう対比の描写を好んで書く。それは今でも変わっていない。

以上、回顧録でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?