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シスター・アクト ーこれぞ、ブロードウェイ・クオリティ

圧巻の歌唱力。劇場が満たされる爆発的なエネルギー。

ロードウェイの役者が来日し、全編英語で展開するミュージカル。原作となる1992年公開の映画「シスターアクト」をミュージカルに改変したもので、原作の主人公デロリス・ヴァン・カルティエ役ウーピー・ゴルドバーグを演出に加え、ディズニー音楽の巨匠アラン・メンケンがミュージカル用に全曲オリジナルで作曲。2006年にアメリカで初演後、世界各国で翻訳、独自のアレンジを加えられながら現在まで愛され続けている。
今回の公演は2023年韓国公演版の演出とのこと。演者には韓国人も数名いた。

れぞブロードウェイの興奮。「聖歌隊」のハーモニーはその美しさを伴ったまま、嵐のように渦巻き、大波のようにうねり、2,000席規模の劇場をパンッパンに満たした。もうほんとに、劇場が爆発するのではないかというエネルギー。終演後数分立てなかった。

ロリス役のNicole Vanessa Ortizの安定感のある太い声は圧巻。主演なのだから凄いのは当たり前だが、彼女の人を惹きつける魅力、輝き。まさに「スター」を目の当たりにした。シスター・メアリー・ロバート役Sophie Kimの歌唱による表現力も特筆すべきものであった。彼女は最初控えめで声も小さいが、音楽、友情の力で自分の本当の「声」に気づきそれを発出させていくという、非常に変化の大きい役柄。そんな彼女の内側から溢れる喜び、それを不器用ながらも純粋に感じとり、無邪気に発出させていくその姿を、Sophieは見事に演じ切った。そして修道院長役Mary Gutzi。彼女がこの物語の中で一番葛藤する存在である。神に対する忠誠心、修道院長としての威厳というものと、教会存続にかける思い、友情。自己矛盾を乗り越え、最後に彼女が腰を振って喜びを爆発させた瞬間は、喜びと温もりに満ちた最高にハッピーな瞬間だった。

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