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ASKA 東京国際フォーラム・ライブレポート

この記事は、5月28日に私がstand.fmにて話した内容の文字起こしになっています。
言葉足らずのところは、少し内容を足しています。
「ASKA Premium Concert Tour -Wonderful World- 2023」の東京公演に参加して思ったことを、ネタバレ無しで徒然に話してみました。

ーーー以下、文字起こしーーー

急に放送をやろうかなと思い立ったんです。
5月25日東京国際フォーラムの公演を観まして。私にとって今回のツアーで初めてみる公演だったんですが、観たら、すごくここ1、2年モヤっとしてたものが晴れたんです。すごく楽しかった。
それが何でかなと、先週はずっと考えてて。

私はnoteにASKAさんのことを2019年から書いてきましたが、最近書くことがすごく難しいんですよね。
去年は特に1年間、インタビュー記事に絞って書いてましたけど、ASKAさんについて直接書くのは避けてるところがあります。
でもこのライブを見てだいぶ整理がついた。急に、書きたいなと思った。

ライブレポートでいうと、もう3年前、2020年に書いたんですが、その時に色んな方、それにASKAさんにも読んでもらえて。

でもあれから3年間、いくつかライブを観てきたけど、なかなか書こうとまでは思えなかった。自分の中で整理がつかなくて。
去年からの一年では、4回の公演を観てます。どれも良かったんだけど、やっぱり書こうとすると、どう整理していいか難しかったんですよね。

今ってすごく、文字を使ってコミュニケーションを取るのが難しい時代だなというのは感じていて。
思ってることを書く時に、配慮しなければならないことが増えましたよね。意図してないけど、こういう人が傷つくとか、曲がって解釈されるとか。
書籍とかでは読む人が限られるからいいんでしょうけど、SNSはたくさんの人に読んでもらえる大きなメリットがある反面、この2、3年で文字表現が難しくなったというのがありますね。

それで、今回は書こうと思って3回くらい書き直したんだけど、仕上がりませんでした。私が本当は伝えたい相手でない人への配慮の言葉を書き始めちゃうと、思ったことを書ききれないんですよね。
これは、時間をかけて書けば解決できるんです。でも今は、他の活動で忙しくてnoteにかけられる時間があまりないので、仕上げられない。

かといって寝かしておくと、この気持ちが消えてしまうので、ちょっと思いついちゃって、実験してみたいなと。
聞いてくれてる人がいる環境で、話した言葉をそのままの構成で文字にしてみようかと、それでstand.fmですね。
noteの省エネです。これをやってみようかなと。そんなわけで、お付き合いいただけたら。

なんか今回の公演は…すごく軽くなったなと。観終わって浮かんだ言葉は、軽い、爽やか
今ASKAさんがSNSとかで発信する言葉、メディアに載るメッセージって重いじゃないですか。でもライブを観て、今こんなに軽やかなんだなと。
で、それがすごく自分の中で良かった。

これ、あるあるなのかわからないんですが…ASKAさんのライブって、チケット取ったら当日までもちろんすごく楽しみなんだけれど、でも反面、憂鬱といったら大袈裟なんですが、ちょっと気持ちが重い感じが、毎回ある。
当日に家を出て、電車に乗ろうと歩き出すまで、そんな気持ちが続くんですよね。不思議なんですが。

これ、何でかなと考えると、ASKAさんというアーティストは他のアーティストと全然違って、予定調和にしてくれないからかなと。

私の中にすごく勝手に大事なASKAさん像というものを作り上げてしまってて、それがライブを生で観た時に、壊されてしまう怖さがあって。壊れたことないんですけどね。壊れるんじゃないかという怖さ。

ASKAさんって、みんなが期待するASKAを演じてみようってところがなくて、それが大きな魅力です。
怖いって予感が逆に転がれば、ものすごく良いものを見せてくれる期待感。
良く転んだ場合は心をすごく遠いところまで連れてってくれて、日常では絶対に感じられないような気持ちを味わわせてくれる。

で、それをどっちにするかを決める権限はASKAさんにあって、私はただそれを見届けるしかないという、そのアンフェアさが憂鬱というか、重い感じ。ものすごい図々しい観客なんですけどね。
今回も、当日を迎えるまではそんな気持ちだったけれど、でも観始めたら、全然違う感覚を受けて、ずっと楽しかった。

今回はまず、声がすごくいいですよね。それをご自身が一番喜んでますね、観客よりも。
一曲目、アカペラの高音から入って。一番緊張するときにこういう曲を持ってこようという意識、ASKAさんの声に対する嬉しさが満ちていた感じが、すごく良かったなと。

やっぱり若い頃と比べると少し荒いところとか、もちろんあるけれど、これはこれで本当に、うーん、すごく良かったんじゃないかな。
ASKAさんの音楽って、どんな表現しててもボーカルが真ん中にあるのを、改めて感じましたよね。

で、なんか声がすごく出るからこそ、ASKAさん、ハンドマイクを持ってめちゃめちゃ動き回るんですよ。
で、なんというか、、途中からミック・ジャガーみたいだなと私は思いながら見てて。ASKAさんにはまってる人が見るとすごくカッコいい、でもあまり知らない人が見ると、大丈夫?みたいな。
その感じが、めちゃめちゃ私にとってはカッコよかったんですよね。

何にしてもそうだけど…悪く言う人はいますよね。
うーんと、今のASKAさんのライブというのは、Twitterで信者や尊師とか、あまり良くない感じに言われちゃってるのをたまに見ますけど、良い意味で私はすごく宗教的だなと思ってて
私は信者上等という気持ちで、ASKAさんの音楽を人生の中で、大好きで、楽しんで生きていたいと思っていて、そう決めている人から観るとめちゃめちゃ素晴らしいものだと思うんですよね。
それを信じて…うーん、決めて観ると、すごく深く感動する。

今の時代って、科学的でロジカルな視点と、宗教的で主観的な視点の、覇権争いみたいなところがありますよね。これは世の中的に、ASKAさん界隈だけでなくて。
これまでは絶対に科学だったんだけど、ここ数年で、科学もこのまま行って大丈夫?というところもあって、逆に宗教って危ないな、という再認識もあったりで。これらの考えが戦いあってる状態だなと。

すごくロジカルで合理的な考え方でASKAさんのライブを観てみると、やっぱり良くないと感じるところも出てきちゃうのはわかるんです。もっとこうしたらとか、他と比較したらとか。そうやって見ようとすればするほど、どうしてもそこにはまっちゃう。

でも今のASKAさんを温かく支えている人達って、いろんな方がいるから一概に言えないけど、私自身で言えば、私の人生でこの人の音楽を楽しもうと決めているので、ASKAさんのライブは他で得られないものなんですよね。
そういうことを、こちらがつい考えてしまいがちなアーティストだなと思ってまして。

『晴天を誉めるなら夕暮れを待て』という曲の中の、「科学は正しいと言う 迷信の風で育った」っていう歌詞を、ASKAさんはもう95年あたりに書いていて。
これが胸に刺さって、ん?って思ってきた人が、今でもASKAさんのことを見てるんだろうなって思ってるんで。

なんか、うーん…自分の中にアンビバレントな感情があるんですよね。
ASKAさんって、合理的な存在ではないよなって思ってて、こう言ってしまったら何だけど、色々間違った方に行ってるなって、日々感じたりしていて。
まあ、うーん…アーティストとしての見え方が損しちゃってるなとか、すごく非合理な判断をする人だなと思ってて。
でもその同じところから、みんなが好きって感じるところが生まれてもいるんだろうなと。

今回のライブを楽しんだ人、何だよ、って思った人。
そういう、どっちの意見も目にするのが、なんか会場を出た後は、やっぱりまた気が重くなってるんですよね。それはプロの人が書いた、ちゃんとした音楽メディアの記事に対しても、同じように。

会場でライブを観てる時だけ、最高に気持ちが軽かった。ASKAさんの、私がすごく気になっているところ、注目しているところは非合理なところなので。そこがあるからこそ、チケット代払って観に行ってるんだろうな、とね。
こんなややこしい話、大丈夫ですか?皆さん。

ちょうど私の横に座ってた人、誰かに連れてこられた感じの人だったんですけど、ASKAさんの音楽をどう受けとってるのかなって気にしながら見てたんですけど。

今回は、久しぶりにストリングスの抜けた完全なバンドスタイルで。バンドってすごいですよね、音が、今組み立ててます、って感じがする。
シンセをあんまり使ってなくて、バイオリンを目立たせるためだと思うんですけど、本当にロックな音で。

ASKAさんの音楽って、これ、あんまりいい意味に聞こえないから言いたくないんですが、とてもオーソドックスでありながら、奇妙なところがありますよね。
うーんと、そこを何とか、ロックの方法で組み立てていて、すごくバンドの皆さん、頑張っていたというか。すごく技術のある方々なので、こんなにちゃんとこの音楽を聴かせられるんだっていう感動がありましたよね。

ASKAさんの音楽って何だろうと、ライブを観ながらすごくイメージしてたのは、ガウディの建築で。それが、選曲の良さもあって、全体で炸裂してましたよね。
建築って、ちゃんと重力で立ってないといけないから、ちゃんと理論に基づいてますよね。だけど、意外なところが繋がってる、ここが繋がるの?丸みというか、ロジックがあるんだけどすごく有機的というか。本当、それがどの曲からも感じられて。
これを初めてライブで聴いた人は面白いだろうな、自分は今何を見てるんだ?って不思議な気持ちになったんだろうなと、なんか、すごく誇らしい気持ちになりました。

そしてやっぱり、ASKAさんって、フロントマンですよね。バンドで言ったら。2時間半動き回り、あのエネルギーを出していける人、本当に少ない。
目が惹きつけられますよね。すごく全身使って今歌ってらっしゃるから。それを改めて感じたかな。

あと今回気になったのはアレですね。選曲が、いい意味で軽いなという印象を受けて。
「ありったけ」って言葉を使ってた時期、ASKAさんってブームがありますよね、自分の全部を見せるぞ、っていうブームがあって。どうだって感じで。
それが今回はすごく、びっくりするような選曲で、しかもツアータイトルになってるアルバムからそんなに歌ってない…どういうつもりなんだろうと。

ASKAさんって、たぶん自分で作ったものをほとんど忘れてるんだと思うんですよね。これは予測、ほぼ確かだと思うんですが、ラジオ「ASKA Terminal Melody」のリクエストを聴いて、このいい曲はなんだ?これを今やったら面白いかも、と、ファンのリクエストから選んだ曲もずいぶんあるんじゃないかと。

ASKAさんって、多分過去を忘れ続けて生きてる人ってイメージがあって。本当に今にしか興味がないんだと。それがめちゃめちゃ今回のライブに表れてる気がして。
自分の過去を忘れてる人、それを、その人自身よりその人のことにずっと詳しい観客が観ているという。すごく面白い空間ですね。
そういう点でも、やっぱASKAさんってキャリア的に重みのある人だけど、今は、全部そういうのを見せようってモードじゃないんだろうなと。

軽いなって感じたもう一つは、ASKAさん、今引っ越しブームですよね。
京都に引っ越されたのが、すごく楽しいんだろうなっていうのが伝わってきて。
40年以上住んだ東京から引っ越したことが彼の心のめちゃめちゃ大きな部分を占めてて、それってはっきり言うと、周りの人からは「知らんがな」ですよね(笑)。でもASKAさんはそれにすごく気持ちが向いてて。

引っ越しをテーマにした曲を歌ってくださったけど、それがいいんですよね。いわゆるアーティストっぽいメッセージを込めたりってこと、あまりASKAさんはやらないですよね。本当にその時素直に興味のあるものを歌に込めていて、これまでそうやってきた人なんだろうなと。

今、こんな引っ越しブームで盛り上がっちゃってる心が、これから素晴らしい作品を生んで行くんだろうなと。うん、そう思いましたね。軽いって、いいなと。そうやって作った曲に、割と名曲が多いですよね。

軽いって言えばもう一つ、すごく笑っちゃったことがあるんですけど。
MCで、日付を忘れてたんですよね。前の公演から何日空いてるとか忘れてて、自分は下世話な地上のことは興味がないんだと、もちろん冗談で。
それで、自分は毎日何をしているかというと、UFOを探してるんだと。毎日UFO探してて、乗ってみたいじゃん?って。

なんか、ASKAさんの日頃の発言って、これくらいのトーンなんじゃないかなって。子供の魂のまま、大人になった人が、自分の興味のあるところにだけ向かっていくっていう、そういう人なんだろうなと、このMCで思っちゃいましたね。
日頃の発言、すごく重いこと言ってるなって思うんですけど、重く発言を受け止めすぎてるのかなと。もっと軽くていいんだよ、という感じを受けて。軽く考えると、なんか、愛しいなぁと。

最近の曲で、本当にASKAさんのことだよなと思うのが、『I feel so good』の「ただ上手くなった ツギハギだらけで歩くことに これからも僕はビルの上を飛ぶように」って、こういうことを歌詞で何度も描き直してるよなって。

それをライブでもそのまま言ってましたよね。当日起こったトラブルの話で、「俺はこーんな細いところを、ずっと歩いてきてるもんな」って。
それでまた、『In My Circle』の歌詞を思い出したんですよね。
「歩道の端を落ちないように歩くのが好きだ 腕を広げて 片足ごとに 僕のバランスで」という歌詞。
たぶんずっと、真剣に遊んでいるんだろうなと。この世界を、今興味あること、好奇心の惹かれるところに向かっていって、そうやって楽しんで生きてるんだろうなと。

私は、やっぱり科学の目で世界のいろんなことを見ている、普通の大人ですよね。すごく合理的に。
このライブでは、非合理が本当にど真ん中にあって、それを浴びるような、すごくいいものを観たよなって、そんな感じでした。

…という、まあ、ある意味お花畑の私の頭の中の整理ですが、付き合ってくださってありがとうございます。

ーーー終了ーーー


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