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2024-5-9

毎朝、窓の向こうを眺めて「今日の空気はおいしそうだな」と感じると窓を開け、風を匂う。
今朝はひんやり、最高においしかった。

冬ほど鼻に痛くなく、夏ほど緩んでいない今朝の空気。

空は鉛色で重たそう。
雨を含んだ土、木や草の根っこの匂いが街に充満していて、昨日はあんなに人の世界だったのにどうしたの?と問いかけたくなるくらい、夜のうちに野生の匂いが溜まっている。

「おいしい」と感じる空気は、記憶の中の空気。

子供の頃の記憶を探ると、雨や曇りの日が出てきます。
傘でアスファルトをつつきながら、濡れた花を眺めながら。

雨が好きだったんだな、と思います。

街を歩きながら何かが鼻を通過し、パッと記憶の蓋が開くことがある。
これは「雨の日の図工室」とか、「塾の階段の踊り場」とか、凝った創作料理のメニューのようにお品書きが頭に浮かぶことがある。

理屈ではまったくわからない、でも確かにそうなんだと思えるような感覚が、自分を自分たらしめてくれているような気がしています。

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