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山浦菓子店

1985年の小学校2年生当時、佐久市長土呂に山浦菓子店という駄菓子屋さんがあった。
一般のスーパーでは買えない10円キャンディーやチューインガム等、珍しいお菓子もここでは手に入った。
さらに同年8月にロッテから”ビックリマン悪魔VS天使シリ-ズ”が発売され、ビックリマンチョコを買い求める小学生たちで賑わっていた。
当時私はピアノ教室とそろばん教室に通っており、習い事の帰りにこのお店に寄っていた。
お店には私より年上の子供達も多く来ており、学校の同級生達もよく買いに来ていた。
ある日、同級生の一人が私の知らない男の子を連れてきた。
その子は色白で髪が長くて目がクリッとしていて可愛らしい顔立ちをしていた。
その男の子は同級生と少し話した後、キョロキョロしながら店内を見回し、10円コーラ味のキャンディーを3個手に取り会計を済ませた。
それが私と彼の初めての出会いだった。
それ以来彼とは時々学校で会うようになり、話すようになった。
お互い名前を呼び捨てにするくらい親しくなり、一緒に遊んだりもした。
そして夏休みのある日のことだった。
いつものように駄菓子屋の店内に入るとそこには彼がいた。
ビックリマンチョコが発売され、買いに来たのである。
ビックリマンチョコは当時一個30円で売られていて、私もとりあえず試しに2つ購入することにした。
すると、友人が陳列棚から2つ選んでくれたのだ。
彼が言うには中に入っているシールがわかるというのだ。
ビックリマンチョコのパッケージには黄色と緑色があるが、黄色を選んだのを覚えている。
早速購入しお店を出て開封すると、お菓子と一緒にシールが一枚入っている。
シールを取り出してみると驚くことにヘッドのスーパーゼウスであった。
もう1つも続けて開封すると、またもやスーパーゼウスであったのだ。
ビックリマンシールの種類は天使と悪魔とお守りの3種類であり、各12種ずつあって2ヶ月ごとに改訂され第一弾・第二弾とバージョンアップされていた。
一般的に悪魔シールは地味な色合い、お守りは透明シールで、天使は銀色にキラキラと光っており悪魔の4分の1の割合しか封入されていない希少度の高いシールであったのだ。
また、40個入りの箱に1・2枚しか入っていない、ヘッドというレアシールも存在したのだ。
このスーパーゼウスはヘッドと言われたシールである。
その友人は間もなく千葉県の小学校へ転校してしまったが、不思議な子供だったことを覚えている。

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