はじめての外泊
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はじめての外泊
毎週土曜日の夕方は父が会社から帰宅した後、当時小諸駅前にあったスーパーマーケット”ツルヤ”さんへ買い物に行っていた。
父は土曜日だけは比較的早い時間に帰ってきたと記憶してる。
その後、小諸市西原にあった祖父母の家に行き、夕飯を一緒に食べた。
当時の人気テレビ番組であった”日本昔はなし”を19時から、”大橋巨泉のクイズダービー”を19時30分から観る。
食事の内容は、ごはん、みそ汁、魚(銀鱈や鮭)かハンバーグのようなメニューが多かったような気がする。
当時苦手なごはんは味付け海苔やお茶漬けにして食べきった。
その後は自宅に帰宅する場合もあれば、祖父母宅の家に家族全員でこのまま宿泊することもあった。
帰宅する場合はクイズダービーを観た直後に佐久市長土呂の自宅まで父の運転するクルマで帰宅した。
クルマで約20分程度で自宅に到着する。
寒い時期はクルマの中は暖房で暖かくなり、気持ちよくてウトウトし始めた頃自宅に到着する。
クルマから出て自宅の部屋に入っても寒くて一気に目が覚めてしまう。
電気炬燵に潜って暖を取っていた。
一方、泊まる場合は”8時だよ全員集合”の前半だけを観ることができる。
一世を風靡した、この番組は4歳の子供でも理解しやすく、大人でも楽しめる番組である。
1982年2月のある土曜日。
この日もいつもの土曜日と同じく”ツルヤ”さんで買い物した後、祖父母の家に行き夕飯を食べていた。
私はその日は泊まっていきたい旨を両親に伝えると母親が…
母:パパとママとAちゃん(弟)は帰るけど、Sくん(私)は今日泊まっていっていいよ。
と言ってくれた。
人生初めての外泊のチャンスである。
嬉しい気持ちと少し不安な気持ちが錯綜する。
しかし、優しい祖父母と一緒だし、おばあちゃんも
祖母:「大丈夫だよ!泊まっていきな!」
と言ってくれたので安心した。
クイズダービーが終わると、両親は弟を連れてクルマに乗り込んだ。
いつもは祖父母に見送られるが、今日は祖父母と一緒に見送る側である。
不思議な気持ちで見送った後は、8時だよ全員集合を祖父母と一緒に楽しんだ。
いつもは20時30分までしかテレビは観れないが、今日は最後まで楽しむことが出来る。
20時30分頃、自宅から電話がきた。
祖母:ママから電話だよ!
と祖母から言われて受話器を取る。
おじいちゃんとおばあちゃんの言うことを聞くように…
早く寝るように…
との内容だった。
”8時だよ!全員集合”が終わるとニュース番組を引き続き祖父母と一緒に観る。
普段この時間には食べさせてもらえないお菓子を食べながら談笑し、楽しいひと時を過ごした。
とっくにいつもの就寝する時間は過ぎているが、この日は特別な日であり、特別な時間を過ごすことが出来た。
この後10時30分頃、祖父母と一緒に就寝した。
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