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まさかの思い

彼女はおじいさんが落としたものに気付き、すぐに拾い上げる。それは古い手帳だった。
中になにかが挟まっていたらしく、持った時にひらりと地面に落ちたので、慌てて拾うと小さな子供の写真だった。もしかしたらお孫さんの写真かもしれない、きっととても大切なものだろうと、写真をすぐに手帳にはさみ直した。明日また公園に行った時おじいさんに渡そうと思い彼女もそのあとすぐに帰った。
次の日、やはりいつも通り公園のベンチにおじいさんは1人座っていた。
勇気をだして話しかけてみると案外普通のおじいさんで、手帳を渡したあと少し2人でおしゃべりして家に帰った。

文化祭も無事終わりしばらく経った頃、またいつもの時間に公園の前を通ると、やはりあのおじいさんがいた。しかし、いつものように1人ではなく、隣に小さな男の子も座っていた。その子は写真で見た子にそっくりだった。
ああ、おじいさんが待っていたのはこの男の子だったのか、と彼女はひとり納得した。その後また例の若い男性が迎えに来て、2人は帰って行った。

ここ最近、どこか不思議だと思い様子を見ていたのだがこんな微笑ましい真相だったとは思わず、彼女は少し拍子抜けした。しかし、楽しそうにおしゃべりして帰っていくおじいさんと男の子になんだかほっこりしたので、細かいことは気にしないことにした。
公演を出て、真っ直ぐ家に帰っていく彼女の様子は、どことなく満足げだった。


これで「まさかの思い」は最終回となります。
なんだかお題に逸れてしまった気もしますが、最後までお付き合い下さりありがとうございます。

来週はまた新しいお題になるのでお楽しみに!

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