【掌編】いわゆるキュン死だ、この野郎。
初夏を聴く。そして、くたばる。
いわゆるキュン死だ、この野郎。
女子高生に希少価値があると言うのなら、私は既にその三分のニを浪費したわけだけれど、とは言え残りを何にベットしてよいのかもわからず、今日もこうして自習室に座る。
窓際の一席。乾いた風に、カーテンが揺れる。アリバイ的にノートと参考書を広げてはいるが、ろくにペンなど動かしてはいない。人影がまばらなのをいいことに、音漏れ上等の爆音をヘッドフォンから垂れ流す。
高校三年、五月。
世に言う『青春』の最中にいるのだろうが