【掌編】ゆめみるころをすぎても
トキちゃんと私が恋人同士だったのは、中学二年の二月から春休みに入る直前までの間だった。
「私たち、付き合う?」
どのような文脈であったかは忘れてしまったが、トキちゃんの方からそう訊ねてきた。トイレの手洗い場に並んで立ち、お互いの正面にある鏡を見ながら、顔や髪の毛をチェックしているところだった。
「ヒバリさえよければ、だけど」
トキちゃんは、冗談めかしている風でも、深刻めいている風でもなかった。
「付き合う」って、恋人として?
私たち女同士だけれど?
そもそもトキちゃん、