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20201120春日屋No8、金世佳とサシで呑む(6・完)試訳

金世佳:「一个勺子」の撮影時、契約書にサインしたけど、それが、監督がダメだと思ったら、、、。

「一个勺子」の金世佳。
雪がそこここにある寒さ厳しい町で、主人公である中年夫婦に保護される知的障害者を演じた。
非常にどぎつい守銭奴たちと、体躯は立派だが自分を守ることもできない障害者と、
狭間にたつ夫婦の物語。中国の深い闇を描いた作品。


張承:いつでも降板?
金:いつでも変更可能。
張:うわ、なんて契約。
金:でも、当時は契約書とかよく知らなかったから、できるだろうと思っていたんだよね。
張:うん。確かに。
金:それで、ホームレスの役だから、痩せないとマズイ。
張:(スプーンみたいに?)or(障害児だし?)
金:痩せなきゃいけない。、、、で、上海で生まれ育って、北西部に行ったことがなかったんだ。
房超然:あ~。
金:で、ホントに慣れない食べ物のせいで、ちょっと鬱になりそうだったよ。
張:わかる。
房:牛、羊。生臭ささがね。
金:そう。で、毎日4時間かけてメイク。
房:あ~それは。
金:朝の3時に起きて、メイク。他の皆はメイク10分くらい。少し紅を刷いて、ちょっと黒くしてOK。
房:髪型は。
金:そう、それで、スタイリストとメイクアップアーティスト。張芸謀チームの出身で、スーパープロフェッショナル。彼らは俺の顔に土を吹きかけるんだ。東北から持ってきた黒土ね。
房:これも外から?
金:もちろんさ。
張:正確に。
金:もちろん。
張:そこなんだろうね。スタイリストの成功の鍵。成功は厳格さで、これが他と違うんだよね。
房:そんなに複雑だったんだ。
金:そう。俺、、、。
房:あれは何だろう?と思っていたんだ。化粧品みたいな、、、黒い粉のなにか?
張:いやいやいや。土、土。
金:(化粧品の何かなんて)とんでもない。それからある場面で、マイケル・ファスベンターがマクベス(2015年)を演じた時の写真を見せて、顔に三本ペイントがあったじゃない?こうしてほしいってリクエストしたら、大丈夫、わかったって言って、顔に三本線を描いてくれたんだけど、ピエロみたいで。
房:ああ~~テクスチャが違うね。
金:でも、どうして顔にペイントしたかったのかと言うと、一つの祭祀の感覚。今日死ぬか生きるか。そんな厳しい戦いをしてる。その日臨む撮影はそんな感じだったから。でも、、、俺らの映像はいつもツルっとしてる(顆粒感がない)ように感じるんだ。わかる?
張:わかる。
房:俺もわかる。

張:これまでのところ、佳兄に話したこと、番組で話したのは、上海で生まれ育って初めて西北地域に行ったこと。ネット上で佳兄はとても幸福な役者と言われてて、歓声を受け取ってほしいと多くの人に言われてること。だけど、リアルに俺自身のことを言うと、人間は皆何歳になっても孤独感があると思う。必ずある。見知らぬ街に行って、どうしたらいいかわからないけど、仕事に行って、自分のことで手一杯だったり。俺、初めて上海に来て、初めてのドラマで、上海弁わかんないし、でも、演じるキャラは俺の人生に入ってきて、去っていくわけで。
(金世佳は上海から西北部で初めて行って、張承は天津から上海に初めて来て、見知らぬ土地での孤独感や困惑を並べてる?)
金:片儿警(あの警察ドラマ、の意?外灘警事)
張:片儿警。みんな上海弁を話すけど、全然わかんないし、寂しくてさ。異国にいるみたい。一生懸命仕事するけど、ヒトが想像するような簡単なことではないし、撮影中の幸福感ってほんのいっときで、やっと見せられる時(ドラマの放送)がくる。

左から二人目が張承。

房:あ~。
張:その時のしんどさってさ、プレッシャーは監督だけではないし、共演者も現場の全員にかかってくる。すごく辛い時もある。巧くないと思えばやり直し。照明、衣装、メイク、小道具すべてやり直し。それが俺らの仕事で、乗り越えなければならないことばっかりだ。
房:そうだね。
張:これは、もう全部うまく処理されたことだけど、どう処理したか? 自分が対処するしかなくて、最終的に皆がその結果にOK、イイね、張承はうまくやってくれたって言ってくれたし、佳兄もそう言ってくれた。でも、前から何度も話してきたんだ。撮影からアフレコまで、どれだけのことをやってきたか。次にネット上で意見を言うときはよく考えてからにしてほしいよ。
金:無駄だよ。
張:いえいえ。批判は受け入れます。無駄は無駄。わかってるけど、よく考えてほしいんだ。本当に簡単なことじゃないんだから。楽な仕事なんて無い。
金:誰が気にしてくれるの?
張:うん、誰か気にかけてくれるだろうか?
金:前も言ったけど、アイドルと役者はどうしたの?さっき、大丈夫って話したばかりなのに、なんでそんなこと言うの?
張:俺、、、だから、、、。
房:お前さんの立場は何?
金:どうして?舞台芸術家じゃないのに。
(ドラマなどの映像作品は編集などでカットされてしまうとか、早送りでろくに見てもらえないリスクが宿命、の意?)
房:アイドルでもないし。
金:道理は道理だよ。
張:でも金世佳はアイドルになれるよ。
金:道理は道理。人が多いから合理的になるわけではないし、少ないからって理不尽になるわけでもない。
張:うん、うん。はい。
金:これが道理ですって誰でも言えるしね。
張:今年「金剛川」の撮影に行く前に、モーメントにUPしたんだけど、不意にちょっとした投稿をみて、あまり嬉しいものじゃなくて、今はよくネットを利用してるし、簡単だし、で、金世佳、佳兄、今夜酒を飲んだ後におもしろくないことがあって、微博で皆を叱る投稿して、次の日には仕事が10倍になるかもしれない、、、。
房:(佳兄は)一年中投稿しない人だよ。
張:ただ叱ってるだけ。いろんな叱責。どんな人脈があるか、10倍の仕事をしていようが。で、俺、モーメントに書いたんだ。一部の人たちの影響で多くの人がなにか悪いことをするだろうって。奴を嗤って罵って。それがある日突然、誰もが奴をフォローし始めて、ついには奴に従わないあんたの方が間違ってる、と。奴がしたことを誰もが忘れる。そんなもの、この時代。ちょっとオカシな時代。タイトルをいくらかもらえればいい。どうして?
金:曲を聴こうか。
張:そうだね。
~♪~♪~♪
房:おっと。
金:レット・イット・ビー(順其自然)~♪

張:レット・イット・ビー。四年生の、卒業の時、友達が誕生日に麦わら帽子をくれたんだ。その夜麦わら帽子五つもって寮に帰った。それから俺たちは撮影チームのクルーになれるだろうって思ってた。一緒に楽しい時間を過ごして、それから酒を飲みながら好きな事を話して。
金:(唐突に日本語で)海賊王。俺はなる。
張:日本語はうまくないけど、(たどたどしい日本語で)俺はモンキー・D・ルフィ。
房:字幕をつけないとね。
張:頑張る、頑張るよ。
金:でも、すごくいいと思う。
張:実際のところ、俺らは番組に出演して下さいってオファーしたんじゃなくて、知り合いじゃなかったし、俺らはまず知り合う機会があって、この番組になって、俺らは金世佳がカッコつけだと思わない。カッコつけだと思うなら、それは佳兄を知らないからだ。佳兄について話さない、よく知りもしない。どうしてそんな人に自分の肚を話さなければならないの?
金:いや、認めるよ。カッコつけだよ。
張:実際違うよ。気取ってるとかカッコつけとか、正確じゃない。
金:いやいや。認める。だけど、もし一生それをやり続けたら。
張:それは本物だよ。(カッコつけとか表面的なものではない)
金:それは嘘、偽りでも、カッコつけでもない。たぶん俺、自分自身が達成したい芸術高みではないから、、、今は合わない、けど、20年後、30年後にはどうなるか誰にも分からない。でしょ?
張:本当に尊敬します。
金:それで、、、それっぽいふりをしてるって言って欲しいな。
張:わかった。
房:わかりました。これは、、、。
金:今って時代、だから。
張:どうせ理解できないんだから、それっぽいポーズをとってるって言ってくれれば、そうするだけってこと(?)
金:(しぶしぶ)ふりをしなくてもいいよ。嫌な気分にならないから。
張:いやいや。最も重要なことは、俺らが連絡を取った後、そんなことはないと思うけど、金世佳がどう振る舞う人か、だけど、本当にそうだと思うか?理解できない人は気取ってるとか言うんだよ。
金:俺ら、今、少数派の話をしてる?それとも大衆の?大衆ならお手上げだ。わかるでしょ?
房:うん、そうです。
張:はい。
房:確かにそう。
張:今回、俺ら経験がないことです。この問題を音楽で終わらせましょう。この曲を聴いたことがない友達に聴かせてください。
金:レット・イット・ビー
張:はい。レット・イット・ビー。数えきれないほどの若者にインスピレーションを与えました。俺らがまだ若いことを願いつつ、まだこの曲が好きです。今回のプログラムは一旦ここで終了しますが、飲み会は続きます。・・・ここは春日屋です。また会いましょう。


房:春日屋へようこそ。あなたの名前はなんですか?
金:私の名前は金世佳です。
(完)

レット・イット・ビー Let It Be 歌詞の意味・和訳

トップ画像は春日屋のWB公式アカウントから。「一生精進」。進を尽と書いて×をつけてる。酔って間違えたのか、意図があるのかはわからない。

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