予報、剥がれた写真、月明かり、他 【詩作6編】



予報




剥がれた写真




  青空に、ちゃんと見える


永遠というものがすでに時代遅れになっている。見た目もそれほど変わらないのに、三百年ほど生きていることを自慢している人が、通りすがりの人に笑われているけれど、年を取ることが今のトレンドです。
人生に終わりを設けて、徐々に皺をつくって八十年ほどの人生を駆け抜ける、死ぬことに意味があると笑って話すことで物語が完全する。

実は昨日、通りすがりの人に笑われていたのは私でした。
死ぬことが可視化されて、葬式が行われるようになったけれど、未だに行けた試しがない。
みんな、変化が好きなんだ、変わらないことは古くなり、死ぬことは新しい、歴史の教科書が飛ぶように売れて、また新しい歴史の教科書を学者の人が作っていく。
つねっても痛くない皮膚の上を、潤った悲しいが化粧水みたいに染みていく。

おはようございます、晴れた空の下で、笑顔で挨拶を交わすお年寄りを見慣れるようになってから、どれくらいの月日が経っただろう。




月明かり


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きみのために風は吹いている そう思えるのはきみのかけがえのない生活が、日々が、 言葉となって浮かんでくるからだと思う きみが今生きていること、それを不器用でも表現していることが わたしの言葉になる 大丈夫、きみはきみのままで素敵だよ 読んでいただきありがとうございます。 夜野