あの瞬間
幼稚園のとき、近所のビルの駐車場で、天井を見上げてくるくる回ることにハマっていた。
コンクリートを見ながら、「私ってなんだろう」とぼんやり考えてた。
例えば姉と私はそっくりだと言われる。
でも、違うにんげんだ。
なにが違う?
住んでる家も一緒で、食べるものも一緒で、
好きな遊びとかは違うけど、もしそれも同じだとしたら?他もぜんぶ私と同じだったら?
それは私といえるの?
そうして、ハッと閃いた。
そうだ!
立ってる場所は絶対に違う!!並んで立つことはできても、今、この瞬間に同じ場所に立つことはできない!
こんな馬鹿げたアイデアに納得した私は、
いつしかくるくる回ることに飽きて、
でも、この瞬間のことはなぜか今もよく覚えているのだ。
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