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【完全版】中小企業M&Aアドバイザーが本音で語る、会社売却を成功させるためのコツ

はじめに

会社売却とは、今まで会社を育ててきた社長の人生の一大決心です。このnoteを手にした皆様は、ここまで会社経営に様々な思いや葛藤を重ねながら、もっとも納得できる選択肢として会社売却という選択肢を選ぼうとしているに違いありません。

会社売却。一見すると、華やかに聞こえるかもしれません。より魅力のある、シナジーのある買い手に会社や事業を引き取ってもらい、売り主社長は新たな人生をスタート。大きな買い手の傘下に入ることで、従業員の処遇も向上し、お互いがwin-winなM&Aが成立する。今ではM&Aの仲介会社と言われる各社が、”良いイメージのM&A”をTV CMでたくさん宣伝するようになりました。

しかし、現実はもっと厳しいものです。第三者の視点から見る会社売却、会社買収、いわゆるM&Aの世界は華やかに聞こえるかもしれませんが、それはほんの一部の現実です。

買い手企業やアドバイザーにとっては、行き着く先、M&Aは”ビジネス”なのです。目の前にある案件(ディール)を成約させるために、あの手この手で落とし所を探り、最終契約までなんとかこぎつかせようとする仲介会社もいます。なんとかバリュエーションを下げようと、デューデリジェンスで細かい指摘をし詳細な契約事項を設け、買収後のリスクを最小限に抑えようとする買い手もいます。

誰が悪いという話ではなく、リスクをとって将来的に大きな利益(ベネフィット)を得るためのビジネスディールなのです。自分の魂を込めてここまで育ててきた会社が、あまりにも値踏みされて売り叩かれてしまっては、悔やんでも悔やみきれませんよね。

だから売り主社長としては、「会社売却について最低限の知識をつけておくこと」が重要です。買い手側の事情、そしてアドバイザーや仲介会社側の事情をあらかじめ知っておくことで、M&Aにおける交渉術やポイントを事前に整理しておくことができます。対等な立場で交渉をすすめることができます。

本noteには、会社売却活動を行う上でこれだけは知っておいてほしいという話を、元M&Aコンサルタントとして300社以上の経営者の売却相談を受けてきた筆者の経験を踏まえてナレッジ化しました。
文中には、買い手との交渉の場で具体的に話すべきQ&Aの事例も記載し、なるべく売却活動及び交渉の現場がイメージできるような構成にしております。

売却活動を始める前に、バイブルとして何度もお読みいただき、敵を知ることで、自身の売却活動の作戦づくりにお役立ていただけるのではないかと思います。

それでは、参りましょう。


I. 仲介会社への相談フェーズ

「会社売却をしてみよう」と思ったときにまず取る行動は、「M&Aに詳しい人に相談する」ですね。フラットな意見をくれる知人が近くにいると良いですが、いない場合にはいわゆるM&A仲介会社やアドバイザーといった第三者機関に相談を持ちかけることとなります。

ここでは、仲介会社に相談する際に気をつけておくべきポイントをまとめました。

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