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コロナウイルス対策の店舗休業補償金等はお店の経営者を馬鹿にしている。

白柳 孝 つれづれ日記  vol.34

国や多くの県でお店を休業すると10万円~50万円を支給すると。たったその程度で出したと言っているが、余りにも馬鹿にしている。家賃補償と言って出す場合もあるが、休業することで一体いくら損害があるか、夏休みも移動制限やら三密を避けるため客席を空けさせる要請をしているが、本当に店が潰れ日本経済が崩壊する

1.TKC経営指標 ~飲食業~

政治家は一月売上がなくなるとどの位赤字が出るか知っているのか?正しい計算をするとキャッシュフローなどの細かい計算や借入金の返済やリース料の支払い等の計算がいるので、それらは無視して公表されている簡単な資料のみで考えてみます。
税理士公認会計士のコンピュータシステムの(株)TKCが毎年公表しているTKC経営指標(BAST)の令和2年版よりごくごく簡単に見てみます。業種や売上規模別に実に詳しく公表されていますので先ずは飲食店を見てみます。

年商1億円~2.5億円未満の飲食店の経営指標です。全国1675件の平均値です。決算時における現金預金は、全平均で22,030千円、黒字企業で25,260千円です。全企業平均の固定費は年間100,134千円で一月平均は8,344千円です。この固定費は家賃だけでなく、設備関係の費用、電気・ガスなどの費用、保険料、人件費、社会保険料など売上がなくても固定的にかかる費用です。

何と売上ゼロで何もしなくても、一月8,344千円もかかるのです。補償するから休業せよと言ってもたった50万円や100万円貰ってもあっという間に蒸発します。社員は仕事が無いからと言って給料ゼロには出来ません。折角働いて貰っていたのにもし辞められたら次の人が来る保証はありません。どこかの病院のように賞与をゼロにしたら看護師さんが400名も退職した話を聞きますが(後日支給されたそうですが・・・)とんでもないです。小さな飲食店では経営者の給料や生活費を切り詰めるしかないのです。

普通の飲食店では、半年も売上ゼロでは確実に倒産します。       決算時にあった現金預金は、全平均で22,030千円ですので、一月当たりの固定費8,344千円で割ると2.64ヶ月しか持たないと言うことです。3ヶ月は持たない、経営者の個人預金や奥方の預金などを取り崩して持たせたといっても、半年は維持できない。折角非常事態宣言が解除されても、皆さんが街に繰り出した途端クラスターだとか感染拡大とか言って脅しまくれば、お客は逃げてしまう。ニューノーマルと言えば聞こえはいいが、お客様は戻ってこないと言うことです。

2.TKC経営指標 ~旅館・ホテル業~

旅館・ホテル業も3ヶ月で資金ショートする。             同じようにTKC経営指標で売上規模5億円~10億円の旅館ホテルの分析をしてみます。固定費は全企業平均で年間538,617千円で、一月平均44,884千円です。決算時点での現金預金は119,968千円ですので、これを固定費で割ってみます。2.67月となります。 これも3ヶ月すると資金ショートするのです。だから今回のGOTOキャンペーンはとても期待をして裏切られただけでなく、資金不足が息の根を止める危険もあったのです。

3.TKC経営指標 ~婦人服小売業~

婦人服小売業も青息吐息です。                    上記と同じ様な計算をすると年商5億円~10億円未満の婦人服小売店では、3.57ヶ月となります。春のシーズンから売上激減、夏物はもう売れずに在庫をどう処分するか、このまま秋に突入しても売上は見込めず、自粛だと洋服すらいらなくなる、秋物も既に発注製造が終わっているだろうし、一気に資金ショートで倒産になってしまう。こんな資金繰りの状態を政治家は解っているのでしょうか?、50万円や100万円は一瞬で蒸発するのです。

4.TKC経営指標 ~航空業界~

大企業の航空会社でも資金繰りは大変です。              ニュース報道によると、ANAの19年12月末の手元資金は3901億円。20年3月末は2386億円と1500億円減少した。航空機リース料や人件費などで、毎月1000億円のキャッシュアウトがあります。3月からは何もしなければ3ヶ月は持たないと言うことです。
 JALの今年3月末の手元資金は3291億円で、昨年12月末の3264億円に比べ増えた。コロナ禍が顕在化した3月末までに577億円を借り入れ調達したのが大きい。キャッシュアウトは毎月600億〜700億円。しかしそれでも6ヶ月は持たないと言うことです。

5.まとめ

いまはコロナ感染恐怖より、資金繰りキャッシュ不足の恐怖です。    早め早めに手を打つのは勿論ですが、ニューノーマルと都知事や政府、マスコミで連呼していますが、これは元の経済には戻さないと意志を明確にしているのです。従って従来と同じようには絶対に戻らない、どうすれば生きて入れるかを真剣に考えることなのです。

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税理士 白柳 孝


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