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【読書メモ】なぞの転校生(眉村卓)

最初の方の3章ほどのあらすじと感想を(各章それぞれ5ページほどで短いです)。この範囲のネタバレ有りです。巻末に手塚治虫先生が「解説」を書いてるので、そちらも少し。

異様な少年
団地に住む中学2年生の岩田広一。広一のマンションの隣の空き室に誰か引っ越してきたようだ。中を覗き込むと美しい姿の少年がいた。その少年も外に出てきて、広一と同じエレベーターに乗りこんだ。突然停電になりエレベーターが止まった。と、少年はポケットライトを照らし、光をドアに向けるとレーザーのようにドアに穴が開いた。驚く広一。停電が終わってエレベーターが復旧すると、広一はすぐに去っていった。変な少年にかまいたくなかったからだ。

いきなりエレベーターを破壊する美少年に広一タジタジ!?次章へ続く。

転校生
翌日の月曜日、広一のクラスに転校生がやってきた。昨日の少年だった。名は山沢典夫。東京から、ここ大阪の進学校である阿南中学に転校してきたのだ。授業中、典夫は教科書を開けずノートも取っていない。にも関わらず、先生にあてられると教えられたこと以上に詳しく答えるのだった。

美少年は転校生。スーパー能力発揮系です。

みどりさん完敗
4時間目終了後、同級生のみどりに誘われ、広一と典夫は卓球をすることに。みどりは学校代表の卓球選手でかなり巧い。広一は勝てなかった。次は典夫の番だ。いかにも初心者という感じで、変な感じにラケットを握った。しかし典夫は素早く動き、みどりを圧倒した。「あなた、選手だったの?」「いや、初めてです」

スーパー能力発揮その2。まだまだ起承転結の「起」部分でしょうか。

他、「侵された都市」という中編も収録されてます。

巻末の解説は手塚治虫先生!映画に手塚眞が出てたっけな…と思ったら、同じ眉村先生の「ねらわれた学園」の方でした。あれ、怪演がけっこう良かったのよねぇ。校長先生役で眉村先生も出てましたっけ。

この小説がセリフ多めで会話劇に近い手法なのは、眉村先生が昔漫画を描いてたから~という下りに軽く驚き。学生時代「漫画少年」に村上卓児の本名で投稿し、手塚先生と手紙のやり取りもしてたとか。もはや年齢関係が分からなくなってますが、眉村先生のが手塚先生より年下になるんですね。あと、小松左京と筒井康隆も漫画を描いてたらしい。どんな絵、描きはるんやろ?

眉村先生は小説家になる前にサラリーマン経験があるそうで、サラリーマンSF作家とか呼ばれてたらしい。それで「企業SF」という括りになるとかどうとか。他、サラリーマン経験のある作家は、源氏鶏太、サトウサンペイなど(サトウサンペイは分かりやすいな…。源氏鶏太は誰だろう?)

本作の比較で「ダンウィッチの怪」が出てきましたけど、これもクトゥルフ神話なのか!放題「呪われた村」として映画化されてるとありましたが、調べても出てきませんでした。

他、眉村先生のお父様が歌人だとか書かれてました。

つか、手塚治虫先生レベルになると、こういう「解説」に書いた文章も本にまとめられて出版されることに驚きです。


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