見出し画像

地味な母性でもいいじゃないか、と思った話。

こいつ、いつ死ぬのかわからんのだよな。

不意に、不穏な言葉が脳裏をよぎる。自分の下腹部に目線を落としてそろりと自身のお腹を撫でてみるが、まだ膨らみもなければ大した動きもない。しかしそこに自分ではない「何か」が芽生えたということは科学が数値という記号を用いて、確かな現実を示していた。

当時のわたしはまだ妊娠5週目であった。

検査の結果、心拍を確認した担当医から「おめでとうございます」と告げられたのは良いものの、内心わたしは素直に喜べないでいた。それは事前にネット情報で知っていた「妊娠初期は何が起きるか分からない」という警告が、静かに私の頭の中で繰り返し鳴り響いていてたからだ。

確かに自身の体内に宿った生命体をふわふわと想像しながらも、わたしはまだまだ大きな戸惑いの最中に立ち尽くしていた。

妊娠初期に押し殺したモノ

ここから先は

3,448字
この記事のみ ¥ 150

読んでいただいただけで十分なのですが、いただいたサポートでまた誰かのnoteをサポートしようと思います。 言葉にする楽しさ、気持ちよさがもっと広まりますように🙃