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大学生のときに海外旅行をした話です。いわゆるバックパッカーで、3回生の夏休み1ヶ月間ヨーロッパを4カ国行きました。パスポートをとって3日で出発、親には「ちょっと旅行行ってきます」とだけ告げて出た初めての海外でした。

3回生の後期から建築家の先生のゼミに所属することが決まっていたので意気込んでいたんでしょうね。同じゼミに入る友達と3人で1ヶ月それぞれ別のところに一人旅しようと決め、「じゃあ1ヶ月後に会おうな、ゴン(グータッチ)とか恥ずかしげもなく青春してました(恥ずかしい)。

泊まるところは全てユースホステル、陸路はユーレイルパスを使って国境をスイスイ跨いでいく列車の旅でした。当時(もう20年前!)は物価が今より安かったですね。飛行機代や宿泊費、移動代、お小遣い(1日500円くらいだったかと)すべてひっくるめて30万でなんとか乗り切りました。残念ですがいまはその金額では無理そうですね。

行ったのは、ドイツ、フランス、オランダ、スペイン。僕の最初の目的地は、ドイツ、フランクフルトのある教会の前にある広場でした。建築的にどうというわけではなく、僕の好きだった漫画のワンシーンに出てきた場所でした。そこのクリスマスマーケットで主人公がホットワインを飲むシーンがとても好きで、いつか行ってみたいと思っていました。漫画を持って行き、同じアングルを探して一人で興奮していました。

途中いろいろ事件もあり、出会いもあり、毎日が強烈な1ヶ月間でした。今でも昨日のことのように覚えています。

フランスのある田舎まちに行ったときのことです。その街で僕はとにかくお腹が空いていて、勢いでガレット(そば粉のクレープ、僕はそばアレルギー)を食べてしまい、顔や体に蕁麻疹でボコボコ、呼吸はヒューヒューと声も出ない状態になってしまいました。

そのときの泊まるところは3人部屋だったのですが、不幸なことにあと2人がいたずらっ子のフランス人(たぶん10代後半)でした。東洋人をバカにするタイプだったんでしょう。顔もボコボコだし、指を差されて笑われたりしました。夜に部屋から締め出されたり、荷物を開けられたりと大変でした。

プンスカ怒ってフロントに行って、従業員を連れて戻ったときには扉が開いていてベットの中でクスクスと笑う声が。「やばい、このままだと死んでしまう。病院てフランス語でなんていうんだろう。保険て効くのかな…」とか必死になって考えながら布団に包まっていると、いつの間にか寝落ちしていました。

朝になり、気づくと二人ともいません。ほっとして立ち上がろうとすると体が重くて動けません。「なんだこれ」と周りを見てもいたずらの痕跡はなし。僕の体が疲労でぐったりしていたんです。そんなに体を使った記憶はないのですが、見ると体からすっかり蕁麻疹が消えていました

普通、そばを食べてしまったときには2〜3日は蕁麻疹が引かずゴホゴホ言ってます。しかしそのときはなんと一晩で全快しました。昨晩の危機的な状況を体が察知して急激に治癒能力を高めて完治させた結果、体が疲れて果てていたんです。そんな漫画みたいな出来事を共有する相手もいない部屋で、蕁麻疹が消えた腕を見ながらぼーっとしていました。

(続く)

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