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プロレスとブルードラゴンと大喜利と

※プロレスファン歴3~4年のライトなファンが思うプロレスの魅力を
完全主観で書いています。不快に思う方がいたらすみません。


プロレスを観るようになったのは2018年ごろ。きっかけはAmazonのPrime Videoで配信されていた『有田と週刊プロレスと』を観てから。

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B01MTNJZH1/ref=atv_dp_season_select_s1

この番組はとにかく、くりぃむ有田さんの記憶力と話術と再現度がすごい。まるでその現場の映像を観ているかのように感じる。
その上、毎回1冊の週刊プロレスを元に話が始まるのだが、当時の対立関係など事件の背景から詳しく教えてくれるので一連の流れが納得できて理解しやすい。
めちゃくちゃ面白い日本史の先生みたいな感じ。しかもこれを歴史の古い順でやっているわけでもないから、これがまぁすごい。
今はYoutubeでもやっているので、興味がある方は是非。

これがきっかけで、これまで格闘技に一切興味が無く、むしろ嫌いな方のジャンルでもあったが、プロレスを見始めた。実際に試合を見に行ったりまでは無いが、土曜深夜にテレ朝で放送されている『ワールドプロレスリング』を毎週録画して観て、今年に入ってからは新日本プロレスワールドに加入し、お金を払ってプロレスを見るようになった。



そんなプロレスのライト層のファンが思うプロレスの魅力。それは、

プロレスはエンタメだ

ということ。

プロレスが他の格闘技と決定的に違うのは、相手の技を受けること。
ロープに振ったら戻ってくる。リング上から場外に飛ぶ技を受け止める。相手の必殺技を受けた上で勝つ。

プロレスを見始めたころは、この一種のヤラセにも見える側面が理解できなかった。「相手の技なんて避ければいいじゃん」。
当時のタイトル最前線にいた新日本のエースである棚橋選手の必殺技は”ハイフライフロー”という、トップロープから飛んで相手にのしかかる技。この技はまぁ相手に避けられたり、膝を出されて自爆になったりすることが多い。そうなると、この技が決まった時に、「いつもみたいに避ければいいじゃん。なんで避けなかったの?」と思ってしまう。

そんな時期を経て辿り着いた結論は、”避けるなら理由がないといけない”ということ。

※もちろん大前提として、選手たちは体をボロボロにしながら全力で戦っている。そこをリスペクトした上での持論です。言い切りの表現も完全な持論なので悪しからず。

たとえば、Aという選手が自身の必殺技のモーションに入ったとする。それをBという選手が避けるのであれば、B選手はその避けた動きから逆に上手く別の技を仕掛ける必要がある。ただ”避けるだけ”ではいけない。これを繰り返し、相手の技を避ける一連の動きの引き出しが無くなったとき、技を受けることになる。


このシステム、どこかで聞いたことがある。そうだ。元テレ東の佐久間Pが演出をした『ゴッドタン』の前身番組『大人のコンソメ』で、『ゴッドタン』のタイトルの大元にもなった企画「ブルードラゴン」だ。

「ブルードラゴン」のルールは、相手に青汁を飲ませて、青汁を飲まなかった人が勝ちというシンプルなルール。ただし、青汁に触れてはならず、トーク(話術)のみで飲ませる必要がある。
このゲームは参加者が芸人でないと成り立たない。なぜなら、普通の人ならただ青汁を飲まなければいいだけの話だから。
芸人であれば相手の「青汁を飲ませようとする”フリ”」に対して、「自分が青汁を飲む」以外のオチを考えて対応する必要がある。”フリ”に対して乗らないだけの人間は、「ノリが悪い」という芸人として失格の烙印を押されてしまうからだ。なので、”フリ”に対して別の面白いオチを用意して対処し、「自分が青汁を飲む」という”オチ”以外の選択肢が無くなったとき、青汁を飲んでゲームが終わる。

例えで言うと、「目を離した隙に○○が青汁全部飲んでなきゃいいんだけど...?」と言った時、芸人であればその人は確実に青汁を飲み干す。「目を離した隙に○○が青汁全部飲んでなきゃいいんだけど...?」という”フリ”に対する一番面白い”オチ”が「青汁を飲み干す」だから。となると、青汁を飲み干すよりも面白い”オチ”を自ら考えない限り、青汁を飲むしか選択肢がない。


この「ブルードラゴン」とプロレスは似ている。
技を避ける・避けないもそうだし、試合の終盤、一方の選手が試合を決める必殺技を放ち、カウントが入った時、相手が3カウントの前に肩を上げるならば、この後に今よりももっと良い勝負の決し方を魅せなければならない。それがないのであれば、肩を上げることは許されない。

ロープに振るのも”フリ”だし、相手を誘い出すのも”フリ”。そのフリに乗ったり乗らなかったりして、定番の”フリオチ”を超えた”オチ”をお互いに出し合い、読み合い、最後に尽きた方が負ける。それが面白くて好きだ。



もう一つ、プロレスにあって他の格闘技にないものは、主にヒールが繰り出す反則技。反則技はもちろん言葉通り反則だが、審判が見ていなければ(気づかなければ)セーフという一面がある。この面白さは、いかに審判が見ていない状況を作り出すかという大喜利の一面にあると思う。

仲間を介入させて審判の目を逸らすのか、別の場所に注目させて目線を外させるのか、相手の技を審判を身代わりにして受けて審判を行動不能にするのか。そういった状況を作り出す方法は、ほぼ大喜利。

今週、この大喜利が爆発している試合があった。ヒールユニット【バレットクラブ】の石森太二選手と、同じく【バレットクラブ】のSHO選手(バレットクラブ内の【HOT】というユニット)の試合。映像が無料配信されているので是非見てほしい。

https://njpwworld.com/p/s_series_00609_15_1
(2:11:30頃~)

ヒール同士だからこそ、反則できる環境を作り出す大喜利に慣れているのもあって、展開がまぁおもしろい。特に最後はすごかった。

反則技以外にも、ブルードラゴンの例えでも挙げた”技の避け方”も一種の大喜利だし、「相手がこの選手だからこの技を仕掛けよう」も状況に応じた大喜利だし、「相手がこうするなら自分もこう返そう」も、先週のIPPONグランプリでの「火花しょんべん」みたいな天丼大喜利だ。
この大喜利の側面も、プロレスで好きなところ。



もちろん選手同士の魂と魂の熱いぶつかり合い、意地の張り合いのような試合も好きだし、大喜利を実現可能にする肉体と身体能力の高さもすごいし、かっこいい。
それを踏まえた上で、”フリオチ”の特性を生かしたバラエティの企画でもあり、大喜利でもあるプロレスがエンタメとしてめちゃくちゃ面白くて好きだ。

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