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【短編Tale】仮装した人々が歩いている


仮装した人々が歩いている。
ワイワイ、ガヤガヤ、キャーキャー。
ニコニコしている。
あちらこちらを転がるように走る子供。
ディズニーのキャラクターだったり、魔女だったり、おばけだったり。
色とりどり、姿様々、僕は普通、ちょっと寂しい。
何にでもなれる夜に、何にでもない僕。
別に、進んでなにかになりたいわけじゃないけど。
僕の奥底にある、夢であったものが、本当の僕はこんな僕になりたかったんだ、なんて、つまらなそうに呟いている気がして、きゅっと胸が詰まる。
楽しげな空気に馴染めない僕は、逃げるように、ポケットに手を突っ込んで家に変える。
どうせ、明日には忘れるような気持ちなんだから。
そんな事を独り言ちて。

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