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登山小話

今朝は、富士山がよくみえた。10倍ズーム! みえる日はそんなには多くないので、条件がいろいろあるのだなとおもう。しかし、でかいよね、富士山。登ったことはないけれど。というのも、うっかり登山でボルネオ島のキナバル山に登ってしまったので、富士山はもういいことにしている。

2001年の9月の後半にモロッコに行こうとおもっていたのだ。しかし、飛行機のテロがあって、周囲の全員に反対をされて断念した。前にも書いたけど、でかいテロが立て続けにおこるものでもないだろう? と私は思っていたので行く気満々だったんだがな。ちなみに、飛行機のチケットだって、コロナの時みたいに満額払い戻しじゃなかったんだから。アラブ圏だからといって、どこも危険だと思うなよ。ほんとに。

で、それはさておき、休みもとったし、ということで同行の友人が上高地を提案してきたので、行った。捨て鉢になっていたのでまあ行き先などはどこでも良かったのだ。その時彼女に意図があったのかなかったのかは知らないけれど、とにかく彼女は登山家でもあり、中国だかどこかの5000メートルを超えるような山に登るような人だったので、上高地で「わー、きれいねー」とか、白骨温泉に浸かるのだと予想していた私を尻目に、山に登るのだと言い出した。別に登りたくないわけでもなかったので、ついていった。どこの山だったかももうよくわからない。てくてく歩いて、森をでたところでそこが森林限界だということを教えてもらった。石がゴロゴロして、あるきにくいなあとおもいながら山小屋でご飯を食べて帰ってきた。

その後、なにに味をしめたのかは知らないが、彼女がキナバル山に登ろうと誘ってくれた。上高地で森林限界の実際がみられてうれしかったので、気軽にオッケーをした。熱帯のボルネオにある山だというし、私の好きなウツボカズラが登山中にたくさん見られるというし、登山以外には、ジャングルクルーズの本物もできるし、ラグーンでも遊べるよ、というのだもの。ジャングルクルーズは夜がいいといわれたので、のこのこと夜に船に乗ってでかけたら、大木にホタルがぎっしり集まっていて、木自体が発光しているというようなものも見られた。点滅はしばらくみていると同期をしはじめて、最後には全体がついたりきえたりする夢見たいな光景をみたんだけど、本当のことか今となってはよくわからないくらい、変なものだった。

キナバル山の登山道
写真が残っていた

キナバル山に登るのは規制がかかってて、申請と現地ガイドの同行が必要だった。「よろしく」といわれ、よくわからぬまま今ほど整備されていないインターネットの世界を泳ぎきり、登山許可証を手に入れた。指定された日の前日まで大雨が降っていて、宿からの道は土砂崩れが起きていて迂回をしなければならず、登山口到着がだいぶおくれた。登山は富士山と一緒で、夕方に上の方の山小屋に入り、午前2時頃に起床をしてご来光を拝むというお決まりのコースがあり、夕方までに山小屋にはいるために、そのおくれた時間分、巻かないといけないということで、ウツボカズラをあまり長々とみせてくれなかった。このときに満足していれば、今家でウツボカズラを育てたりはしていない気もする。

翌朝、友人が軽い高山病になっていたのの意味もわからず、でも、そこまでじゃないから大丈夫だというので山小屋を出発をした。山頂は、岩盤がのぺーっとしていて、広くてよかった。ふりかえって見た看板に4,095メートルとあって非常に‥‥非常にびっくりした。上高地に毛が生えたくらいの山に登るんだとおもっていたのでな。ガイドのお兄さんだって夜店で売ってそうなサンダルばきだったし。そう考えると彼のはいていたサンダル、だいぶ丈夫。そんでもって、友人の高山病の理由もさもありなん。

山頂からの日の出
夜があけた所

しかし、登ったはいいけどそれはそれで普段つかわない筋肉を使ったわけで、下山して翌日からの空前絶後の筋肉痛はいかんともしがたかった。その後も誘われたら山に登るのはやぶさかではないとおもってたけど、機会がないまま高い山には登っていない。もちろん今はこの2年とちょっとで足は溶けてなくなってしまったので、登山など滅相もないわけですが。

あのサンダルのガイドはまだガイドをしているのだろうか

富士山をみるたびに、ボルネオ富士のことを思う。キナバル山がボルネオ富士なのかはわからないけど。