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[カヌレクエスト]その3 カステラと人工知能

2回目を焼いてからしばらくカヌレが焼けていない。あきらめたわけではないぞ。なんつっても道具や材料費でひょいと1万円を超えているからな。あきらめるわけにはいかないのだ! 焼けていない理由は、ただ単に、今家に盛大におやつがあるからである。先日、友人が家に遊びに来てお土産として置いていってくれた。文明堂のカステラ、お店で売るほど。さらにもうひとりは、アップルパイをホールで。そして、カヌレは焼き方に失敗したとて、うまい。失敗お菓子というのはだいたい黒焦げになることと砂糖と塩を間違えること以外はそこそこおいしいので、おやつとして成立する。なので、甘いものには順番というものがあり、にかく慣用句風の例の文言「カヌレにてこずっておおいに太る」を体現している場合ではないので、アップルパイとカステラを片付けたら3回目のカヌレを焼くのだ。しかし、失敗が前提で書いていてくやしいな! 

こういうときにはだな、カヌレへの情熱を絶やさぬために、今使っているレシピを疑ったりすればいいのだ。1回目の失敗を分析して2回目にあらたな試みをしたにもかかわらず、2回目でそれが改善されている気配があまりなくほぼ同じ失敗作ができあがったのをみて、残念に思うと同時に疑念も湧いている。「これはレシピがまずいのでは?」という。しかも先日、そうそうに、低温で焼くレシピをみつけてしまったのだ。150度で1時間20分。150度で1時間20分? これだとあの「高温で一気に沸騰させる」記述の意味がなくならないだろうか。ちなみに、鬆はきちんとはいっている動画だったし、フランスのパティシエのおじさんがそれをかじったときにはバリっと音がした。

どうしたものか……。

銅の型を8個もかってしまったので、それだけでだいぶ散財だ。1回使うと型はまたたく間に銅の色を失い、ふるぼける。左のほうにある3つが新品。それ以外は1回使ったもの。

とりあずな、カヌレはフランスのものなので、フランス語で書かれている現地レシピも探すべきではなかろうか? 私は大学のときに1年間フランス語を学習したのにも関わらず、今覚えているフランス語はお粗末なもので、自分の名前を高らかに宣言するくらいしかできない。しかし、諸君。現在は、DeepLなる素晴らしいAI翻訳のサイトがあるのだ。日本語→英語だってそれなりに翻訳してくれる。長文も一回DeepLを通してちょいちょいっと直せば、読めるくらいにはなる。仏→日の質はどうだかは知らんが、私は分数と温度が知りたいだけだから大丈夫だろうと思っている。

Recette Cannelé

っと。

えーと……。
270度で6分、180度で1時間。
270度で5分、200度で30分。
240度で10分、180度で30分。
240度で15分、200度で30分。

うーむ。その低温で焼くレシピは一回お預けだし、フランスのレシピはさらに高温なものが多いので、まじでアッツアツにしてやってやろうじゃん。もちろん、その前に文明堂のカステラをおいしくいただきます。