見出し画像

【体験談】心を結ぶタクシー

昨日、いつものようにタクシーに乗り込んだとき、車内に目を引く光景がありました。運転席の周りに、大切に飾られたたくさんのお客様からの感謝の手紙が並んでいたのです。その瞬間、私は思わず運転手さんに尋ねました。「こんなに感謝される理由、教えてもらえますか?」

運転手さんは穏やかに微笑んで答えてくれました。「お客様が何を本当に望んでいるのか、その心に触れることを大切にしています。だからこそ、言われてから動くのではなく、言われる前に二歩も三歩も先を読んで行動するんです。ホスピタリティとは、ただ形式的に親切にすることではなく、その場で相手が本当に求めているものを察し、共に感じることです。」

この運転手さんの言葉には、深い洞察がありました。例えば、タクシーを降りる際にトランクを勝手に開けて荷物を取り出すことや、ドアを開けること。それが本当にお客様のためになっているのか、その行為が心からのものであるかどうかは、相手にすぐ伝わるものです。

さらに、運転手さんは具体的な工夫もされていました。例えば、移動中にスマホを充電できるよう複数のケーブルを用意したり、簡単に食べられる飴や子供が楽しめる手遊びおもちゃを車内に置いたり。さらには、乗客の気分を明るくする運転手さんのトークにも工夫が凝らされていました。

これらの細やかな気配りこそが、運転手さんの姿勢を表していると感じました。

「この時間はただの移動時間ではなく、お客様の人生の一部に触れる時間です」と運転手さんは続けました。その言葉に、私も深く共感しました。お客様一人ひとりとの時間は、その瞬間が一生の記憶となるような、尊いものなのだと。

だからこそ、この運転手さんには多くの指名や手紙が届くのでしょう。タクシー会社には、その方への感謝の手紙が溢れていました。

運転手さんのポリシーは、私にとっても新たな気づきを与えてくれました。私たちが行動するとき、それは自分の利益のためではなく、見返りを求めない純粋な気持ちで行うべきだと。この運転手さんのように、他者の心に触れることの本質を大切にしながら生きる姿勢を、私も大切にしていきたいと思いました。

余談ですが、タクシーを降りる際に「記念に写真を一枚お願いできますか?」とお願いしたところ、運転手さんの方から自作のCDとお菓子をいただいてしまいました。そして、部屋に着いた私はGOタクシーアプリから評価を満点に付けたのでした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?