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共同シナリオ第一編 テーマ:闘い 3/4話目

ゴチン!!!!!
フタバさんの「逃げて!!!」という声が聞こえるか聞こえないかの間に、カズヤの頭に強い衝撃があった。
それが中学生の頃、学年主任の体育教師にくらった以来のゲンコツであると気づいたのは、更に3秒してからだった。
カ「イツッ!!!」
声にならない叫びを上げながら、カズヤは後ろを振り返った。
そこに立っていたのはメガネの天パ男だった。
それもやたらとムキムキの。

フタバがすぐに男を仲裁しようと声をあげた。
フ「やめて!何するの!お兄ちゃん!」

カ「お兄ちゃん!?!?」
カズヤはまたまた叫んでいた。
お兄ちゃん!? 
このフタバさんとは似ても似つかない男が!?
そこで、カズヤは保険契約の際にフタバの両親から出された書類に子供が娘と息子の2人と書いてあった事を思い出した。
すっかり忘れていたが、そういえばそんな事が書いてあったような気がするぞ。。。。!
確か、名前は、、、、ケン!

フタバのお兄ちゃんことケンがカズヤに向かって怒りを滲ませながら叫んだ。(以下、ケ)
ケ「お前、俺の妹に手出しやがったのか!?」
 「一体、どこのどいつだ!」
ケンは何か勘違いしているようだ。
いや,あながち勘違いでもないのだが。
カ「お兄さん、これは何か勘違いされてます!」
ケ「お兄さん。だと!フタバ、お前、まさか結婚、、、!?」
ケンがますます大きな勘違いをしそうになっている。
フタバが慌てながら訂正する。
フ「お兄ちゃん、勘違いだよ!この人はカズヤさん、保険の営業さんよ!お父さんお母さんが加入した保険の事について説明してもらってたのよ。」
それを聞いて、ケンはハッとしたようだった。
ケ「そ、そうだったのか?おい、アンタ。ホントにそうなのか??」
カ「そうです!私はカズヤと言います。今回はご両親にご加入頂いた保険の件で、難しい話なので代わりにフタバさんへご説明させて頂いてたんです。」

ケンの誤解はやっと解けたようだ。
ケ「ほっんとうに申し訳ない!!俺とした事がとんでもない早とちりしてしまって、、、!」
先ほどまでとは打って変わって、ケンは平身低頭謝罪をしてくれた。
フタバもケンに怒りながら、カズヤに謝罪した。
フ「お兄ちゃん!ホント,良い加減にしてね!カズヤさん、頭大丈夫ですか??兄は私の事になると、この通りで。見境なくなるんです。」
カ「いえいえ。びっくりしましたけど,凄いフタバさんのことを大切にしてくださってるんですね。僕は石頭なんで気にしないでください笑 お兄さんも、こちらの席にどうですか?」
カズヤはフタバさんの手前、ケンの事をとやかく言うわけにもいかないと思い、精一杯の笑顔で場を収めようとした。

カ「それにしてもお兄さんはたまたま通りがかった感じですか?」
ケ「そうです。実はこの辺りに住んでいて、たまたまこの店の前を通った時に外から見えたもので。」
ケンがフタバの隣に腰掛けながら答える。
カズヤは2人を見比べて、改めて似ても似つかない兄妹だなと思った。
そしてこんなシスコン武闘派の兄がいるとは話がややこしくなってきたぞ!と、内心気が気ではない。

2人の話を聞くに、ケンという狂犬マッチョについての深刻なエピソードが明らかになった。
ケンは重度のシスコンであること、昔フタバが付き合っていた男に浮気されて大泣きした事がキッカケで体を鍛え始めたこと。
更には今度フタバに言い寄る男が現れたら、自分と決闘して勝った奴しか認めないと言っていること。

決闘ってなんだよ、やばい兄貴じゃねーか、ケンは冷静になって、何言っちゃってんだ?と思っていた。
しかしケンは急に黙りこくってグルグルと考え事を始めた。
ケ「、、、、、、、、、、」
フタバがそんなケンの様子に気づいた。
フ「カズヤさん、どうかされました、、、?」

カズヤはおもむろに口を開いた。
カ「お兄さん、、、、私と決闘してくれませんか?」


3/4話目完

出席番号2番 越智

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