記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

はじめてのときメモGS3〜ときメモのアンチテーゼ・蓮見達也編〜


突然ですが、クソアンケで決まったので蓮見達也を攻略することに決めました


彼は選択肢やファッションによってルートが分岐し、天使エンドと小悪魔エンドの二種が味わえる特殊な隠しキャラとなっています

どちらから攻略するか迷ったのですが、まずは蓮見担おすすめだという「天使→小悪魔」の順で攻略することに


最速で出会うには「2年目1月までに魅力パラを200にして外出すること」が必要だと聞き、
入学してからずっとトイレに立てこもってメイクに励む最低ギャルと化す私バンビ

必然的に気配りパラがぐんぐん下がりますし、テストもさんざんです

男の子たちにもガン無視される日々ですが「まあ私可愛いし…」のマインドで2年間耐えました

そして1月、いよいよお出かけに向かいます


1周目 天使ルート


お出かけの帰りに喫茶アルカードに寄るバンビ。私にとっては太郎に抱きしめられた思い出の場所です

元彼のことを思い出していると、元彼と同じ羽学の制服を着た男の子に話しかけられました

テクノカットを伸ばしっぱなしにしたような野暮ったい髪型が特徴の彼は、ボソボソと要領の得ない独り言を続けるため、さすがのバンビも塩対応です

ちなみに初稿では黒髪メガネだったそう。でもこっちの方が思春期の痛々しさがうまく表れていますね

ですが、前髪の隙間から見えるご尊顔はさすがに乙女ゲーム世界の基準に則った整い方をしていますし、何より声がとてもえっちです

調べたら金田一の声優さんだそうですが、世代じゃないのでちょっとわかりませんでした

でも少し掠れた声やオタク特有の早口が「話しなれていない感」を演出していて、すごい演技です


ナンパにすらなっていないナンパが失敗し、妙な雰囲気でその日は別れた二人

翌週再びお出かけすることで、バンビはもう一度アルカードに寄ります

すると、爆イケスチルを伴って現れた謎のイケメン

スチルやばいからみんな見て

イケメンパラダイスの学園に通って花ざかりの生活を送っているバンビが
「わぁ、カッコいい人…」と思うくらいには気合の入った作画です

バンビは高校三年間で色んなイケメンに出逢いますが、実は第一印象は「優しい」とか「怖そう」とか内面に触れるものが多くて、
はっきりと「カッコいい」という感想を抱くことって稀なんですよね

このシーンで彼の特技は柔道でもピアノでも勉強でもなく「顔面」であるとはっきり描写されているように私は感じました


キザな台詞を繰り出して「一緒に座ってもいい?」と尋ねる謎のナンパ君

「君も誰か——例えばボクみたいな誰かが、ふいに現れることをいつも想像していた……違う?」

ここの選択肢は「はい」じゃなく「バッカじゃないの!?」でないと折れてしまうというのが非常に面白いです

蓮見くんは自分が未成熟で不完全であることを自覚していて、自己肯定感が低く、
だからこそ無意識にそんな自分を叱りつけてくれるような存在を求めていたのかもしれません


「ちょっとカッコいいからってなに様のつもり? それに、変な喋り方!」
「どうぞ、好きなだけそこに座って? わたし帰りますから」

プレイヤーがちょっと引くくらい強い言葉で彼を叱りつけるバンビ

設楽先輩にもここまでキレることはないバンビです

蓮見くんのような隠しキャラって大抵個性が強くて挑戦的なシナリオで、
それゆえにヒロインも若干プレイヤーと乖離しがちなんですよね

でもだからこそ通常の攻略キャラでは見られない物語が楽しめて、私は彼らがとても好きです


叱りつけられた途端、蓮見くんは慌てて「先週君に声をかけたのは僕だ」と弁解を始めます

今日は仕事で、モデルをやっていて、この前はたまたまあんな感じだったけど普段はこうで、ファッションには気を遣う方で……

聞いてもいないことをぼそぼそと話し続ける様子に、なんだか胸が苦しくなります


殊更にモデルを強調するところも、つい先週まで野暮ったかったのに
「僕は普段からかっこいいんだ」と誇示する感じも、
自信のなさの裏返しのように思えるからです

魅力パラ200オーバーの美少女に臆してしまわないよう、必死に自分を大きく見せているんですね

変なやつだらけの学園に通うバンビが言うだけのことはあります

この日はここで別れ、後日街中でばったり再会するのですが、その時もこちらをちらちら見るばかりで声をかけようとしません

ここで声をかけると「天使」、声をかけずに帰ろうとすると「小悪魔」に分岐するのも面白いギミックです


気になる子に声をかける勇気もない蓮見くんに歩み寄り、尽くしていくのが天使ルート
意気地のない彼に少し辛くあたって徐々に『しつけて』いくのが小悪魔ルートなんですね……
興奮してきたぜ


天使ルートを走るためにこちらから声をかけると「全然気づかなかった!」とスカしてみせる蓮見くん

ここまで突き抜けて不器用だともう愛しくなってきます

見た目はかっこよくなっても中身まではイケメンになりきれない彼、可愛いですよね

顔良すぎ抱きしめちまうぞ

二人は一緒に帰ることになりますが「羽学は成り行きでね?」なんて相変わらずスカしてみせる蓮見くん

名門はば学に通う美少女を前に、少しでも格好つけようと必死です
羽学だからって下に見られたくないんですね

男子高校生のちっぽけなプライド

そのくせ「みんな同じ制服を着て同じ学校に通うなんて」と、高校生特有の斜に構えた発言もしてみせます

達観している風なことを言って『自分だけは違う』と暗にアピールするの、リアルガチな高二病って感じで良いですね


この辺でなんとなく見えてきたのは、

彼は今のヒロインと鏡写しの存在かつ、他の攻略男子の対極に位置する「アンチテーゼ」的な意味で置かれたキャラクターなのかな、ということです


彼に出会うためには非常に高い魅力パラを要求されるため、必然的にトイレにこもってメイク三昧の二年間を求められます

皆さんご存知の通り、魅力コマンドを叩くと気配りパラが下がってしまうので「空気の読めない美少女」になってしまうんですね

それは殊更に顔の良さを強調されている蓮見くんも同じで、
突然見た目が良くなったって性格が変わるわけではない

つまり『見た目ばかりが良くて人間関係はそれほど充実していない』今のバンビの姿をプレイヤーに突きつけている、非常にメタい存在なのだと私は思いました


また、私にはこの見た目と中身のちぐはぐさが、他のメイン攻略男子を皮肉っているようにも見えてなりません

当たり前のように顔がよくて、さらりと甘い台詞が吐けてスマートにヒロインをエスコートして、ファンクラブがあるほど慕われていて……

そんな『見た目も中身もイケメンで、周りに慕われていて、ピアノだの柔道だの何かしらの特技を持っている』メイン攻略男子たちに囲まれて、

彼らに『当たり前のように』愛されたがっている我々プレイヤーを揶揄するために、

『顔以外に取り立てて特技がなくて、中身も思春期をこじらせたごく平凡の男の子』である蓮見くんが生まれたような気がするのです


要するに

『イケメンに愛されたくて乙女ゲームを購入したあなたは、この不完全で未熟な男の子にどこまで愛を注ぐことができますか?』

『愛されるのを待つばかりじゃなく、自ら愛を注ぐことはできますか?』

という製作陣からの皮肉混じりの挑戦状なのだと思います


これはGS2の追加キャラ・真嶋太郎と古森くんでも同じことが言えます
彼らは皆、愛される前にこちらから愛して、手を差し伸べて救いあげなくてはなりません


単なる深読みと一蹴されても仕方のない突飛な解釈かもしれませんが、

それでも私は、他のメイン攻略男子たちとはまるで違う『未完成』な彼が、隠しキャラとして配置されていることに意味を見出さずにはいられません

それぞれの悩みはあれど、ある程度見た目も中身も出来上がっているメイン男子たち


話は戻って、下校デート

別れ際、連絡先を交換しておきたいけど互いに黙り込んでしまう二人

「ご褒美のチューして?」なんて言うどっかの王子と違って、蓮見くんは気になる女の子に電話番号を聞くことすらできません

天使ルートの選択肢は、ここでバンビの方から連絡先を聞くこと

どこまでも不器用な蓮見くんがほうっておけなくて、つい手を差し伸べてしまう天使バンビです

すると、自分の電話番号を伝えずに、バンビの番号だけを聞いて別れてしまう蓮見くん
「こういうのは男からでしょ?」と無理に格好つけるとこ、メイン男子たちと違って女慣れしていなくてとても新鮮です

いつだって格好つけようと必死だけれど、全然キマらない彼のことが、この時点でもう大好きになってしまいました

そういうカッコつけいらんねんで!!!!


しかし、その後連絡は来ず街に出てもすれ違ってばかり

何度目かの外出でようやく再会すると「あんまり、人をバカにすんなよな……」と不満そうな蓮見くん

話をしてみると、彼はバンビの電話番号を間違えてかけ続けており、電話口の声が違うことにも気づいていなかったそうです

どこまでも格好がつかない……メイン攻略男子ではありえない失敗で可愛さを見せてきます


「カッコ悪すぎて死にたい気分だ……」
「ゴメン……どうせカッコ悪いから聞いちゃうけど……今日、この店に来たのは偶然?」
「ボクは、偶然じゃない。君に会えるような気がして」


おいおいおいおいおい!!!!

カッコ悪いけれど、カッコつけをやめて自分の気持ちに素直になった蓮見くんはめちゃくちゃ可愛いよ!!!

カッコ悪いけれど、いつも家まで送ってくれる蓮見くんが好きだよ!!!


しゅきぴ!!!!!!!


送ってもらった別れ際、ぼんやりと考え事をしていて、バンビに「どうしたの?」と聞かれる蓮見くん


「もういいや。カッコ悪いついでだ……」
「考えてたのはね、なんて言えば上手く君を週末にデートに誘えるかってこと」
「でも上手い台詞が見つからないまま、家に着いちゃった。ハハ……」

可愛すぎ罪で逮捕。バンビの隣に終身刑。これにて閉廷


カッコつけない素直な言葉が、最大の口説き文句なんだよ…


蓮見くんはバンビの前ではいつもカッコつけようとするけれど、
カッコつけないありのままの言葉は私たちの心にまっすぐ届きます

他の攻略男子のように甘い台詞は吐けないし、不器用でカッコ悪いところもたくさんあるけれど、いつも一生懸命で純粋な男の子

他の男の子みたいにスマートに口説けなくたって、ちゃんと『愛せる』キャラクターに作られているんです、蓮見くんは


そんな初めてのときめきを吹き飛ばすかのように、
初デートはクソつまらんオシャレ洋画でした

メイン攻略男子たちと映画に行っても、彼らの好みに合わせた感想を言って「やバ好!」とか言ってるバンビですが、
内心つまらなかったと思っているというのは初めて描写されます

こういうの(実写デビルマン)


ここも、蓮見くんがメタ的な存在である所以というか、

『お前らGSファンが何度もやってきたデートの一幕も、裏ではヒロインが色んな感情を呑みこんでるんだぞ』

『好きだから合わせてやってるだけだぞ』と、

ときメモのお約束である映画デートをブラックに描写しているように見えます


長々と講釈を垂れる蓮見くんに合わせて「(この映画)結構、好きかも…」と言うと彼が喜び、

「じゃあ、バッチリ大成功だね?」とバンビが返すところなんかもう、
完全にライターのブラックジョークです

普段バンビを好きに操って、つまらない映画に「最高だったね!」と言わせている我々プレイヤーをめちゃくちゃ皮肉っていますね

ライターの悪ふざけやめろ


しかも帰り際「来週もデートしない?」とグイグイくる蓮見くん

これも、会話回収のため毎週のようにデートに誘う我々を皮肉っているとしか思えません

我々プレイヤーに「この子めっちゃグイグイくるじゃん……」と思わせることで、

「普段お前らに攻略されてるメイン男子たちもそう思ってるぞ」と暗に揶揄しているんですね

とき文目指してるときの私かよ

ここは「うん、もちろん」を選択し、天使ポイントアップ

デート服もナチュラルでいき、天使ルートを突き進みます


ナチュラル服を見ると「幼い感じが君らしい」「君はいつもそういう格好でいればいい」と言う蓮見くん

自分に自信がないゆえに、幼くて無垢な格好のバンビを見て少しでも優位に立った気持ちになって、安心しているのかもしれません

「わからなくていいよ」に全てが詰まっている気がします

二度目のデートも映画だったのは予想外で、深夜に手を叩いて爆笑しました

ときめき会話を回収するために同じデートスポットに引っ張り回す我々プレイヤーと同じことをしています

ライター、好き放題やりすぎ(大褒め言葉)


でも、蓮見くんは我々と違ってときめき会話を回収するためではなく、

純粋に『自分が面白い』=『相手も面白い』、
『好きな子に自分の好きなものを好きになってもらいたい』
と考えて
自分の好きな映画に連れて行くんですよね

そう考えると、その一生懸命さを拒むのもなんだか酷だし、かといって無理やり合わせるのも辛いです


デートの後、蓮見くんは「君に見せたい場所がある」と言って、GS2で馴染み深いあの灯台に連れて行ってくれました

海に還った人魚を追って消えてしまう漁師の悲恋を話してくれます


その話を聞いて「哀しいお話なんだね」と言うバンビ

「普通、信じないだろ?」と言う蓮見くん

映画の感想でも御伽話の話題でも、彼はなんとなくこうした『温度差』を感じ取っていたのかもしれません


「ボクも君と一緒に、伝説を信じたくなったってこと……」

彼がふいに呟いた一言
これはこの後に届くメールに繋がります

デートの後、一方的に「さよなら」を告げた蓮見くんから届いたメール

バンビのことが好きだということ、それなのに傷つけるようなことばかり言ってしまうということ

それは自分がバンビにある種の劣等感を抱いているからだということ、

このままだといつか取り返しのつかないほどバンビを傷つけてしまうかもしれないということ

そして『僕のことは忘れて欲しい』ということが、メールには書かれていました

『あの灯台の漁師のように、真っ直ぐに君を求め続けられたらどんなにいいだろうね』


この一文に胸を打たれました
バンビのように伝説を純粋に信じられる心があればどれだけよかったか
伝説の漁師のようにぶれずに愛を貫けたらどれだけ幸せか

それが、あの岬での一言に詰まっていたのです


あれだけ取り繕っていた弱さも未熟さも全てを曝け出して、それこそ伝説の人魚のように消えてしまうなんて、

なんていうかこう……すごく……すごくないですか?(突然の語彙死)

隠しキャラお決まりの失踪イベですが、ここから卒業式の日まで全く音沙汰がないの、怖すぎます


思えば、出会ったときも再会した時もデートしたときも、すれ違いや行き違いばかりで、まだ恋と呼べるほど色めくようなことは起こっていないはずなのに、

それでもなぜか気になってしまう、放っておけなくなっている——
恋というより母性に似た感情
で蓮見くんに惹かれ、優しくしたくなってしまう

その正体不明の優しさが彼を苦しめる……
これが天使ルートの辛いところですね

自己肯定感が低くて傷つきやすそうな彼のために、必死に優しい言葉を選んできた結果が逆に彼を傷つけてしまった——

『相手の顔色を伺ってお決まりの台詞をなぞることが、必ずしも彼の幸せにつながるとは限らない』

相手に合わせた回答を選択することでハッピーエンドに繋がる「ときめきメモリアル」というゲームにおいて、その根幹を揺さぶるような展開です

やはり蓮見達也は、GSを3作もプレイした長年のときメモファンに向けられた『ときメモのアンチテーゼ』とも言うべき存在なのかもしれません


しかし、それでも卒業式の日、蓮見くんはバンビの元へやってきてくれました

舞台ははば学伝説の教会ではなく、羽学伝説の灯台

バンビの必死さが伝わります


蓮見くんは漁師の若者ではなく人魚だったんですね


蓮見くんはバンビがいることに驚きつつも、出会った日のことを話してくれました

何をやっても人並みで、そのくせ自分が特別な人間であると思いたくてバイトの面接を受けるべくアルカードにいたと言います

思春期特有の万能感というものは誰にでも経験のあるものです

バイトに受かって、自分がようやく世界に認められた気になって、喫茶店にたまたまいた可愛い女の子をナンパした——
これもすごく『等身大の男子高校生』て感じがします

メイン男子たちはみんなそういった痛々しさとは無縁に作られていますが、
こういう『思春期の汚い部分』を内包しているところも、メイン男子の対極におかれた蓮見くんらしいです


モデルに受かって気が大きくなって「モデルの自分なら」と思い、バンビに声をかけた

けれど、バンビの純真な心に触れるたび、惹かれると同時に自らの浅はかさや不純さを思い知らされていたたまれなくなったと彼は言います


この後の選択肢が「それでも蓮見くんが好き!」「ちゃんと話を聞けてよかった」の二択なのがすごく心にきます

OKの仕方もフり方も、天使そのもの


フってしまえばきっと、蓮見くんの葛藤にケリはついて「やっぱり優しい子だった。だから僕には相応しくなかったんだ。いい夢を見られた」と、
以前より少しだけ前向きになって生きていけるでしょう


でも「それでも蓮見くんが好き!」は、彼のこの葛藤や劣等感を根本的に解決するものではないように思えます

実際、これを選択しても「僕も君が好きなんだ」という結末になって、
彼はバンビの天使性にずっと罪悪感や劣等感を抱いたまま生きていくことになります

それでも「彼のためならなんでもしてあげたい」と語るバンビの、献身的な愛

彼の屈折した想いごと受け止める覚悟が決まっています

二人は幸せなキスをして結ばれました


ある種残酷なのでは?と思った天使両思いエンドですが、

バンビの献身の甲斐あってか、蓮見くんは徐々に自信をつけて俳優にモデルにと頑張っているとのことで少し安心しました


何をやっても人並みで、そのくせ根拠のない自信や承認欲求を抱き、自分を特別だと思いたくて『何者か』になりたがっていた、鬱屈した思春期

それがバンビの天使性によって終わりを迎え、本物の自信と特別を手にいれる——そんな素敵な結末で天使ルートは幕を閉じました


2週目 小悪魔ルート


この時点で「たちゅや♡♡♡♡しゅきめろ♡♡♡♡」となっていたので、
眼精疲労でギンギンの目で小悪魔ルートに舞い戻ります

直前セーブを忘れていたので、なんと入学式からやり直すというアホアホミス
いつになったらときメモ上達するんや


小悪魔ルートに入るには、二度目にアルカードで声をかけられたとき「ダメです」と相席を断るところから入ります

小悪魔っていうか純然たる悪魔的選択肢で笑いました

おまえは泣いていい

想定とは違う反応に狼狽えた達也、先週の僕だよ!と弁解を始めますが、

ここの小悪魔選択肢は「わかってるよ?」なのもおもろい
完全におろおろする達也を楽しんでますね

再会イベントでは、達也を見かけても「ほっといて帰ろ」と無視するのが小悪魔的正解です。普通ならフラグ折れててもおかしくない選択肢で草

無視されそうになると走ってやってきて「偶然……今帰り?」なんてスカす達也、生意気な大型犬みたいで可愛い

顔のいいゴールデンレトリバー


別れ際の電話番号交換も、小悪魔は自分から言い出しません

結局、達也がおそるおそる「電話番号聞いとこうかな、一応さ?」と聞くのですが『一応』に引っかかったのか、

皮肉たっぷりに「いいよ? “一応”ね」と返すバンビ、最高の女です


達也が変な性癖に目覚めちまうよ!!


すれ違った末に再会し、初デートの誘いを受けるシーンでも、言葉に詰まる達也に

「上手くなくていいから、ちゃんと誘ってみて?」と小洒落た返しをするバンビ。ここゾクゾクしました

惚れてまうやろ!!!!!


電話番号の間違い然り、彼が格好をつけるとろくなことにならないということがこのときのバンビにはわかっていて
「カッコなんてつけなくていいからちゃんとして」と言いたいのでしょう

先述の通り、小悪魔ルートはこうして、女慣れしていなくて意気地のない達也を調教していくお話なんですね


今世の初デートのファッションは小悪魔でいきます
紺野玉緒を弄んでファッションレベルを上げた甲斐がありました


小悪魔・セクシーファッションはナチュラルと違って男に舐められない服装です


でも、小悪魔ファッションの甲斐なくデートはやはりクソつまらんオシャレ洋画でした

偏見ですが、達也はたぶんミッドサマー観て爆笑したとか言ってイキるタイプのオタクだと思います(突然の悪口)


天使ルートはここで無理に合わせることで二週連続おもんな映画デートをするはめになりますが、小悪魔ルートははっきり映画を酷評します

「自分の好きな映画じゃなくて、二人で楽しめる映画じゃなきゃ」というバンビの激正論

達也の心境はきっと「う……印象悪くしちゃったかな……」でしょうね


他の男どもも聞け

このように、小悪魔バンビは実に自由気ままでハッキリものを言い、達也を振り回します

二度目のデートも「急がないで」とはぐらかしますし、
その後何度かデートの誘いがあってもプレイヤーの意思に反して断り続けます


ここでこれ言える女は強い(確信)

このときのバンビがなぜデートを断り続けたのかは最後まで描写されないのですが、
きっと飼い犬に「待て」を教えるような感覚で我慢を覚えさせ、
達也が自分のことで頭がいっぱいになるまで焦らしていたのだと私は考えます


その我慢が限界に達して達也から「さよなら」と言われたらアルカードに顔を出し、
それまでのつれない態度とは打って変わって「意地悪してごめんなさい」としゅんとしてみせる……

落として上げるのが上手いというかなんというか……
“緩急”のつけ方まで計算されているのが小悪魔バンビの恐ろしいところです


女王様の「待て」
(※写真立ての男のことは全然好きじゃないですたまたまです)


ここでやはり確信したのが、この小悪魔ルートもまた非常に「メタい」ということです

初デートで印象悪くする発言をしちゃったり、
理由もわからず何度もデートを断られ続けたり、
このルートの達也はまるで、他のメイン男子を攻略する私たちそのものだからです

天使ルートでは本来プレイヤーに自我を見せないはずのヒロインの複雑な心境を踏み込んで描写し、

小悪魔ルートでは(これも本来見えないはずの)「攻略男子たち」の視点・心境を追体験できる二段構えになっているんですね

いやあ……ライターさん、流石に遊びすぎやって……


話は戻ってアルカード

どれだけ不満を募らせていても、
バンビの「ごめんね」ひとつで許してしまう達也です

惚れた弱みってやつですね。結局、またデートの約束をしてショッピングモールへ連れて行ってくれました


どれだけ冷たくされても女王様に会えば見惚れちゃう達也です


初デートの失敗を汲んで、前回とは違う相手好みのデートスポットを選択するところもまた、私たちプレイヤーのようです

でも、前回のおもんな映画デートでバンビが「二人が楽しめることをしなきゃ」と言った通り、
ちゃんとバンビが楽しめるところに連れてきてくれたところに、彼なりの成長が見えます

達也は多分ショッピングが好きというわけではないのでしょうが、楽しそうなバンビを見て結局楽しくなっているというこの連鎖
完全に主従関係が出来上がっていますね


自分だけが楽しいデートから脱した達也


気の小さい彼は、ぐいぐい引っ張ってくれる小悪魔バンビの隣が
一番心地いいのかもしれません


デートの帰り、天使ルートと同じく羽ヶ崎の海まで連れて行ってくれる達也

鬼かよ

ここでは達也が羽学の伝説の話をするのではなく、バンビがはば学の伝説を話して聞かせるという対比が生まれます


それを聞いた達也は「世界の果てから君の元へたどり着けば、ボクでも君の王子様になれるのかな……」とたった一言呟きます


ときめきメモリアルGirl’s sideというゲームにおいて『王子』という言葉は特別な意味を持ちます

メイン攻略キャラ——ましてや王子ではない彼から発せられたこの言葉は私にかなり強い衝撃をもたらしましたが、

デートが終わり、別れた後のメールも衝撃でした


「僕はつまらない人間です。女王のように自由で自信に満ちた君といると、自分が恥ずかしくて堪らなくなるのです」

「君の素敵な笑顔を見るたびに、それが目の前の僕じゃなくて、いつか現れる君の素敵な王子様のためにあるのだということがわかってしまうのです」

「物語の王子のように、強い人になれたらどんなにいいでしょう」


……これ以降彼からの連絡は途絶え、天使ルート同様、卒業まで結末はお預けとなります

正直、このシナリオの対比には舌を巻きました。いま私の舌は綺麗なリボン結びになっています


天使ルートで主題に上がったのは、羽ヶ崎の伝説

漁師の若者のように一途に愛し、求めることができない蓮見くんは人魚のように消えてしまい、それをバンビが漁師のように追いかけて結ばれるという結末

そしてこの小悪魔ルートでは、はば学の教会伝説になぞらえて

「物語の王子のように強くなれない」「君にはもっと相応しい王子がいる」と、王に課された難題から逃げ出す展開


つまり、どちらのルートでも『蓮見達也には王子になり得る器がない』ことが強調して描かれているのです

これが、彼が隠しキャラたる所以——メイン攻略男子たちのアンチテーゼであることを裏付けています


GSのライターほんまきっっっっっっしょい………(クソデカ爆裂褒め言葉)

と呟きながら、あとは惰性で適当なコマンドを叩く日々


ファッションレベルを上げるために弄んだ紺野玉緒が爆弾を抱えようと、
見かねたみよちゃんから電話がこようと、もうおかまいなしです

他校生のことで頭がいっぱいで、学園生活に身が入らない私バンビ……本当の恋をしているみたいで、一人で勝手に“趣”を感じてしまいました

なにわろてんねん


そうしてやってきた、運命の卒業式

天使ルートでは開かなかった教会の扉が開いて、達也が現れました

彼が自身の卒業式の後、どんな思いで羽ヶ崎からはば学までやってきたのかと考えると、この時点で泣きそうになります


「ボクは、本当に情けないやつで、何の取り柄もないし、だからって人より努力をするわけでもないのに……プライドを守るためにいつも斜に構えて、クラスメイトや周りをバカにして……」

自身をそう語る達也。たしかにその通りですし、そういった性格だからこそ彼はあくまで『隠しキャラ』なのでしょう


天使ルートと同じく、モデルのバイトに受かって有頂天になり、バンビをナンパしたことを語った後、

「突然、ボクが主役の物語が始まって、お姫様が目の前に現れたみたいで……」

とこぼします

これも非常にメタい発言です
本作における王子というのはルカとコウで、厳密に言えば彼ら二人が主役の物語なのですが、

矮小な世界で生きてきたこの少年は、モデルのバイトに受かっただけで、
ルカやコウのような物語の主役——王子になったような気分になれたのでしょう

バンビの気を引くために貯金をはたいて見た目を整えたり、かける言葉を何パターンも考えたり、
最初からかっこよく生まれている歴代の王子たちならば絶対にしないであろう努力を重ねていた達也


彼はルカのようにナチュラルに甘い台詞を吐くことはできません
コウのように男らしく芯の通った性格ではありません

けれど、他の男の子たちにはないこの『不器用なりの一生懸命さ』というのが、
蓮見達也という男の子の魅力です

だから私たちバンビは彼に惹かれるんです


でも、やはり自信のもてない達也は「君は(僕なんかと違って)いつだって自信に満ちて、自由で……だからボクは、いたたまれなくなって逃げ出したんだ」と告白します

王子になれない自分は、ヒロインの君には釣り合わない——そういうことですよね


そんな彼ですが、天使ルートとは違い、真っ直ぐに目を見て気持ちを伝えてくれました

「君の伝説の王子様じゃないってわかってる。でもきっと、ボクだって君のためなら、世界の果てからでも迎えにくるから」


この台詞で、私は一人モニターの前できしょいほど泣きました

王子様になれる器じゃないかもしれない
女王のように奔放な姫の、単なる召使かもしれない

それでも、君のためならどんな厳しい王様の試練も乗り越えられる——そういう意味なんですよね、きっと


この告白に対する返事の選択肢が「私も蓮見くんが好き」「ごめんなさい」のシンプルな二択であり、
小悪魔的な意地の悪い台詞ではないところにもぐっときます

小悪魔バンビはあくまで恋の主導権を握ろうと彼を翻弄しているだけの、ただの恋する女の子

小悪魔というのは、ここで偉そうな返しや意地悪な言い方をするような、性格の悪い女という意味ではないからです


だからこそバンビは「(そばにいてって)召使的な意味で?恋人的な意味で?」という達也の問いかけに、はっきりと「もちろん、後の方だよ?」と答えるんです

主導権は握るけれど、でもそれは召使にしたいからじゃない
恋人としてずっと自分だけを見ていてほしいから——
大好きだから、女王様のように振る舞うんですよね


ともかくこうして二人は結ばれるのですが、
ラストのキスシーン、天使・小悪魔の対比が大変エモエモのエモですので、
これをお読みになった方はぜひご自身の目でお確かめください!!!


ちなみに両思い後、達也はモデルのバイトを「やっぱり向いてない」と言い出し、バンビも「やめなさい」と後押ししたそうです

天使ルートではバンビの支えの甲斐あってそれなりにモデルとして大成しますが、

小悪魔ルートでは「バンビだけに尽くしたい」「私だけを見ててほしい」という
独占欲のようなものがはたらいて、すっかり二人の世界に浸ってしまうようですね

これはこれで良い展開ですし、達也はもう、あの正体不明の劣等感や罪悪感に駆られることもなくなって、これもまた違う形のハッピーエンドと言えるでしょう


総評

こんなにも言語化が難しいGS男子は初めてで、いつも以上にだらだらと要領を得ない文章になってしまいましたが、

ときめきメモリアルというゲームのシステムやストーリーを逆手にとった皮肉やジョーク、メタフィクションがこれでもかと盛り込まれた、
3作目をプレイする往年のGSファンに向けられた最高のファンサービスとも言えるルートで、非常に楽しかったです


初代王子である葉月珪と同じモデルで、おそらく同じ事務所で、彼といきつけの喫茶店が同じで——

だけど、王子としての器はないし、彼のようにヒロインとのロマンチックな約束も生来のかっこよさも持ち合わせていない
勉強も運動もずば抜けているわけではない、学校のレベルだって違う。

けれど、想いの強さのみで王子のように教会へ駆けつけてくれた……
この対比、初代で葉月くんに恋をしたお姉様方にはたまらないものだったしょう


繰り返しになりますが、この「アンチときメモ」「アンチ王子」「ダメな葉月珪」とも言える男の子を、
2つのパターンを通して違う角度から攻略できるというシナリオの完成度の高さ、

そして、長所より短所の方が多いはずなのに、それでも愛さずにはいられない精巧なキャラクター造形……

私はこの蓮見くんのルートに、ときメモが日本一の乙女ゲームたる所以を垣間見ました

今の私の拙い語彙では、これが限界です。これ以上はもう「達也すごい」「たっちゃん……すきぴ……♡♡」しか言えません


だいぶネタバレをしてしまいましたが、エンディングが気になる方・彼を知りたくなった方はぜひ、ご自身の手で天使・小悪魔両ルートの攻略をどうぞ


おまけのイメソン

私的蓮見達也のイメソンを発見したので、ご提出いたします
岡村靖幸「愛はおしゃれじゃない」

歌詞↓

伝えたいのは「あのさ…あのそのつまり…」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?