傍のソバ・ハノイ編/第88回ベトナムソバ講座 Miến lươnのtrộnとnước
限りなく役に立たないベトナムソバ講座です。今回はtrộn/チョンとnước/ヌォッ。
nướcは水のほかに液体全般を指す言葉です。例えばnước mắmは魚醤、nước épはジュースのことです。
ソバに関してはスープ麺のことをスープなし麺=trộnと対を成すモノとしてnướcということがあります。
普通はわざわざnướcとは言いません。要するにフォーを注文する時、スープ麺しかない店ではフォーのnướcください、みたいな言い方はしません。
最近の流行りか、あるいはワタシが夏の暑い季節にスープ麺はあり得ないだろと思ってtrộnを探し求めて歩き回ったからか、フォーでもブンでもミェンでも、はたまたバインダーでも、スープなし麺=trộnを出す店がやたら目につきます。
それで注文するときにソバの名前だけ言うと、trộnかnướcか、どっちがえーがや、みたいに聞かれるワケです。何のこっちゃ、と迷わないために、これは覚えておいたほうがいいでしょう?
実際どう違うかということで、最近食べたMiến lươn/ミェンルオン=ウナギの稚魚フライ入り春雨ソバ の2品を紹介します。
まずはPhủ Doãn通り9番地の店で食べたtrộn。
Phủ Doãn通りは先日路地のことを書いたセントヨゼフ教会の司教館を含めた一帯と、Việt Đức病院=ベトナムドイツ親善病院など大きな病院が建ち並ぶ一画の間を南北に走る通りです。旧市街の一皮南の、ハノイのド中心と言っていい場所です。
店は病院側に開いているのでパジャマ姿や点滴チューブを付けた患者が食べに来ます。ただし患者向けに、つまりは栄養的に何か付け加えられているとか消化にいいとか、考慮されているワケではありません。たぶん。
一見してサラダです。人参やらモヤシやら、ほぼナマの状態で乗っかっています。それにピーナッツとキューリと諸々ハーブ類と揚げた何か。その何かの一部がウナギの稚魚フライです。
タレが丼の底にたまっていてかき混ぜるとこんな感じ。甘しょっぱ辛い。Not badです。夏はコレに限る。ウナギ入り冷やし中華、みたいな。ただし冷たいワケではありません。麺自体は茹でたてで熱々です。
次はNguyễn Chế Nghĩa通り9番地のnước。150mくらいの細い路地の片側に5~6軒のソバ屋が立ち並ぶソバ屋ストリートの中の1店です。
完全半屋外型で家の脇の細い路地が厨房と客席になっています。路地としては「C路地」ですが単調です。
ウナギ稚魚フライがサクサクしててウマいです。形はちょっと、、
揚げパンが付いてきました。フォーの店ではよくありますがMiến lươnではワタシは初めてでした。朝はみんなたくさん食べるんでしょう。
ここはnướcだけでした。席に座ると注文しなくてもソバが来ます。麺に細かいハーブ系の葉っぱが絡んでいて面白い食感です。揚げパンは千切ってスープに入れます。スープを吸い込んで味噌汁の中の油あげ状態になったら食べます。口の中にジュワーっとスープが滲み出ます。こりゃウマいっ
因みにtrộnを頼むとスープがお椀で供されます。つけ麺風に食べることもできますが本来の趣旨からは外れた食べ方です。
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